消費税がかかる売上とかからない売上がありますが、同じ消費税がかからない売上でも非課税と不課税では大違いです。
消費税のかかるかからないの前に消費税の対象になるかどうか
消費税の計算をするには、最初にその取引が消費税の対象になるかどうかを判断します。国税庁のホームページには以下のように書いてあります。
「消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の輸入です。」
事業者というのは個人事業者と法人のことです。法人の行う取引はすべて事業になりますが、個人の場合例えばサラリーマンが自家用車を下取りに出すような行為は事業者が行う事業には該当しません。
対価を得て行う取引が対象になりますので、無償の取引は原則として課税の対象にはなりません。寄付なども対価性がないとして課税の対象になりません。
資産の譲渡等とは、事業として有償で行われる商品などの販売や貸付、役務の提供などのことをいいます。
ここでは、消費税の課税の対象とならない取引を不課税取引といいます。
消費税の課税の対象となった取引の中に非課税になるものがある
消費税の課税の対象となる取引でも、消費税の性格としてなじまないものや社会政策的配慮から、消費税のかからない非課税取引が定められています。
消費税の非課税取引は次のようなものがあります。
・土地の譲渡及び貸付
・有価証券の譲渡
・預貯金の利子
・商品券や物品切手等の譲渡
・社会保険医療等
・学校教育
・住宅の貸付
不課税取引と非課税取引で何が違うのか
不課税取引と非課税取引、消費税がかからないという点ではおなじですが、何が違うのでしょうか。
消費税の計算の原則的な考え方がわかると違いが分かってきます。
納付する消費税は、売上にかかる消費税(預かった消費税)から経費にかかる消費税(支払った消費税)を差し引いて求めます。
このときに支払った消費税として控除できるのは、消費税のかかる売上に対応するものだけなのです。
例えば、商品を仕入れて販売した場合の仕入れにかかる消費税は、商品の販売という課税売上に対応するものですから、消費税の計算上控除することができます。
しかし、土地の譲渡のために仲介手数料を支払った場合の仲介手数料にかかる消費税は、土地の譲渡という非課税売上に対応するものですから、消費税の計算上控除することができないのです。
土地の譲渡や貸付、居住用マンションの家賃収入が多い不動産屋さんや、社会保険診療がメインのクリニックなどは消費税の非課税の売上の割合が多くなります。このような消費税の非課税の売上の割合が多い会社や個人事業主の消費税を計算するときには非課税の売上を正確に知る必要があります。
消費税の非課税売上を不課税売上にしてしまうと納付する消費税が実際よりも少なく計算され、不課税売上を非課税売上としてしまうと、納付する消費税が実際よりも多く計算されてしまいます。このように非課税売上と不課税売上を間違えると納付する消費税額が変わってしまうことになるのです。
不課税売上と非課税売上、消費税がかからないのはおなじですが、しっかり区別する必要がある理由をおわかりいただけたでしょうか。よくわからない人は、不課税売上と非課税売上を区別する必要があるんだな、と思っていただければ大丈夫です。