年金の2,000万円不足問題のおかげで、老後のお金について不安に思っている人も多いのではないでしょうか。
老後のお金について、テレビのニュースや新聞の記事、お金に関する本などで言われたり書かれたりしていることは、大体が会社員を対象として話が進められていることがほとんどです。
自営業者については、取り扱いが違うとは言いつつも、ほとんどが会社員の話をします。
自営業者の人の中には、漠然と、自分も会社員と同じようなことが当てはまるのではないかと思ってしまう人もいるかもしれません。
そこで、「自営業者の老後のお金」というカテゴリーをこのブログに作って、記事を書いていくことにしました。
自営業者と会社員の違い
自営業者と会社員では、老後を考えたうえでのお金に随分と違いがあります。
影響が大きいのは、退職金と年金です。
上場企業などでは、40年勤めれば、数千万円以上の退職金をもらえることもありますが、自営業者には退職金はありません。
年金については、自営業者が国民年金なのに対し、会社員は厚生年金です。
国民年金と厚生年金では将来貰える年金の額が倍くらい違うこともあります。
20歳になってから、ずっと国民年金だった場合の受給額は、満額で年80万円弱です。
学校を出て、ずっと会社員であった人であれば、倍以上になる人もそれなりにいると思います。
かなり大きな差です。
しかし、差はこれだけではありません。
会社員の場合、企業年金がある場合もあります。
企業年金も含めると、ずっと国民年金だった人と、ずっと厚生年金だった人の差は、物凄く大きくなります。
先ほどの退職金と合わせると、5,000万円以上の差になることもあるのではないでしょうか。
自営業者の退職金
自営業者は、退職金をもらうことがないので、自分で退職金の代わりとなるお金を用意しなくてはいけません。
国もそのことは考えてくれていて、自分で退職金や年金を準備できるように税制上の優遇制度を作ってくれています。
税制上優遇された制度として、小規模企業共済、iDeCo(個人型確定拠出年金)、国民年金基金などがあります。
小規模企業共済
自営業者であれば、小規模企業共済は、ぜひ加入しておきたい制度です。
自分で掛金を支払って、そのお金が貯まっていき、基本的には引退したときにちょっと増えて戻ってくる感じです。
予定利率は1%なので、それほど増えるということはありませんが、現在の金利状況を踏まえれば少しでも増えることはありがたいです。
さらにありがたいのが、掛金が全額所得控除となり、所得税と住民税の節税効果があることです。
掛金は最大で年84万円を支払うことができますので、所得税と住民税を合わせて、年数十万円の節税効果を得られることもあります(掛金の額と所得税の税率により、節税額は変わってきます)。
数十年掛金を支払い続けることを考えると、節税効果は数百万円にもなることもあり、大変お得な制度となっています。
引退してお金をもらうときに税金がかかることがありますが、一時金でもらうにしても、年金でもらうにしても、税制上優遇されていることに間違いはありません。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
こちらも、小規模企業共済と似たような制度になりますが、自分で運用するという点が大きく異なります。
掛金が全額所得控除になり、所得税と住民税の節税効果がある点は同じです。
また、掛金の上限も年816,000円(自営業者の場合)と、小規模企業共済に近い上限額となっています。
ただし、iDeCoの掛金の上限は次に書く国民年金基金と合わせた金額になります。
iDeCoと国民年金基金を合わせて上限が年816,000円になります。
iDeCoだけでも、国民年金基金だけでもいいですし、両方を合わせることもできます。
iDeCoは自分で運用をしますので、最低限の資産運用の勉強をする必要があります。
最低限の勉強をしたうえで、世界中の株式に投資するインデックファンドを数十年に渡り、積み立てることになるでしょう。
勉強も運用もしたくないという人であれば、節税目的だけで預金で運用するということもできます。
ただし、預金で運用をするのであれば、国民年金基金の方がいいと思います。
運用をしたくない、少しでも減る可能性があるのは嫌だという人は、国民年金基金を選ぶようにしましょう。
iDeCoをやるのであれば、手数料が資産運用に与える影響については、しっかりと勉強したいところです。
手数料を安く抑えるには金融機関選びが大切になりますので、iDeCoを始める前に、金融機関を慎重に選ぶようにしましょう。
金融機関は、SBI証券か楽天証券のどちらかを選べば、間違いは少ないと思います。
資産運用のキーワードとしては、長期、分散、低コストを意識することで、大けがの可能性が低くなります。
それでも、短期的には資産が大きく減少することがありますので、やはり、資産運用に対する勉強は必要になります。
国民年金基金
国民年金基金を選択するのであれば、国民年金基金の特徴である生きている限りもらえるということを重視したいところです。
小規模企業共済もiDeCoも、もらえるお金は決まっていて、その分のお金をもらってしまえば終わりです。
しかし、国民年金基金では終身年金(保証期間なし)を選択することで生きている限り、年金をもらうことができます。
これは予想以上に長生きをしたときのことを考えると、大きなメリットとなります。
国民年金基金の節税効果は、掛金が全額所得控除となる点で、小規模企業共済やiDeCoと同じです。
iDeCoは運用がうまくいかなかったときにもらえるお金が少なくなりますが、国民年金基金で終身年金(保証期間なし)を選択した場合は、早く死んでしまった時に通算でもらえるお金が少なくなってしまいます。
その代わりに、長生きすれば、多くもらえることになります。
iDeCoと国民年金基金はお好みでどちらかを選択するといいと思います。
運用でお金を増やしたいという気持ちが強いのであれば、iDeCoを選択し、生きている限りもらえるというメリットを重視するのであれば、国民年金基金を選択すればいいでしょう。
もちろん、この2つを組み合わせるという選択肢もあります。
まとめ
最初に会社員と自営業者では、5,000万円以上の差があることもあると書きました。
自営業者でも、20年や30年に渡って準備をすることで、この差を多少なりとも埋めることができます。
30年に渡って、これらの掛金を月5万円ずつ支払ったとします。
30年間で支払う掛金の総額は、1,800万円です。
30年間の節税額は、所得税と住民税を合わせた税率が20%の場合で、360万円です。
この節税になった金額をすべて貯金したとします。
そして、1800万円の掛金が運用などで1.3倍になったとすると、2,340万円になります。
この場合、一時金でもらうと税金が発生します。
仮に税金を50万円とします。
これらをすべて考慮すると、
(1,800万円×1.3)+360万円ー50万円=2,650万円
になります。
5,000万円の半分程度の数字ですから、これでも足りないと思うかもしれませんが、何もしなかった場合とでは2,650万円もの差がでます。
2,650万円というのは、とても大きな金額です。
金額はともかく、自営業者であれば、小規模企業共済、iDeCo、国民年金基金を利用して、老後のためのお金の準備をすることをおすすめします。
【編集後記】
あれだけ暑くて大変だなぁと思っていたのに、ちょっと暑さが和らいだだけで、もう夏も終わりかなぁなんて思ってしまいます。
とりあえず、気候の変化で体調を崩さないようにしないといけないですね。