給与収入の場合の所得税の計算

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所得税の計算の仕組みをおおまかにでも知っていると、どのくらい税金を負担しているか考えられるようになります。

給与収入の場合の所得税の計算の流れ

収入が給与だけの場合の所得税の計算の流れは以下のようになります。

1.給与所得の金額を計算する。
2.所得控除の額を計算する。
3.1から2を引いた金額に税率をかけて税額を計算する。
4.税額控除を計算する。
5・3から4を引いて納付税額を計算する。

1.給与所得の金額を計算する

給与の収入金額から、給与所得控除額を差し引いて給与所得の金額を計算します。給与の収入金額とはいわゆる額面金額です。給与明細では課税支給総額のことで、基本給や残業手当、家族手当などを含みます。通勤交通費は所得税が非課税となっていますので、課税支給総額には含まれません。

給与所得控除額は、給与の収入金額に応じて次のように決まっています。(平成28年の場合)

給与等の収入金額給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%(最低650,000円)
1,800,000円超 3,600,000円以下収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下収入金額×20%+540,000
6,600,000円超 10,000,000円以下収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 12,000,000円以下収入金額×5%+1,700,000円
120,000,000円超2,300,000円(上限)

例えば、給与収入が5,000,000円の場合では、給与所得控除額は5,000,000×20%+540,000=1,540,000円になります。5,000,000円から1,540,000円を差し引いた3,460,000円が給与所得の金額になります。

税金の話をするときに、収入金額と所得金額は違うという話を聞いたことがあるかもしれませんが、この計算がわかれば収入金額と所得金額が違うということが分かると思います。

「給与が103万円以下だと税金がかからない」とか「給与が103万円以下だと扶養に入れる」とか言った場合の給与は収入金額をさしています。同じ意味で「所得が38万円以下なら」と言った場合は、文字通り給与の所得金額のことを言います。

給与所得控除額は最低でも650,000円あるので、収入金額が650,000円以下であれば給与所得は0円になります。給与所得が0であれば、ほかの所得に影響を与えません。

2.所得控除の額を計算する

所得税では、各納税者の個人的事情を考えて所得から差し引くことができる所得控除という制度があります。所得控除には以下の種類があります。

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除

この中で、節税を意識して使うことができるのが小規模企業共済等掛金控除と寄付金控除です。

小規模企業共済等掛金控除には、小規模企業共済と個人型確定拠出年金があり、ひとり社長が両方とも掛金の上限で掛金を支払うとかなりの節税効果があります。

寄付金控除では、数年前から流行っているふるさと納税があります。実質負担2,000円で、色々な返礼品がもらえます。正確には節税とは違いますが、納税者にとってはお得で楽しめる制度です。

3.1から2を差し引いて税額を計算する

給与所得の金額から所得控除の合計額を差し引きます。その差し引いた金額(以下課税所得金額といいます。)に応じて税率をかけて所得税の額を計算します。

課税される所得金額税率控除額
1,950,000円以下5%0円
1,900,000円超 3,300,000円以下10%97,500円
3,300,000円超 6,950,000円以下20%427,500円
6,950,000円超 9,000,000円以下23%636,000円
9,000,000円超 18,000,000円以下33%1,536,000円
18,000,000円超 40,000,000円以下40%2,796,000円
40,000,000円超45%4,796,000円

所得税は超過累進税率が採用されていますので、所得が高ければ高いほど税率が高くなっています。

課税所得金額が3,000,000円であれば、3,000,000×10%-97,500=202,500となり、所得税は202,500円になります。

所得が高ければ高いほど税率が高くなりますが、税率が高くなるのはそれぞれの税率の区分の金額を超えた部分だけです。3,000,000円の場合では、1,950,000円以下の部分は5%で1,950,000円を超えて3,000,000円までの金額部分が10%になります。3,000,000円部分が全部10%になるわけではありません。

4.税額控除を計算する

税額控除には、配当控除、外国税額控除、住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)などがあります。この中では住宅ローン控除は金額も大きくよく使うものになります。

平成28年の住宅ローン控除は最大年400,000円を10年間受けることができます。住宅借入金の年末残高の1%が控除額の限度額ですから、住宅ローン控除を10年間最大で受ける人は少ないと思います。仮に住宅ローン控除の金額が300,000円でも、もとの税額が200,000円しかなければ200,000円しか引けません。税額がマイナスになるまでは引けないのです。

5.3から4を差し引いて納付税額を計算する

3から4を差し引いて納付税額が計算されます。

このような計算過程で所得税が計算されることが分かると、自分がどのくらい所得税を納めているかとか、節税対策でどのくらい効果があるのかがおおまかにわかるようになります。これが分からないと節税対策をしている気になっているだけというようなことも起こりえます。自分の節税対策がどのくらい効果があるのかを知るためにも、大まかな所得税の計算方法を把握しておきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。