役員報酬をいくらにするのがいいのか

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ひとり社長の場合は、自分の給料を自分で決めることができます。

個人と法人を合わせた税額が少なくなることを優先する方法

役員報酬の決め方の一つとして、法人と個人を合わせた税金が一番少なくなるように設定する方法があります。ひとり社長の場合は会社も個人も合わせて一人みたいなものですから、一番合理的な方法と言えるかもしれません。

社長の役員報酬を除いたところで会社の利益を予測します。法人税は会社の利益が800万円を超えると税率が上がるので会社の利益は800万円以下になるようにします。あとは社長の所得税の税率が問題になります。

課税所得が330万円以下であれば、所得税と住民税を合わせた税率が20%ですのでここまでは役員報酬をもらったほうがいいでしょう。給与収入が600万円だと給与所得が426万円になり、所得控除が大体100万円くらいはあるでしょうから、課税所得が330万円以下に収まります。そう考えると役員報酬600万円くらいまでは給与でもらったほうがよさそうだとわかります。

役員報酬が600万円では会社の利益が800万円を超えてしまうという場合は、役員報酬をもう少し高く設定しましょう。

所得税と住民税を考えるとこうなるのですが、社会保険料を考慮すると景色が少し違って見えてきます。役員報酬の14%くらいが個人負担分の社会保険料としてかかります。社会保険料がやすいほうがいいということで役員報酬を上げたがらない社長もいます。そのくらい社会保険料の負担は大きいのです。

所得控除の額は人によって違いますので、ご自身の条件で計算してみてください。小規模企業共済と個人型確定拠出年金の掛金を上限で支払っている人は計算がずいぶん変わってきます。扶養控除の金額が大きい人も同じです。

会社で税金を支払わないように役員報酬を設定する方法

見出しの通りですね。役員報酬を除いた利益をそのまま役員報酬の金額にしてしまう方法です。所得税は超過累進税率といって、所得が高ければ高いほど税率も高くなります。ですから、利益が出れば出るほど、所得税の税率が高くなってしまう方法です。あまり合理的とは言えません。

社長の中には個人の税金を払うのはいいけど、会社では税金を払いたくないという人も少なからずいます。

厚生年金保険料は給与が月額62万円程度で保険料が上限になります。健康保険料も月額139万円程度で保険料が上限になります。所得の高い人にとっては、社会保険料のほうが上限がある分所得税ほど負担を感じないかもしれません。

会社で税金を支払わない人の注意点は、会社にお金が残らないということです。この点を理解して個人でお金を貯めておく必要があります。会社の資金繰りが厳しいときは、社長が会社にお金を貸さなくてはいけないからです。

一時的に目的があって役員報酬を高めに設定る方法

お金を借りるときなど、ひとり社長はサラリーマンよりも金融機関からの信用は低いです。住宅ローンを組む予定のある社長は3年くらい前から役員報酬を意図的に高めに設定しておいたほうがいいでしょう。社長の場合は銀行によっては、源泉徴収票だけではなく会社の3期分の決算書も提出しなければいけないことがあります。役員報酬を高く設定して会社が赤字でも信用は下がるので、難しいところです。

サラリーマンであれば、年収400万円程度でも住宅ローンを組めることを考えると、ひとり社長は厳しいです。家の購入と会社設立が同じくらいの時期の場合は住宅ローンを組んでから会社を設立するといいでしょう。

住宅ローンの借り換えでも同じことがいえます。今は超低金利の時代ですから、金利の高いときに住宅ローンを借りた人は借り換えを検討している人も多いでしょう。この場合も借り換えてから会社を設立したほうがいいと思います。

役員報酬は税務上、変更できるときが限られています。後から決めることはできないのです。予測の利益に基づいて設定することになりますし、個人個人の事情によっても変わります。完璧な設定というのはありませんので、あまり考えすぎないようにしましょう。まぁまぁベストであれば十分というくらいの気持ちで設定するのがいいでしょう。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。