大企業でさえ、終身雇用制度ではなくなりそうな時代ですが、従業員に長く働いてもらいたいと思う経営者は多くいると思います。
従業員に長く働いてもらいたいのであれば、従業員が長く働くメリットを作る必要があります。
長く働くメリットで最初に思いつくのが退職金制度です。
小規模企業では、従業員の入れ替わりが激しい会社も多いですし、そもそも退職金制度がない会社も多いでしょう。
終身雇用という考えがなくなってきた、小規模企業には退職金制度がない会社も多い、そういう時代だからこそ、従業員にとって長く働くメリットとなる退職金制度を整備することは、他の会社との差別化という点でも有効になるのではないでしょうか。
上手くいけば、「この会社は従業員を大切にする会社なんだな」思ってもらえるかもしれません。
退職金制度にも色々あるのですが、小規模企業が最初に検討するといいのは「中小企業退職金共済制度」ではないでしょうか。
以下、中退共と書きます。
小規模企業にとって、退職金制度を導入するにあたって一番心配なことは資金繰りだと思います。
長年勤務した従業員が同時に複数辞めることになると、一時的に多額のキャッシュが必要になります。
もし、退職金を支払えないとなると、残る従業員への影響も大きくなり、会社の存続にもかかわります。
しかし、小規模企業が自力で退職金の原資を準備することは簡単ではありません。
そこで、中退共のような制度の利用を検討することになります。
中退共のいいところは、あらかじめ掛金を支払うことによって、退職金支払い時に退職金が不足するという心配がないことです。
退職金は中退共から直接従業員に支払われます。
しかも、掛金を支払った時に経費になるので、税制上も有利になります。
一旦支払った掛金は、基本的には従業員のものになりますので、従業員も安心できます。
従業員が定年が近くなったときに、会社の業績が落ちていても「ひょっとして退職金もらえないんじゃないか」と心配をしなくて済みます。
小規模企業の中には、退職金制度がありながら、退職金の資金の準備ができていない会社もあると思います。
そういった会社では、退職金がもらえないという可能性もあるので、その心配をしなくていいというのは、従業員側にとっても大きなメリットと言えます。
掛金には上限があるので、中退共だけでは足りないという会社は、他の制度と合わせて退職金の準備をするということも考えられます。
そういった場合は、企業型確定拠出年金制度や、iDeCo+(イデコプラス)といった制度があります。
従業員が少ない小規模企業の場合は、企業型確定拠出年金よりはイデコプラスの方が企業の負担が少なく導入しやすいのではないでしょうか。
これらの複数の制度を合わせて利用すれば、大企業並みとはいかないまでも、それなりの退職金制度にすることができるのではないかと思います。
退職金制度と退職資金の準備はセットで考えなくてはいけません。
退職金制度を導入したのに、退職資金の準備は後回しというのでは後になって困りますし、資金が不足する可能性が高くなってしまいます。
それでは、何のための退職金制度かわかりません。
中退共や企業型確定拠出年金、イデコプラスでは、掛金をそのつど拠出しますから、後になって退職金を支払えないということがありません。
この点は会社にとっても従業員にとっても、大きなメリットになります。
先ほども書いたように、会社に退職金制度はあっても、会社の財政状態によっては退職金をもらえないのではないかという心配をしなくていいからです。
退職金制度には注意点もありますが、こういった時代だからこそ導入することによって、他の会社と差別化をすることができます。
従業員に長く働いてもらいたいと思ったら、退職金制度の検討をしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、税理士事務所の場合、ぜいたいきょうというものがあります。
中退共の加入者が3,485,914人に対し、ぜいたいきょうの加入者は17,594人です。
中退共は独立行政法人が行う制度ですが、ぜいたいきょうは一般社団法人が行う制度です。
ぜいたいきょうの方が予定利率が高かったりして優れている面もあります。
退職金制度の場合、何十年も先のことまで考える必要があるので、不安要素はなるべく減らして考えたいですね。
【編集後記】
開業と同時に購入した営業車が3年になるので、車検に出しました。
問題なく(余計な費用がかからずに)終わればいいなぁ。
10年は乗ろうと思っているので、まだまだ元気でいてもらわなくては困ります。