資金繰りの鉄則 「回収は早く、支払いは遅く」の注意点

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ひとり社長でも、フリーランスでも資金繰りは重要です。

資金繰りの鉄則として「回収は早く、支払いは遅く」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。今日は、その注意点を書いてみます。

「回収は早く、支払いは遅く」とは

ここでいう回収というのは主に売掛金の回収のことで、支払いとは主に買掛金支払いのことです。

例えば、10月に100万円で仕入れた商品を、10月中に150万円で売上げたとします。

仕入については、月末締めの翌月20日払い、売上については、月末締めの翌月末日回収だとすると、先に100万円を支払って、そのあとに150万円が入金されます。

買掛金の支払日を翌月末日に、売掛金の回収日を翌月20日にすると、先に150万円が入金されて、そのあとに100万円を支払うことになります。

どちらが資金繰りがいいかは一目瞭然です。

このことから、売掛金の回収は早く、買掛金の支払いは遅くということが、資金繰りの鉄則と言われているのです。

回収も支払いも相手がいることを忘れない

あくまでも、「回収は早く、支払いは遅く」という基本は抑えたうえで、話を進めます。

自社が売掛金を早く回収するということは、売上先は買掛金を早く支払うということであり、自社が買掛金を遅く支払うということは、仕入先は売掛金を遅く回収するということです。

取引相手は、資金繰りの鉄則の逆のことをすることになります。

この資金繰りの鉄則を実現するためには、取引先を知り、取引先との関係を良好に保ちながら進めていかなくてはいけないということがわかります。

もし、取引先のことを考えずに「回収は早く、支払いは遅く」を極端に実行している会社があれば、取引先からの評判は悪くなり、いずれは取引先が去っていってしまうでしょう。

業種によって、平均的な回収や支払いのサイトがあります。この平均的な回収サイトよりも回収が遅い、あるいは平均的な支払いサイトよりも早く支払っている場合は、改善が必要でしょう。

この回収サイトや支払いサイトは取引を開始するときに決めることが多いので、途中で変更することは簡単ではないと思いますが、不利になっている場合はきちんと交渉しましょう。

事業を始めたばかりの会社や、新しい取引先については、最初に不利な回収サイトや支払いサイトにならないように注意しましょう。

取引先から回収サイト、支払いサイトの変更を求められたら

売上先や仕入先から、回収サイトや支払いサイトの変更を求められることもあると思います。

取引先が資金繰りに困っていることが考えられますが、助けてあげようと安易に変更に応じることはやめましょう。

取引先の状況を慎重に判断する必要があります。本当に一時的に苦しいのであれば、一定期間だけ変更に応じてもいいでしょう。

しかし、その状態が今後も続くようであれば、最終的には貸し倒れの可能性も出てきます。

連鎖倒産という最悪の事態は避けなければいけません。

判断は難しいですが、事業を続けていく上で必要な判断になりますので、そういう可能性があるということは頭に入れておきましょう。

まとめ

「回収は早く、支払いは遅く」という資金繰りの鉄則を守るために、まずは業界平均の回収サイトや支払いサイトを知り、不利になっている場合は、早急に改善することが大事です。

しかし、現状が業界平均になっている場合は、今以上に回収を早く、支払いを遅くしようとすると、取引先との信頼関係が崩れる可能性があります。どうしても、資金繰りの都合上サイトを変更してもらう場合は、慎重に行いましょう。

資金繰りに困っている会社と思われて、取引を断られる可能性があります。

最後に、意図的に支払いを少し早めることは経営上の判断としてアリだと思います。

重要な仕入先だと判断した相手には、他よりも少し早く支払うことで信頼を得ることができ、取引の拡大に繋がる可能性があります。

資金繰りは、事業を続けていくうえでもっとも重要な項目のひとつです。

資金ショートは絶対に起こさない前提で、そのうえで、取引先との良好な関係を築けるように戦略を練っていきましょう。

【編集後記】

国民年金の2年前納は、割引が大きいので魅力的ですけど、個人事業主の独立1年目は迷いますよね。2年前納で15,000円程度の割引ですから、かなり大きいです。

でも、独立1年目の場合は資金繰りでもマイナスになりますし、赤字であれば、所得控除の恩恵も受けることができません。2年目以降で黒字になってから、前納したほうがいいかもしれないですね。

もちろん、1年目から黒字になれば問題ないんですけどね。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。