価格設定において「良心的」という言葉は好きではない

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事業(商売)にとって、価格設定はとても大切なものになります。

価格設定は高すぎると誰も買ってくれないし、安すぎると自分が食えなくなります。

「人が良い」と言われるような人だと、自分が頑張ればこの値段でも何とかなるという価格に設定してしまいがちですが、ギリギリの価格設定はリスクも大きなものになります。

価格を自分基準に合わせる方法

価格を決める際には、自分基準に合わせる方法と相手の基準に合わせる方法があります。

サービス業であれば、自分の時間単価を決め、何時間かかるかを見積もります。

時間単価とかかる時間が決まれば、自然と価格が決まります。

自分の時間単価を2万円として、3時間かかるのであれば、価格は6万円というようになります。

時間単価も自分で決めますし、作業時間も自分が何時間かかるかによって変わってきますので、自分の基準で価格を決めています。

時間単価が2万円というのは高いと思う人もいるかもしれませんが、売上げが上がらない仕事をする時間もありますので、ある程度高くする必要があります。

時間単価を1万円にして、1ヵ月に売上があがる仕事をするのが100時間しかないとすると、売上げは100万円になります。

そこから、家賃や光熱費、人件費などの経費を差引きますので、時間単価は少し高いと思うくらいでないと、利益が残らなくなってしまいます。

経費を差し引いた残りが30万円であれば、最終的な自分の時給は2000円ということになります。

自分基準で考えるならば、時間単価とともに、自分の時給も考えなくてはいけません。

商品販売業であれば、100円で仕入れたものを、30%の利益を乗せて販売するというような価格の決め方も自分基準で価格を決めていると言えます。

この場合も、率だけではなく、個数も考えて粗利を額でも把握しなくてはいけません。

そこから経費を差し引いて残りの利益が出るように決める必要があります。

価格を相手基準に合わせる方法

対して、相手の基準に合わせて価格を決める方法があります。

例えば、ラーメン屋さんの場合、お客様が800円なら食べてくれそうだから、800円にするとします。

これは相手の基準に合わせています。

この場合は、価格が決まった後に、価格に合わせて商品の原価を考えなくてはいけません。

800円で原価率を35%にするのであれば、1杯のラーメンにかける原価は280円ということになります。

1人でやるリラクゼーションサロンなどで、お客様が1時間5000円なら来てくれるということであれば、価格は1時間5000円ということになります。

この場合、価格を相手基準で決めるので、その価格にした場合の売上と経費を考慮して商売になるかどうかを検討しなくてはいけません。

もし、1時間5000円ではどうやっても利益が出ないのであれば、商売をすることはできなくなります。

相手基準で価格を決める場合は、その価格で利益が残るかどうかが大切になります。

良心的な価格って何?

「このお店の価格は良心的です」というような言葉を聞くことがあります。

この場合の良心的とはどういうことでしょうか。

一般的には、安い価格のことを良心的な価格ということが多いと思います。

しかし、本当に安い価格が良心的なのでしょうか。

例えば、原価が280円かかるラーメンを1杯400円で売ったとします。

お客様からしたら、とても安いので、良心的と思うかもしれません。

しかし、店主からすると、この価格では光熱費や家賃、自分の生活費などをまかなうことができません。

これを良心的という一言で済ませてしまっていいのでしょうか。

一般的な原価率が35%だとしたら、価格は800円くらいでないとおかしいです。

お店が赤字で、自分の生活もままならないような価格が良心的だとは思いません。

簡単に「良心的な価格」という言葉を使っているのを聞くと、「良心的な価格」って何だろうって思ってしまいます。

税理士事務所で言うと、価格が安い税理士事務所があったとして、そこで働く従業員の給料がとても安かったとしたら、その税理士事務所の価格は良心的と言うことになるのでしょうか。

そうは言えないと思います。

「安い=良心的な価格」ということにはならないと思っています。

まとめ

価格を決めるには、自分を基準で決める方法と、相手の基準で決める方法があります。

これはどちらの方法をとっても良いと思います。

ただし、その価格で商売がうまく回ることが前提です。

商売がうまくいかないような安い価格設定は、良心的とも言えず、自分の首をしめることになります。

当然ですが、ぼったくりのような価格にすることも良いことではありません。

商売をする側にとって、価格設定はとても大切な要素なので、慎重に決めるようにしましょう。

【編集後記】

freeeの「会計スペシャリスト」という試験を受けてみました。

苦戦しながらも、1回でギリギリ合格しました。

「経理コンサルタント」の方は受かる気がしないけど、そのうち受けてみようかな。

「会計スペシャリスト」はパートさんにも合格してもらおうと思っています。


千葉市、四街道市、佐倉市を中心に地域密着を目指している「渡邉ともお税理士事務所」のホームページはこちら

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。