業務の標準化や効率化を進めることで、税理士や税理士事務所の担当者の担当件数を増やそうとする動きがあります。
多い場合では、1人で100件を担当するというような話を聞くこともあります。
実際に100件を担当している人がいるかどうかは知りませんが。
適正な担当件数というのは、状況によって違いますが、100件というのはいかにも多いと思います。
自分が顧客の立場で考えると、自分の担当者が100件みているというのを聞いたら、「他の人にみてもらおうかな」と思うでしょう。
ちなみに、税理士ではない担当者が5人いて、1人20件みている事務所で、所長税理士が5×20=100件みているというケースは、また別の話になります。
この場合の1人の担当件数は20件だと思っています。
あくまでも担当件数の話です。
担当者は作業をしないことで、担当件数を増やす
担当件数を増やす場合、作業など事務所の中でやる業務は別の人が行います。
担当者は作業をしないことで、1件あたりにかかる時間が減少し、担当件数を増やすことができます。
従来であれば、1件のお客様について、移動、作業、お客様と打ち合わせなどで1ヶ月に5時間かかっていたとします。
この内、作業や書類の準備に2時間かかっていたとしたら、作業を他の人にやってもらうことで、担当者が使う時間は3時間で済みます。
1ヶ月の労働時間が160時間だとして、お客様に使える時間は多くて130時間程度でしょう。
100件の担当を持つとしたら、1ヶ月に1件のお客様に使える時間は1.3時間ということになります。
これでは、時間の計算が合わないだろうと思う人もいるでしょう。
実際は、数カ月に1度の訪問だったり、年に1度しか訪問しないお客様もいるので、仕事が回るということでしょう。
それでも、100件の担当をもつとしたら、1件のお客様に使える時間はごく短い時間になります。
情報を記録することにより、記憶はしない
時間だけではありません。
記憶や印象にも限界があります。
100件の担当を持つとしたら、お客様の情報は記録することになり、記憶に残るものは少なくなるでしょう。
20件の担当でも、もちろん記録はします。
しかし、20件であれば、お客様のある程度の情報は記憶に残ります。
記録があれば、一通りの仕事をするうえで問題にはならないかもしれません。
あとは、お客様がそれをどう思うかということかもしれません。
先日、わたしの事務所にある営業の人がきて話をしました。
訪問前に当事務所のホームページを見たみたいで、ホームページに書いてあることについて話をされました。
「あー、訪問前にホームページを見てくれたんだなぁ」と思う反面、それ程深い話にはなりませんでした。
わたし自身、初めてのお客様とお会いするときは、ホームページなどは確認していきます。
初めてお会いするときは、ある程度表面的な会話になることも仕方がないでしょう。
しかし、税務顧問の場合は継続的なお付き合いになることが多いので、記録をたどるだけでは足りず、記憶をたどることでプラスになることもあります。
わたしは、その記憶を大事にしたいです。
だから、自分でみることができる範囲で仕事をしたいのです。
記録を見るだけでお客様に対応する技術というのもあると思いますが、やりたいとは思いません。
まとめ
税理士業界は、以前は1人30件も担当を持てば、多い方でした。
顧問料の単価が減少傾向ということもあると思いますが、今では、1人100件をみるという方向に向かっているみたいです。
みたいです、というのは、実際に100件を担当している人を知らないからです。
技術の進歩で効率化を図り、1人で100件をみることが可能なのかもしれません。
わたしは、そういった働き方をしたくはないし、お客様に対して記憶を大事にしたいと思っています。
実は、お客様は、税理士が言ったことをよく覚えています。
税理士にとってのお客様は、100人あるいは20人の中の1人かもしれませんが、お客様にとっての税理士は1人だから印象の残り方が違うのでしょう。
そうであるならば、税理士側も記憶に残す工夫をした方がいいと思うのです。
時代の流れに逆らっているのかもしれませんが、今後も1人でみる件数にはこだわって仕事をしていきます。
【編集後記】
今日は久しぶりに仕事で横浜方面へ行きました。
アイキャッチ画像は、大口駅前のロータリーにあった木です。
何でこんなところにこんな木が?
googleで画像検索したら、ナツメヤシと出ましたが、何の木なのでしょうか。