確定申告書に限らず、申告書というと色々と記入欄があり、「この欄って何に使うんだろう?」と思うような欄があったりします。
今日は、そんな普通の人があまり使わないような記入欄の中でも、所得税の確定申告書B第二表にスポットをあててみます。
特例適用条文等
あまり使わないといいつつ、この特例適用条文等の欄は、結構使いますし、重要性も高いです。
この欄には、文字通り特例の適用を受けた場合に、その条文を書くことになっています。
一番良く使うのは、住宅ローン控除を受けている人でしょうか。
住宅ローン控除の適用を受ける人については、条文ではなく、居住開始年月日を記入します。
住宅の取得が、特定取得に該当するときは、日付のあとに「(特定)」と記入します。
雑損控除
雑損控除もあまり使うことはないかもしれませんが、最近は自然災害が多いので、知っておいたほうがいいでしょう。
雑損控除とは、災害又は盗難、横領により、損害を受けた場合に受けることができる所得控除です。
災害の被害にあわれた方は、大変だと思いますが、こういう制度がありますので、控除を受けるようにしてください。
要件に「横領」とありますが、振り込め詐欺など、詐欺の被害だと対象にならないことが多いです。
振り込め詐欺などは、被害にあわないように、くれぐれもお気をつけください。
勤労学生控除
この欄も該当する人はそれほど多くないかもしれません。
学校の学生で給与所得がある人は、一定の所得以下であれば、所得控除を受けることができます。
最近は、奨学金をもらっている人も多いので、該当する人はある程度いるかもしれないですね。
該当する人は、忘れずに記入しましょう。
配偶者控除、扶養控除の国外居住欄
この欄は、平成28年分の確定申告書から新しくできたものです。
海外に居住している配偶者や親族について、配偶者控除や扶養控除を受ける要件が厳しくなりました。
親族であることを証明する書類や、送金の事実がわかる書類を添付する必要があります。
該当する場合は、この欄に○をつけて、書類の添付を忘れないようにしましょう。
住民税・事業税に関する事項
1.寄付金税額控除
ふるさと納税については、利用している人も多いと思いますので、簡単に触れることにします。
ふるさと納税は、所得税では所得控除、住民税では寄付金税額控除となり、取り扱いが変わります。
ですから、記入欄も、所得税と住民税の2か所ありますので、注意しましょう。
日本赤十字社や、住所地の都道府県共同募金会、あるいは認定NPO法人などに寄付した場合は、それぞれ該当する欄に数字を記入します。
寄付によって、記入する欄がわかりづらいと思いますが、間違えないようにしましょう。
2.配当に関する住民税の特例
この欄を意識したことがある人はかなり少ないのではないでしょうか。
所得税では、少額の配当所得について申告不要という制度がありますが、住民税にはありません。
ですから所得税で申告不要とした非上場株式の配当所得については、この欄に記入することになります。
もちろん、住民税が課税されます。
特定口座で、住民税が源泉徴収されていれば、この欄にも記入する必要はありません。
3.非居住者の特例
平成28年中に、非居住者であった期間があった人のための欄です。
非居住者期間中の国内源泉所得のうち所得税等で源泉分離課税の対象となった金額を記入します。
4.配当割額控除額
株式の配当について、特定口座で所得税が源泉徴収されていれば、確定申告をする必要がありません。その場合は、この欄も記入しません。
所得税や住民税が源泉徴収されていても、確定申告する場合は、特別徴収をされた住民税の金額を記入します。
配当については、申告の方法が複数あり、わかりづらいです。
特定口座で源泉徴収されていて、確定申告しないのであれば問題はないのですが、確定申告する場合は、注意する必要があります。
個人事業主の場合は、国民健康保険料の計算にも影響をあたえることになります。
5.株式等譲渡所得割控除額
4の配当割額の株式の譲渡版です。
6.非課税所得など
この欄は、該当する人にとってはとても大事な欄です。
事業税の計算に使われるのですが、事業税の計算では非課税となるものがありますので、該当する人は必ず記載しましょう。
社会診療報酬等にかかる所得は非課税ですので、医師の方だと金額も大きくなります。
7.その他の事業税に関する事項
事業税に関する事項の、その他の欄で該当する場合は記載します。
開業年だと、開業した月日を記入します。
8.所得税で控除対象配偶者などとした専従者
ここは、かなりマニアックな項目です。
わたしは15年くらいこの業界にいますが、この欄に数字が入っているのを見たことがありません。
所得税では、配偶者控除の金額が38万円ですが、住民税では33万円です。
配偶者が事業に従事していて、年33万円超38万円未満の給与を支払う場合、所得税では、専従者とせずに配偶者控除を受け、住民税では専従者として専従者給与を支払った方が得ということになります。
その際に記入する欄になりますが、実際に所得税では配偶者控除を受けるが、住民税では専従者給与を支払っているという人は見たことありません。
この欄に記入する人は、全国にどのくらいいるのでしょうか。
まとめ
あまり使わないと言いながら、結構使う住宅ローン控除を受ける場合の居住開始年月日から、記入されているのを全く見たことのない欄まで、色々紹介してきました。
今日の記事は、「そんな欄があるんだぁ」と軽く読み流していただければと思います。
【編集後記】
朝、車のフロントガラスが凍っていました。
しばらく寒い日が続くみたいです。
冬は苦手なので、早く暖かくなって欲しいです。