独立したら、自分の思ったようにやってみたいと思う人は多いでしょう。
飲食店であれば、理想の味を追求したり、美容室やエステサロンであれば、素敵な雰囲気を演出するような空間をつくることだったりすると思います。
しかし、独立直後に資金があまりなかったり、売上が心もとないときは、理想ばかり追い求めていても、お金がないという現実に勝つことはできません。
いきなり理想通りにはならない
例えば、飲食店で、ちょっといい食材を使って、こだわった調理法で自分の納得のいく味になるような料理を提供したとします。
しかし、この料理を作った場合の原価率は40%です。
一般的な飲食店の原価率が30%だとすると、原価率が10%も高くなってしまいます。
それでも、こだわって作った料理だから、お客様もきっと満足してくれると自信を持って提供します。
結果、開店直後で認知度も低く、思うようにお客様が来ず、赤字になってしまう。
こういうケースは多いと思います。
まず、原価率が通常よりも10%も高いということは、かなり大きな影響を与えます。
商売をしたことがない人は、10%くらいと思うかもしれませんが、商売人であれば、0.1%単位で原価率を気にします。
数%も違えば、異常と言えるレベルです。
10%も原価率が違うのは問題外と思いましょう。
もちろん、目玉商品として、一部の商品の原価率のみ高いというようなケースはありえます。
その場合は、原価率の低い商品も合わせて注文してもらい、全体の原価率の帳尻を合わせる必要があります。
妥協点を見つける
独立直後の資金があまりない状態でのこだわり過ぎは、致命傷になりかねません。
妥協点を見つける必要があります。
似たような味や食感で値段が安い食材を使うとか、手間のかからない調理法に変えてみるとかしてみましょう。
原価率を30%までに抑えようというのであれば、原価率30%でおさまる食材や調理法で一定水準以上の料理を作らなければいけません。
原価率40%の料理よりは、多少劣るかもしれません。
しかし、これならお客様も満足するだろうという料理を工夫して作らなければ、事業として成立しないのです。
独立後、数年経って、口コミで認知度が上がり、単価もあげられるようになったときに、自分が本当に満足のいく料理を提供しても遅くはないはずです。
事業が安定するまでは、妥協点を見つけて事業の継続性を重視しましょう。
軌道に乗ったあとにまで影響を与えてはいけない
例えば、認知度を上げるために、最初は低価格路線で勝負したとします。
その結果、安いお店という評判になってしまいました。
お客様に安いお店と認識されてしまった後に、自分が納得のいく料理を高価格で提供しようとしても、お客様のニーズと合わなくなってしまいます。
本来、高価格帯のお店を目指すのであれば、開店当初に妥協したとしても、安いお店という認識を与えてしまうのでは、目指す方向性が変わってしまいます。
お店が軌道に乗ったあとのことも考えて、将来に悪影響の出ないような妥協点で勝負する必要があります。
一度ついてしまったイメージを変えるのは、簡単なことではありません。
安易な妥協をして、将来に悪影響を与えてしまっては、本末転倒です。
まとめ
飲食店を例にとり、独立直後の理想と現実について書いてみました。
独立したからといって、すぐに自分の思うようにはいきません。
事業を継続するために必要な資金がなければ、続けることができません。
自分の理想とする仕事ができるように、まずは、妥協点を見つけながら、事業の基盤を築くことから始めましょう。
【編集後記】
今日は、村上春樹さんの「騎士団長殺し」の発売日です。
早速購入しました。
先日の記事でも書いた通り、わたしは、じっくりと読むタイプなので、時間をかけてゆっくりと楽しみたいと思います。