赤字の場合に、全ての経費を計上すべきかどうかは悩ましい問題もある

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今回の記事は、会社を前提にして書きます。

赤字の場合、「この経費は計上しなくていいや」と言う社長は多くいます。

赤字の場合は、どうせ、税金は最低限発生する地方税の均等割7万円だけだからです。

だから、これ以上経費を計上しなくてもいいと思うのです。

赤字のときに、全ての経費を計上することに意味はあるのでしょうか。

基本は全ての経費を計上する

結論から言うと、基本的には全ての経費を計上しましょう。

赤字だから経費を計上しなくてもいいとは思わないようにしましょう。

本質的な話をすると、全ての経費を計上しない場合は、会社の真実の姿が見えなくなります。

本当だったら、いくらのマイナスが出ていたのかがわからなくなってしまうのです。

税務上の話をすると、赤字は翌年以降に繰越すことができます(青色申告の場合に限ります)。

例えば、前期が100万円の赤字で、当期に300万円の利益が出ているとしたら、前期の赤字の100万円を当期の利益から控除することができます。

結果として、当期は200万円の利益に対して税金がかかります。

この赤字は9年間繰越すことができます。

赤字には将来の税金を減らす効果があるのです。

仮に、前期に、赤字だからと言って、100万円分経費を計上しなかったとしたら、当期は300万円の利益に対して税金がかかることになってしまいます。

2~3期赤字が続くと、赤字が大きいのも嫌になりますし、将来この赤字を控除することもあるかどうかわからないという気持ちになりがちです。

しかし、9年という時間は長いです。

会社が存続していれば、赤字を全て控除できることの方が多いです。

対銀行などで黒字にしたい場合

そうは言っても、融資を受けている、あるいは融資を受けようと考えている場合は、赤字では融資を受けられないケースもあります。

経費を削ってでも黒字にしようと思ってしまうかもしれません。

こういった時でも、安易に経費を計上しないという選択をするべきではありません。

経理処理には複数の選択肢があることがあります。

そういった場合に、なるべく黒字になるような方法を選択するという手もあります。

例えば、設備投資をした場合に、減価償却方法を定額法にするとか、棚卸資産の評価方法を変更するとかいったことが考えられます。

他にも、許されている経理処理の範囲内で、利益が出るような方法を選択すると、数字は結構変わる場合もあります。

安易にしてはいけないことは、経費を計上しなかったり、粉飾をしてしまうことです。

どちらも癖になります。特に、粉飾は一度やってしまうと、元に戻すのは大変です。

悩ましい問題

それでも悩ましい問題もあります。

例えば、社長の持ち家が自宅兼事務所になっている場合に、社長個人に家賃を払うかどうかという問題があります。

会社としては、社長個人から事務所部分を借りているわけですから、通常であれば家賃を支払います。

しかし、会社の状況が厳しいのであれば、家賃を払えないし、計上しなくてもいいと思うことでしょう。

あるいは、自宅兼事務所の光熱費、プライベートと半々で使う携帯料金の仕事使用分、仕事に繋がるか微妙な飲食費なども同じです。

会社に利益が出ていれば、積極的に経費に計上したいものです。

この辺りの経費は、悩ましい部分です。

完全に仕事とは言い切れないような経費が該当します。

場合によっては、経費に計上しないという選択肢もあるかもしれません。

しかし、社長の役員報酬がある程度あるのであれば、役員報酬を減らして、これらの経費を計上したほうがいいです。

役員報酬には、社会保険料もかかりますし、社長個人の所得税や住民税もかかります。

経費に計上しないとなると、役員報酬から税金を支払った後の社長個人の財布から支払うことになってしまいます。

役員報酬も最低限の金額になっている場合は、役員報酬を減らせないので、難しい問題になります。

自宅兼事務所の家賃は、社長個人の不動産所得の経費の範囲内であれば、社長個人の所得は発生しませんので、個人の税金には影響を与えません。

まとめ

赤字の場合の経費について書きました。

基本的には、赤字は翌年以降の利益から控除することができるので、経費は全て計上したほうがいいです。

融資を受けている、あるいは融資を受けようと考えている場合で、社長個人の自宅家賃や、自宅兼事務所の光熱費、仕事に繋がるかどうか微妙な飲食費などがある場合は、計上しないことも検討してもいいかもしれません。

その前に、経理処理の変更などで対応できる部分があるかどうかは検討する必要があります。

更に、役員報酬を高めに設定していて、他の経費を削るのは税金上もったいないです。

役員報酬が高めであるならば、まずは役員報酬を減額しましょう。

悩ましい問題もありますが、これらのことを総合的に考えて、経費に計上できるものは全て計上することをおすすめします。

【編集後記】

涌井のロッテ残留が決まりました。

あれだけメジャーに行きたいと言っていたのに、「千葉ロッテへの思い」とか言われても微妙な気はしますが、千葉ロッテに残留するからには、頑張ってもらいたいですね。

投手陣は、外国人投手が頑張ってくれれば、結構いい感じになるのかなと期待しています。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。