土地と建物では、購入・売却したときの税務上の取り扱いは大違い

スポンサーリンク


事業をするうえで、土地や建物を購入したり、売却したりすることもあると思います。

事務所や店舗、あるいは収益物件など目的は色々あります。

土地付き建物を購入した場合(土地と建物を別々に購入しても同じ)、土地と建物では税務上の取り扱いは全く異なります。

今回は、法人で消費税の課税事業者を想定して書いていきます。

減価償却

一つ目の違いは、減価償却をするかしないかです。

建物は、耐用年数にわたって減価償却費を計上します。

例えば、耐用年数が22年の建物を2,200万円で取得した場合は、22年に渡って毎期100万円の減価償却費を計上します。

しかし、土地の場合は減価償却費を計上することはできません。

2,200万円の土地を買ったとしても、土地を所有している限り、2,200万円のまま、帳簿に載り続けるのです。

キャッシュで買っていれば、まだいいのですが借入をして購入している場合は、資金繰りにも大きな影響を与えます。

説明をわかりやすくするために、土地と建物で、それぞれ2,200万円ずつ、返済期間22年で借入れをして購入したとします。

この場合、毎期100万円の元本を返済しなければいけません。

元本の返済は、経費になりませんから利益から返済していくことになります。

建物の場合は、お金が出ていかない経費である減価償却費が100万円計上されています。

お金が出ていかない経費100万円と、経費にならない元本の返済100万円でバランスがとれ、利益が0の場合、結果として資金繰りに影響を与えません。

もちろん、赤字であればお金は足りなくなりますが。

土地の場合は、減価償却費がありませんので、元本返済100万円分の利益を出せばいいかというと、そういうわけにはいきません。

利益には税金がかかるからです。

税率を30%と考えると143万円くらいの利益を出さないと元本100万円の返済ができないことになります。

土地と建物では、減価償却に違いがあり、減価償却に違いがあるということは、土地を購入した場合のほうがより利益を出さないといけないということになります。

購入した場合の消費税

消費税の課税事業者であれば、建物にかかる消費税については、納める消費税から控除することができます。

建物は金額が大きいので、還付になることもあります。

しかし、建物にかかる消費税を控除できるのは、その建物の利用目的によります。

賃貸アパートの場合は、アパートの家賃収入に消費税がかからないため、購入時の建物にかかる消費税も基本的には控除できません。

本社事務所などの場合は、一部が控除できます。

消費税のかかる売上の割合が高い会社であれば、控除できる金額が多くなりますし、場合によっては、全額控除できる場合もあります。

土地の購入については、消費税がかかりませんので、消費税の計算に影響を与えません。

また、簡易課税制度を選択している場合は、売上にかかる消費税のみから納める消費税を計算しますので、建物にかかる消費税についても、納める消費税に影響を与えないことになります。

簡易課税を選択している会社が、建物を購入して還付を受けようと思ってもできませんので、注意が必要です。

さらに難しい話になりますが、数年内にその建物が賃貸用事務所から居住用マンションに変わった場合なども、計算が変わることがあります。

売却した場合の消費税

消費税の課税事業者であれば、建物を売却した場合は、消費税がかかります。

土地については消費税はかかりません。

建物を売却したときは、消費税の納税額が大きくなることも考えておきましょう。

これだけであれば、話は簡単なのですが、これだけでは終わりません。

土地を売却すると、会社の売上に占める消費税のかかる売上の割合が大きく下がることがあります。

こうなると、消費税の計算に大きな影響を与えます。

その結果、消費税の納税額が大きく増えることもあるのです。

土地を売却した場合は、消費税に注意が必要ということは覚えておきましょう。

土地を売却した場合の消費税については、以前にも書いていますので、参考にしてください。

土地の売却は消費税がかからないが、納付する消費税は増える。土地の売却は計画的に行おう!

2016.09.23

まとめ

土地と建物で、購入・売却したときの取り扱いについて書いてみました。

土地と建物を一括で購入する場合は、土地と建物で取り扱いが異なるので、土地と建物の金額の内訳を知る必要があります。

この際に、契約書に内訳の金額が書いてある場合は、その金額になります。

購入する場合で、契約書に内訳の金額が書いてある場合は、その金額が妥当なものかを確認するようにしましょう。

建物の金額が極端に低くなっている場合は、計上できる減価償却費が少なくなってしまいます。

消費税についても、金額が大きくなりますし、注意点は多いです。

さらに、その注意点は難しいのです。

税理士に依頼しているのであれば、土地や建物を購入あるいは売却するときは、土地や建物を購入あるいは売却する旨を、事前に税理士に知らせることをおすすめします。

直前でも対応が間に合わないときがありますので、買ったり、売ったりする可能性がある場合は、税理士と相談しておいたほうがいいでしょう。

【編集後記】

昨日、ブログのタイトルを変更しました。

変更してから、数字のタイトルって検索ではどうなのだろう?と疑問に思いました。

これで、PVが落ちるようなら、再度変更も考えるかもしれません。


 

千葉市、四街道市、佐倉市を中心に地域密着を目指している「渡邉ともお税理士事務所」のホームページはこちら

スポンサーリンク

関連記事

ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。