小規模企業共済と経営セーフティ共済の落とし穴

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小規模企業共済と経営セーフティ共済は、小規模企業の経営者や個人事業主にとって、節税の手段としてよく利用されています。

小規模企業共済は、老後のためのお金を節税をしながら貯めていくものです。

経営セーフティ共済は、本来の目的は、連鎖倒産を防ぐためのものですが、支払った掛金が全額経費になることから、節税目的で加入していることが多いものになります。

ちなみに、経営セーフティ共済は、解約時に多額の収入が計上されることから、わたしは、個人事業主の方にはおすすめしていません。

この2つの制度は、節税効果が高いため、おすすめなのですが、注意点もあります。

今回書く注意点は、気にならない人もいると思いますし、税理士でも、この注意点がデメリットにはならないと思う人も多いかもしれません。

ですから、万人に共感してもらえるようなものではないかもしれません。

それでも、個人的には、注意点として知っておいた方が良いと思いますので、記事にすることにしました。

落とし穴(注意点)は、ずばり、お金が増えないこと

正確に言うと、小規模企業共済はちょとは増えます。

小規模企業共済について、小規模企業共済のホームページ上で、シミュレーションをした結果をもとに説明します。

実は、そのシミュレーションを見て、「預金よりも増えてお得」と感じる人が多いです。

わたしの感想は、その逆で、それしか増えないのか、と感じるのですが。

経営セーフティ共済については、お金は一切増えません。

掛けたお金が、そのままの金額で返ってきます。

お金が増えないものに長期間お金を固定することが注意点です。

小規模企業共済のホームページでシミュレーションしてみます。

条件は、加入期間30年、掛金は月額3万円、課税所得は毎年500万円とします。

30年間の掛金総額は、10,800,000円で、30年後に事業を廃止した場合の共済金Aは、13,044,000円になります。

30年間で、2,244,000円増えています。

年間の節税額は、109,500円で、30年間の合計額は、3,285,000円になります。

30年間で、5,529,000円もお得ということになります。

先ほど書いたように、このシミュレーション結果を聞くと、大抵の人は、「こんなにお得なの!」と思います。

確かに、30年間で、5,529,000円お得というのは大きいと思います。

しかし、5,529,000円のうち、3,285,000円は、掛金が全額所得控除になったことによる節税効果です。

実際にお金が増えたのは、2,244,000円です。

2,240,000円でも、凄く増えたと感じる人が多いのですが、30年間の利回りを聞くと、ちょっと印象が変わると思います。

小規模企業共済の予定利率は1%です。

これを聞いても、預金ではほとんど利息が付かないので、1%増えるならいいんじゃない、と思う人が多いです。

では、そういう方のために、似たような制度でイデコ(個人型確定拠出年金)というものがあるので、こちらについても書いてみます。

イデコなら、もっと増えることが期待できる

イデコは、小規模企業共済と似たような目的、制度になります。

掛金が全額所得控除になるので、とても節税効果が高いという点は同じです。

また、掛金の上限も、小規模企業共済は月額7万円、個人事業主の場合のイデコの掛金の上限は、月額68,000円と近い金額になっています。

ただし、小規模企業の経営者の場合は、厚生年金に加入していますので、その場合の掛金の上限は、月額23,000円になります。

小規模企業共済の場合は、予定利率が決まっていますが、イデコの場合は、自分で運用しますので、利率は決まっていません。

運用の結果次第で、もらえる金額は変わってきます。

全世界株式の平均に投資をするインデックスファンドで運用した場合の期待リターンは、年率で5%程度ではないかと思います。

期待リターンの計算方法はいろいろありますし、簡単ではないので、大体5%程度として話を進めます。

では、毎月3万円を30年間、年率5%で運用できた場合どうなるでしょうか。

結果は、2,500万円以上になります。

先ほど、小規模企業共済では、13,044,000円になりましたが、イデコでは、2,500万円にもなります。

比較するまでもないのですが、圧倒的にイデコの方がお金が増える可能性があります。

もちろん、リスクもありますので、運用がうまくいかなければ、こんなに増えないかもしれないですし、もしかしたら、元本割れということも考えられます。

誰にでもおすすめできるものではありませんが、このことを知らないのはもったいないなと思います。

自分で勉強して、その結果、やはり、小規模企業共済の方が良いという人は、小規模企業共済を利用すればいいと思います。

でも、自分で勉強して、そんなにお金が増える可能性があるのであれば、イデコの方が良いと思ったのであれば、イデコを利用した方がいいのではないかと思います。

運用は自己責任になりますので、あくまでも自分で納得して、失敗した場合も自分の責任になることを理解したうえでやることが前提にはなりますが。

まとめ

今回の記事で言いたかったのは、イデコをやりましょうと言うことよりも、小規模企業共済や経営セーフティ共済は、お金があまり増えないのに、お金を長期間拘束されますよ、ということです。

経営者や個人事業主は、基本的には、お金を事業に投資して増やしていきます。

なのに、小規模企業共済や経営セーフティ共済で、あまり増えないものに長期間お金を拘束されることは、デメリットにもなりえますよ、ということが言いたいことでした。

日本では、長い間インフレが起こっていないので、わかりづらいかもしれませんが、インフレが起これば、お金の価値は減っていきます。

インフレが起きたときに、お金が増えていなければ、実質的に損をしてしまいます。

イデコであれば、運用の結果、小規模企業共済よりも大きく増えることが期待できます。

長い目でお金のことを考えた場合、運用するということは有効な手段だと思います。

自分で勉強して、その結果、小規模企業共済や経営セーフティ共済の方がいいと判断をしたのであればいいのですが、運用することを検討もせずに、小規模企業共済や経営セーフティ共済を優先してしまうのはどうかなと思います。

イデコについて、興味を持たれた方は、ぜひ、運用について、少し勉強してみてください。

その際は、長期間にわたって資産形成することを考えてください。

短期的に大儲けするような運用はお勧めしていませんし、運用はあくまでも自己責任ということは書いておきます。

【編集後記】

2歳8か月の長女のイヤイヤが激しくなっています。

そういう時期なんだなと思うようにしています。

そんなイヤイヤ期の長女ですが、最近は洗濯物をたためるようになりました。

アイキャッチ画像は、長女がたたんだタオルです。

1歳になった二女は、2秒ほどですが、手を放しても立っていられるようになりました。


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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。