個人事業においてスーツ代が必要経費になるかどうかということは、よく話題になることです。
一般的には、スーツは仕事以外でも着ることもあるので、経費にならないということになっています。
しかし、最近給与所得控除の見直しのニュースを聞いたり読んだりするうえで、あらためて個人事業主のスーツ代について思うことがあったので記事にしてみます。
給与所得控除は、スーツ代?
2018年の税制改正で論点にあがっているものの中に、給与所得控除の見直しがあります。
給与収入の高い人の給与所得控除を減らそうということになっています。
給与所得控除というのは、給与所得者について一定の控除額を収入から差し引くというものです。
個人事業主は、収入から必要経費を差し引いて所得金額を求めるのに対し、給与所得者は収入から給与所得控除額を差し引いて所得金額をもとめます。
要するに、給与所得者の給与所得控除というのは、個人事業主にとっての必要経費みたいなものなのです。
そして、今回この給与所得控除の見直しを伝えるニュースでは、給与所得控除について、「スーツ代などの必要経費」と言われていることが多いです。
給与所得控除の主なものとしてスーツ代をあげています。
給与所得者にとって、スーツ代は必要経費だよと言っているのです。
個人事業主ではどうなのか
個人事業主の場合は、昭和49年の判例をもとに、スーツ代は経費にならないと言われています。
しかし、昭和49年と今とでは、時代が随分違います。
また、給与所得者については、一般的にスーツは必要経費と思われているのですから、社会通念も変わったと言っていいでしょう。
わたし自身、独立をして1年4か月たちますが、スーツを仕事以外で着ることはまずありません。
冠婚葬祭のときなどは礼服を着ます。
月に一度程度お酒を飲んだり、仕事帰りに買い物に寄ることはあります。
しかし、その程度で仕事以外でも着るでしょ、と言われるのは心外です。
その程度で、仕事以外でも着るでしょという方が常識的な見地からおかしいと思わざるを得ません。
もちろん、仕事をしていなかったら、買っていないものです。
これが必要経費でなかったら、何が必要経費になるんだと言うのは、言い過ぎですが、気持ち的にはそんな感じです。
個人事業主でひとくくりにはできない
もちろん、個人事業主としてひとくくりにはできません。
人によっては、スーツが仕事に必要なかったり、仕事以外でもスーツをよく着るという人もそれなりにいるでしょう。
ですから、一概に個人事業主のスーツ代が経費になるとかならないとかではなくて、人によって違うというのが、本来の姿ではないかと思います。
仕事中はスーツでなくてはならず、月に1回程度飲みにいくときに着ている、あとは仕事帰りの買い物に寄るときに着ているという程度であれば、スーツは経費だと考えます。
スーツは経費ということが広まると、本来は経費でない個人事業主も経費にしてしまうので、認められないということもあるのかもしれません。
また、ブランド物の高価なスーツ代を経費にする人が出てきてしまうということもあるでしょう。
しかし、自分はスーツは仕事でしか着ない、スーツは仕事に必要なんだという人は、経費にするのが本来の姿ではないでしょうか。
残念ながら個人的な意見です
専門家として、「個人事業主のスーツ代は経費になる」と言いたいところですが、そこまでは言えません。
今回は、個人的な意見として、スーツ代は必要経費になると思っていると言うに留めます。
もちろん、全ての個人事業主にとってではなく、本当に仕事でスーツが必要な人に限ります。
そして、仕事に必要で仕事でしか着ないからと言って、ブランド物の高級なスーツはどうかと言うと、それもまた違うかなとも思います。
ブランド物の高価なスーツが欲しいのであれば、経費以外のお金で買えばいいでしょう。
一概に経費だとか、経費でないというと、こういう弊害も出てきます。
いくら以上が高価で、いくらまでなら経費として認められるのかとか、面倒なことになってしまいます。
色々な問題はあるかもしれませんが、時代は変わっています。
近い将来、個人事業主のスーツ代は必要経費になるのが当たり前という時代になるかもしれませんね。
【編集後記】
週末に、佐倉城址公園を散策しました。
天気も良く、紅葉も見ることができ、気持ちのいい時間を過ごすことができました。