個人型確定拠出年金は、税の繰り延べという部分をあまり強調しなくていい

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個人型確定拠出年金(iDeCo)では、掛金を拠出したときに、掛金が全額所得控除になり、節税効果があります。

その代わり、優遇はされますが、受け取ったときには税金がかかります。(金額によっては、税額は発生しません)

しかし、自分が貯めたお金を受け取るのに税金がかかるのはおかしいのではないか、という意見を聞くことがあります。

ただの税の繰り延べであって、税の優遇じゃないのではないか、という意見まであったりします。(極端な例ではありますが)

普段から税金に関わっている専門家からすると、支払った時に控除しているのだから、受け取ったときに課税されるのは当たり前と考えます。

逆に、支払った時に控除しないのであれば、受け取ったときも課税しないのが当たり前です。

個人型確定拠出年金については、掛金の支払い時の節税効果ばかりがメリットとして強調されることが多いので、一般の人が誤解することもあるのでしょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)は税の繰り延べではあるが、受取時にも優遇される

個人型確定拠出年金は、支払った時に控除して、受け取ったときに課税するのですから、税の繰り延べと言えます。

掛金を支払った時に、本来納付すべき税金が少なくなり、将来受け取るときに納付する税金が発生します。

これだけだと、節税効果がないと思う人がいても仕方がありません。

しかし、個人型確定拠出年金は、受け取るときに一時金として受け取れば、退職所得扱い、年金として受け取れば、公的年金扱いとなり、受け取るときもかなりの税制の優遇を受けることが出来ます。

当然、個人型確定拠出年金について説明するときは、ここまでセットで説明することがほとんどだと思いますが、受け取るときの優遇を理解していない人がいることも事実でしょう。

更に、受け取るときの優遇は、受け取り方法が複数あること、人によって退職所得控除額が異なること、他の退職所得との兼ね合いもあること、などから、人によって様々です。

受け取るときのことが、良くわかっていない人がいても仕方がないのかもしれません。

説明する方も、受け取るのはずいぶん先のことだし、受け取るときの税金は人によって違うから、簡単に説明出来ないということもあるでしょう。

50歳を超えたら、受け取りの具体的なプランも考えよう

個人型確定拠出年金は、50歳を超えたら、受取時のことを具体的に考えた方がいいでしょう。

会社からの退職金があったり、小規模企業共済にも加入している場合は、受け取る時期も税金に大きく影響してきます。

過去にこんな記事も書いています。

ひとり社長なら、個人型確定拠出年金の一時金をもらう時期を考えよう

2016.07.12

個人型確定拠出年金は、退職金や小規模企業共済の一時金とは、退職所得控除額の扱いが異なる部分があります。

通常、退職所得控除額は、前年以前4年内に退職金をもらっている場合は、計算が異なります。

しかし、個人型確定拠出年金の場合は、前年以前14年内に退職金をもらっている場合は、退職所得控除額の計算が異なります。

個人型確定拠出年金の一時金は、60歳以降で受け取ることが出来ますので、60歳の時点で先に受け取ってしまうことで、退職所得控除額を全額控除することが出来ます。

一方、小規模企業共済は、事業を続けている限り加入し続けることが出来ます。

60歳で個人型確定拠出年金の一時金を受け取った後、65歳以降まで事業を続ければ、小規模企業共済でも、満額退職所得控除額を控除することが出来ます。

しかし、40歳以下の段階で、個人型確定拠出年金や小規模企業共済、会社からの退職金がいくらになるのか予想するのはなかなか難しいです。

事業の状況によって退職金の額も変わりますし、掛金を増額したり、減額することもあるからです。

40歳以下くらいの若い人であれば、受け取るときの優遇の仕組みをおおまかに理解していればいいのではないのでしょうか。

50歳を過ぎたら、受取時の具体的なプランを考えるようにしましょう。

まとめ

個人型確定拠出年金は、人によって節税効果が異なるものです。

所得控除ですから、所得が高く税率が高い人ほど節税効果が高くなります。

2017年からは専業主婦でも、加入することが出来るようになりますが、専業主婦にとっては、所得控除による節税効果はありません。(運用中の運用益が非課税になるメリットはありますが、金額は大きくありません。)

大事なことは、自分にとってどのくらいメリットがあるかを理解することでしょう。

そして、どのくらいのメリットかは、支払い時の節税効果はわかりますが、もらうときの節税効果の金額まではわからないというのが現実です。

だから、「個人型確定拠出年金は税の繰り延べ」だという部分を必要以上に強調する必要もないでしょう。

ただ単に節税効果があるとか、ただの税の繰り延べだよとかいう意見に振り回されずに、自分にとってどうなのかをよく検討してから、加入するようにしましょう。

過去記事も参考にしてください。

確定拠出年金を企業型から、楽天証券の個人型確定拠出年金へ移換完了。移換のタイムラグによる影響は凄く大きかった

2016.12.02

個人型確定拠出年金(iDeCo)のおすすめ金融機関 楽天証券とSBI証券の比較

2016.10.10

確定拠出年金に加入する前にデメリットも知っておこう

2016.09.22

【編集後記】

個人型確定拠出年金の大きな特徴は、自分で資産を運用することです。

わたしの場合は、運用が先にあって、それを税制の優遇つきで行えるとは、何て有難い制度なんだと思います。

しかし、資産を運用するということになじみのない人の場合は、税の優遇が先にあります。

運用から先に入る人と、税の優遇から先に入る人とでは、感覚がかなり違うと考えています。

どちらの人にも、わかりやすいような記事を書いていく必要がありますね。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。