開業1年目の一人社長やフリーランスの人の中には、役所から償却資産の申告書やハガキが届いて、「償却資産って何?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
償却資産とは
「償却資産」とは、土地や建物以外の資産で、減価償却をする固定資産をいいます。
具体的には、構築物・機械・工具・器具・備品などのことを言います。
これらの償却資産について、その年の1月1日時点で所有しているものを、1月末までに市役所などに申告します。
その申告した資産に対して固定資産税が課されます。
役所からすると、「土地や建物以外の資産に対しての、固定資産税を計算するから、資産の状況を申告してね」ということになります。
ただし、以下の資産は償却資産の対象となりません。
・自動車税・軽自動車税の課税対象となるもの
・無形固定資産(ソフトウェアなど)
・繰延資産(創立費、開業費等)
償却資産の注意点
1.賃借人(テナント)が施工した内装、造作、建築設備等の資産
店舗や事務所を借りる場合、通常は内装工事を行います。
この内装工事は、賃借人の償却資産になります。
内装工事については、勘定科目を「建物」として計上している場合もあるかもしれません。
この場合、勘定科目は建物でも、償却資産の対象になるものがありますので、注意しましょう。
また、自己所有の家屋の建築設備については、償却資産になるものとならないものとがあります。
この区分はかなり細かく、覚えることも難しいため、該当する資産がある場合は、市町村のホームページを見たり、市役所などに電話をして確認するようにしましょう。
もう一度言いますが、家屋の所有者と異なる者(賃借人)が貸しビル・貸店舗等に施工した内装・造作及び建築設備等については、償却資産となります。
2.10万円以上30万円未満の資産の取扱い
10万円以上30万円未満の資産の経理上の処理は複数あります。
・固定資産として計上し、耐用年数にわたって減価償却する方法
・10万円以上20万円未満の資産については、一括して3年で均等償却する方法(一括償却資産とする方法)
・青色申告が要件になりますが、10万円以上30万円未満の資産について、全額必要経費にする方法(合計で年300万円までが限度です。)
償却資産という点から見ると、この3つの方法のうち、一括償却資産としたものは、償却資産の対象にはなりません。
ですから、償却資産税を負担したくないのであれば、一括償却資産として処理できるものは、一括償却資産として処理したほうがいいということになります。
ただし、その年の法人税や所得税を少なくしたいと思ったら、全額経費処理の方が優れています。
10万円以上20万円未満の資産については、これらを総合的に判断してどの処理にするか判断するようにしましょう。
償却資産については、課税標準の合計額が150万円未満の場合は課税されないことになっています。
フリーランスの人などで、固定資産が150万円にいくことなどないという人であれば、それほど償却資産のことを気にしなくても大丈夫でしょう。
3.個人事業主の家事共用資産の場合
個人事業主の場合は、固定資産が家事共用資産であることがあります。
この場合の取得価額は、事業共用分のみではなく、家事用部分も含めた全体になります。
30万円のパソコンで事業用割合が50%の場合は、取得価額は15万円ではなく、30万円になりますので、全額経費処理はできません。
所得税では、事業用割合分だけ減価償却費を計上することができますが、固定資産税は家事用部分も含めて全体にかかってきますので注意が必要です。(四街道市に確認しましたが、念のため、ご自身がお住まいの市町村に確認してください。)
4.減価償却資産とした美術品等
法人税や所得税で減価償却資産とした美術品等も、償却資産となります。
まとめ
自分で事業をやっていない人にとっては、償却資産というものは馴染みのないものだと思います。
しかし、毎年1月末に申告することになっていますので、確認するようにしましょう。
特に、免税点(課税標準額が150万円)ぎりぎりの場合の、10万円以上20万円未満の資産の取扱などは注意です。
個人事業主の家事用資産の取り扱いなどは、細かい論点になりますが、念のため知っておいた方がいいかと思います。
一人社長やフリーランスで、ほとんど資産をもたない人にとっては重要性の低いものになりますが、免税点を超える資産を所有している場合は、確認しておきましょう。
【編集後記】
気象庁のホームページで調べたら、16日朝の最低気温は、成田市で氷点下7.4度、佐倉市で氷点下7.0度となっていました。
千葉県というと温暖な気候のイメージがありますが、改めて内陸部は冷え込むと実感します。
四街道でも氷点下6度くらいまで下がっていたのでしょう。
昨日の朝は、どうりで布団の中でも寒いと思いました。