フリーランスの人が自宅で仕事をしていて、その自宅が夫婦での共有になっている場合の注意点を書いてみます。
持ち分通りにお金を出す
最初は、マイホームを購入するときの話になります。
例えば、3,000万円のマイホームで、持分を夫が2/3、妻が1/3で購入するとします。
この場合は、夫が2,000万円、妻が1,000万円それぞれお金を出すことになります。
ここで、夫が1,000万円、妻が2,000万円出してしまうと、妻が夫に1,000万円を贈与したことになり、贈与税が発生してしまいます。
マイホームを購入するときに、何となく妻にも持分を持たせたいとか、共働きで住宅ローン控除を二人共受けたい、とかいう理由で共有にすることはよくあると思います。
しかし、安易に持分割合を適当にしてしまうと、あとで問題になることがありますので、気をつけましょう。
更に、将来夫婦の仲が悪くなり、離婚するようなこともあります。
そのときになって、持分は1/3なのに、実際はお金を2/3支払っているとしたら、争いになるかもしれません。
マイホームを買うときに離婚のことを考える人はあまりいないかもしれませんが、万が一のことも考えて、持分通りにお金をだすようにしましょう。
住宅ローン控除の適用があるのは自分の持分のみ
住宅ローン控除を受けられるのは、自分の持分のみです。
3,000万円のマイホームで、持分が2/3だとすると、持分の2,000万円部分についてのみ、住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローンも、自分の持分の範囲内にします。
持分が2,000万円ですので、住宅ローンも2,000万円以内にしましょう。
戸建てで、先に土地を買ってから、そこに家を建てる場合も注意が必要です。
例えば、以下のようなケースを考えます。
土地1,500万円、建物1,500万円、計3,000万円
頭金1,000万円(全て妻)
住宅ローン2,000万円(全て夫)
持分 土地建物共に、夫2/3、妻1/3
土地を購入してから、建物が完成して引き渡しを受けるまでに半年かかるとします。
この場合では、先に土地代金を支払う必要があります。
持分通りに、妻が現金で500万円を支払い、夫が住宅ローンで1,000万円を支払えば、問題はありません。
しかし、頭金が1,000万円ありますので、妻が1,000万円を先に支払ってしまい、夫が住宅ローンで500万円支払ったとします。
先に、頭金を支払って、住宅ローンの実行を少しでも遅らせたほうが、利息の支払いが少なくなるので、ついやりたくなります。
これをやってしまうと、土地についての借入金が500万円となってしまいます。
そして、建物については、1,500万円全てを住宅ローンで支払うことになります。
住宅ローン控除は、取得価額と借入金残高の少ない方が対象になりますので、この場合の夫の住宅ローン控除の対象は、以下のようになります。
土地 取得価額 1,000万円 借入金残高 500万円 少ない方の金額 500万円
建物 取得価額 1,000万円 借入金残高 1,500万円 少ない方の金額 1,000万円
夫は、2,000万円を全て住宅ローンで支払いますので、本来であれば、住宅ローン控除の対象となる金額は2,000万円になるはずですが、1,500万円になってしまうのです。
500万円違えば、住宅ローン控除額は、500万円×1%=5万円の差が出ます。
しかも、10年続きます。
借入金の利息を少しでも少なくしようと思って、実態と合わないことをしてしまうと、住宅ローン控除でも不利になることがあるのです。
自宅兼事務所の場合の住宅ローン控除は、居住用部分のみが住宅ローン控除の対象になります。
しかし、居住用部分が概ね90%以上であれば、全部について、住宅ローン控除を受けることができます。
事業所得の必要経費に計上する減価償却費は、妻の持分も含めることができる
自宅を仕事にも使っている場合の減価償却費は、妻の持分の減価償却費も経費にすることができます。
所得税では、生計を一にする親族に家賃を支払っても、経費にすることはできません。
そのかわりに、妻の持分の減価償却費や、固定資産税を夫の経費にすることができるのです。
自宅の事業使用割合が30%の場合の減価償却費は以下のようになります。
夫の持分の減価償却費 1,000万円×0.046×30%=138,000
妻の持分の減価償却費 500万円×0.046×30%=69,000
計 207,000
妻の持分の減価償却費や固定資産税の計上を忘れないようにしましょう。
まとめ
マイホームが、夫婦の共有名義になっている場合の注意点について書いてみました。
フリーランスの人が自宅で仕事している前提で書いていますので、サラリーマンの人だと当てはまらない部分もあります。
共有名義だと、手間がかかり、処理も複雑になります。
税務上不利になることもあるため、共有にするときは、共有にする理由をよく考えましょう。
共有にするメリットのほうが大きければ、もちろん共有で問題ありません。
そのときは、お金の出し方と、住宅ローン控除や、減価償却費の計算などに気をつけましょう。
【編集後期】
ようやく正月気分も抜けたところで、明日からは3連休ですね。
寒くなっていますから、体調を崩さないように気をつけないといけないです。