配偶者控除の見直しはダレトクなのか?

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昨日の日経新聞になりますが、配偶者控除の年収の上限が150万円以下になりそうだとの記事が一面に載りました。

女性の就労を促すというのですが、本当にそうなのでしょうか。

年収が150万円の場合の所得税、住民税と社会保険料で高いのはどっち?

女性の就労を促すという目的で、配偶者控除の見直しが二転三転しています。

今回の日経新聞の記事では、配偶者控除の対象が年収150万円以下になるとのことです。

年収150万円とは、給与収入の場合では、給与の税金などの控除前の額面金額が150万円ということです。

額面金額が150万円の場合の所得金額は、85万円です。

この場合の年間の社会保険料は、大まかに料率を14%として計算すると150万円×14%=210,000円になります。

所得税を、所得控除が社会保険料控除と基礎控除のみとして計算すると、下記のようになります。

(850,000-210,000-380,000)×5%=13,000円(復興特別所得税は考慮しない)

住民税は以下の通りです。

(850,000-210,000-330,000)×10%=31,000円(調整控除は考慮しない)

31,000+均等割5,000=36,000円

所得税と住民税を合わせても、49,000円にしかなりません。

社会保険料が210,000円に対して、所得税と住民税の合計額は49,000円ですから、1/4以下です。

配偶者控除の適用がなくなる納税者は、所得税と住民税を合わせた税率が20%の人で約380,000円×20%=76,000円の影響が出ます。

夫婦合わせた所得税と住民税の合計は、49,000+76,000=125,000円です。

夫婦2人分の所得税住民税の影響よりも、配偶者の社会保険料の負担の方が大きいのです。

社会保険料の130万円の壁が高い

配偶者の勤めている会社の規模にもよりますが、130万円が壁になる場合は、明らかにこの壁が意識されると思います。

それほど、サラリーマンや公務員の配偶者が社会保険料を支払わなくていいということは影響が大きいのです。

配偶者控除の上限を見直しても効果はそれほどない

仮に、配偶者控除の上限が年収150万円になったからといって、今まで103万円や130万円の壁を意識していた人がどれだけ150万円まで働こうとするでしょうか。

103万円の壁を意識していた人は、130万円まで働こうと思うかもしれません。

しかし、103万の壁は税金だけではないのです。

会社によっては、配偶者手当という手当がつくことがあり、この手当てが税法上の配偶者控除と同じ条件になっていることが多いのです。

配偶者手当の条件も合わせて、会社が引き上げてくれればいいですが、配偶者手当をもらえなくなるケースも多いでしょう。

仮に、配偶者手当が月1万円だとすると、年12万円もの手当てがなくなってしまいます。

配偶者控除の上限が引き上げられた場合、会社の配偶者手当の要件が引き上げられるかどうかはわかりませんし、配偶者手当そのものがなくなる可能性もあると思います。

まとめ

所得税の配偶者控除の見直しをしても、女性の就労意識がそれほど変わるとは思いません。

配偶者控除を見直すよりも、女性が働きやすい環境を作る方が効果があるのではないでしょうか。

在宅での仕事や、育児休業をしっかりとれる、短時間勤務を可能にする、転勤がない、社内に保育施設をつくる、周りに育児をしながら働いている女性が多くいるなどの環境を整えることが大事だと思います。

そのためには、周りの従業員の意識改革も必要になるでしょう。そういったところを行政主導で変えていく必要があるのではないでしょうか。

【編集後記】

わたしが以前働いていた職場では、子育て中の女性が多くいました。

それは、職場が子育て中の女性にとって働きやすい環境を整えていたからだと思っています。女性が働きやすい環境をつくることは可能だと思います。

周りの人の意識も、本気でやろうと思えば変えられるはずです。

制度よりも先に、人の意識を変える必要があるのかもしれませんね。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。