小規模企業、あるいは個人事業主の中には、持続化給付金をもらった方も多くいると思います。
持続化給付金については、税金がかかると聞いた方は多いと思います。
もう少し詳しく聞いた方だと、赤字だと税金はかからないということも聞いたかもしれません。
これらの情報はおおむね正しいとは思いますが、正確ではありません。
今回は、状況別に持続化給付金の課税関係を、法人を中心に見ていきます。
1.持続化給付金をもらわなくても黒字の場合
例 売上1,000万円、経費600万円、利益400万円
税率を25%とすると、この場合の税金は、400万円×25%=100万円になります。
この状態で持続化給付金200万円をもらうと、利益は以下のようになります。
1,000万円+200万円ー600万円=600万円
税金は、600万円×25%=150万円になります。
このケースはわかりやすく、持続化給付金×税率分の税金が増えています。
持続化給付金には税金がかかるということがよくわかるケースです。
2.持続化給付金をもらわなければ赤字だけど、持続化給付金をもらうと黒字のケース
例 売上 1,000万円 経費 1,100万円 利益△100万円
赤字なので、持続化給付金をもらわなければ、税金はかかりません(ここでは地方税の均等割は考慮しません)。
持続化給付金をもらうと、利益、税金はそれぞれ以下のようになります。
利益 1,000万円+200万円ー1,100万円=100万円
税金 100万円×25%=25万円
持続化給付金をもらうことによって、税金が発生しますが、支払う税金は25万円です。
先ほどの50万円より少なくなります。
持続化給付金にかかる税金が安くてお得な気がしますが、このようになる理由はのちほど説明します。
3.持続化給付金をもらっても利益がでない場合
例 売上 1,000万円 経費1,200万円 利益△200万円
持続化給付金をもらわない場合は、赤字なので税金は0です。
この状態で持続化給付金をもらうと、利益は0円になり、やはり税金はかかりません。
赤字がもっと大きければ、税金はもちろん0です。
やっぱり、赤字の場合は、持続化給付金には税金はかからないんだ、ということになります。
しかし、話はそこでは終わりません。
本来なら赤字になる場合の翌年以降の税金
法人税では、赤字を翌年以降に繰り越すことができます。
例えば、当期が100万円の赤字で、翌期が300万円の利益の場合、税金を計算するうえで、翌期の利益300万円から、前期の赤字100万円を控除します。
この場合の税金は、200万円×25%=50万円となります。
このことを踏まえて先ほどの例を見て行きます。
まずは、3番目の例です。
このケースで翌年の利益が200万円だとします。
税金は200万円×25=50万円となります。
では、前期の持続化給付金がなかったとしたらどうでしょう。
持続化給付金がなければ、前期の利益は△200万円です。
この赤字は翌年に繰り越され、翌年の利益は、200万円ー200万=0となり、税金はかからないことになります。
前年に持続化給付金がなければ、翌年の税金は0だったのに、持続化給付金をもらったことで、翌年の税金が50万円発生しました。
これで、時期はずれましたが、持続化給付金に税金がかかっていることがわかりますよね。
2番目のケースでは、前期に持続化給付金がなかったとしたら、赤字の100万円を翌期の利益から控除できますので、その分翌期の利益が25万円減ることになります。
持続化給付金をもらった年に25万円の税金がかかり、翌年にも25万円の税金がかかります。
持続化給付金について、2年で50万円の税金がかかるわけですから、やはり、持続化給付金には税金がかかるということがわかると思います。
まとめ
持続化給付金には税金がかかります。
赤字の場合で、当期の税金が0になったとしても、持続化給付金の分、翌年以降に繰り越す赤字が少なくなります。
そうすると、翌年以降の税金が増えることになります。
持続化給付金をもらった年に税金がかからなかったとしても、その分は翌年以降に課税されることは知っておきましょう。
今年、持続化給付金をもらっても赤字で、持続化給付金をもらっても税金がかからないと喜ぶのはちょっと早いです。
その分、翌年の税金が増えることもあるということを忘れないようにしましょう。
ちょっと話はそれますが、持続化給付金は、消費税を納めるかどうかの売上1,000万円の判定には含めません。
例えば、売上げが900万円で持続化給付金200万円をもらった場合、翌々年は消費税の免税事業者になります。
この点も覚えておいた方がいいと思います。
【編集後記】
急に暑くなりましたし、梅雨入りもしたようです。
今年は、コロナのせいでどうも季節感がおかしくなっているように思います。
日常は少しずつ通常に戻ってきていますが、今年の夏はどうなるのでしょうか。