国民健康保険に加入している人が、株や配当の確定申告をする前に確認すること

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今回のお話は、国民健康保険に加入している人が、株の譲渡所得や、配当所得の申告をする場合に、注意することを書きます。

国民健康保険税の計算

市町村によって、国民健康保険税と言ったり、国民健康保険料と言ったりします。

わたしが住んでいる四街道市では、国民健康保険税と言いますので、この記事では、国民健康保険税とします。

国民健康保険税の計算方法も市町村によって異なりますが、四街道市を例にとって、話を進めます。

国民健康保険税は、医療保険分、後期高齢者支援分、介護保険分(40歳以上65歳未満の人)の3つの合計により、算出されます。

医療保険分、後期高齢者支援分、介護保険分のそれぞれは、所得割額と均等割額の合計額で求めます。

医療保険分については、これに加えて世帯別平等割額というものがあります。

この中の所得割額に注目します。

所得割額は、以下の算式で求めます。

医療保険分    賦課総所得金額×7.25%
後期高齢者支援分 賦課総所得金額×1.4%
介護保険分    賦課総所得金額×1.56%
計 10.21%(40歳未満の人、65歳以上の人は介護保険分はかかりません)

この総所得金額には、確定申告をした配当所得の金額や、株式の譲渡所得も含まれます。(四街道市には電話をして確認しましたが、市町村によって扱いが異なる可能性があるかもしれませんので、念のため、お住まいの市町村に確認をしてください。)

特定口座内での上場株式等の譲渡所得や上場株式等の配当所得

上場株式等の譲渡所得や、配当所得については、特定口座制度で源泉徴収することを選択した場合には、原則として確定申告は不要になります。

特定口座で源泉徴収ありを選択した場合は、上場株式等の譲渡所得、上場株式等の配当所得ともに、所得税及び復興特別所得税が15.315%、住民税が5%を源泉徴収され、確定申告が不要になるのです。

確定申告不要を選択して、上場株式の譲渡や配当について、確定申告をしない場合は、これらの所得は、国民健康保険税を計算するうえで、総所得金額には含まれないことになります。

一つの証券会社の特定口座内で、株式の譲渡がマイナスで、配当所得がプラスだった場合は、自動的に損益通算されるので、確定申告は不要です。

例えば、株の譲渡が10万円のマイナスで、配当所得が30万円あった場合は、配当所得の30万円から、株のマイナス10万円を差し引いて、配当所得が20万円になります。

しかし、複数の証券会社で特定口座を開いている場合は、違う証券会社間では、損益通算は行われません。

A証券会社では、100万円のマイナス、B証券会社では200万円のプラスの場合、損益通算は行われず、B証券会社で、200万円×20.315%=406,300円が源泉徴収されたままになります。

この場合、確定申告することによって、A証券会社のマイナス100万円が損益通算され、税額は半分の203,100円になるのです。

単純に損失だけが発生した場合は、損失を確定申告することによって、翌年以降に損失を繰り越すことが出来ます。

そして、翌年プラスが出た場合は、確定申告をすることによって、前年のマイナスを控除することが出来ます。

確定申告をすることによって減少する税金と増える国民健康保険税を比較する

先ほど、国民健康保険税の所得割の計算に使われる総所得金額には、確定申告をした株式の譲渡所得や配当所得が含まれると書きました。

逆に言えば、確定申告不要を選択した場合は、特定口座内での株式の譲渡所得や配当所得は、総所得金額に含まれないことになります。

仮に、A証券会社でマイナス10万円、B証券会社でプラス110万円の場合に、確定申告をしたとします。

確定申告をすることによって、減少する所得税税及び住民税は、A証券会社のマイナス分に対する税金20,315円です。

しかし、確定申告することによって、増加する国民健康保険税は、100万円×10.21%=102,100円(所得割額の総額)です。

20,315円の税金が減って、102,100円の国民健康保険税が増えるのですから、確定申告をしない方がいいと言えるでしょう。

前年以前からの損失の繰越がある場合も同様です。

マイナスの方が大きければ、所得は0になりますので、確定申告をした方がいいのですが、プラスの方が大きい場合は、慎重な判断が必要になります。

国民健康保険税には、上限の金額がありますので、お住まいの市町村の上限の金額も確認して判断するようにしましょう。

まとめ

株でマイナスが出ているなら、確定申告をした方がいいよとかいう話を聞いて、喜んで確定申告をする前に、全体を考えて慎重に判断するようにしましょう。

一人社長やサラリーマンで、会社で健康保険に入っている人は関係ありません。

個人事業主などの国民健康保険の加入者の場合は、税金を減らすための確定申告をすることによって、国民健康保険税が、税金の減少分よりも増えてしまうことがあるということは覚えておきましょう。

所得税や住民税よりも、社会保険料の負担の方が大きくなる場合は他にもあります。

税金や社会保険料の合計で、有利になるように判断する癖をつけるようにしましょう。

【編集後記】

昨日は、SMAP×SMAPの最終回が放送されました。

最後の、世界に一つだけの花を聴いているときは、自然に涙が出ました。

今まで、SMAP×SMAPを見ていたわけでもないのですが、年齢とともに、涙もろくなっています。(結構、昔からですが)

最後までメンバーが、全く喋らなかったのは残念な気がします。

今後は、それぞれが個人で活動すると思うのですが、いつの日か、話してくれる時が来ることを期待します。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。