一括償却資産とは
一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産について、3年間で均等償却する償却方法をとった資産のことを言います。
一括償却資産は、3年で均等償却します。
例えば、2018年に15万円で取得した一括償却資産は、2018年、2019年、2020年の3年間で毎年5万円ずつ償却します。
3年で均等に償却するのと、「一括」の意味が繋がらないという人も多いのではないでしょうか。
一括償却資産という名前からは、取り扱いがわかりづらいと思います。
例えば、3年均等償却資産とかにした方がわかりやすかったと思います。
さらに「一括」という言葉と勘違いしそうな言葉に、「一時償却」や「即時償却」という言葉があります。
知らない人が見たら、一時償却する資産のことを一括償却資産というのかなと、勘違いしてしまいそうです。
一括償却資産の一括とは、その年に取得した10万円以上20万円未満の資産で一括償却資産として償却する資産を一括して償却費を計算するので、一括償却資産と言います(多分)。
例えば、2018年に以下の資産を取得し、一括償却資産とすることとします。
・パソコン2台 15万円×2=30万円
・エアコン 18万円
・応接セット 15万円
・スマートフォン 12万円
この場合、1年間に一括償却資産を75万円取得したことになります。
減価償却費は、75万円×12/36=25万円となります。
通常の減価償却資産であれば、個別に資産ごとに減価償却費を計算しますが、一括して減価償却費を計算するので、一括償却資産と言います。
ポイントは、月割りをしないことと、途中で除却や売却があったとしても、3年均等償却を続けることです。
2018年12月に取得したとしても、月割りはせずに取得価額の12/36が減価償却費になります。
そして、この資産を翌年に売却、あるいは除却をしても、3年に渡って均等償却をします。
法人の設立1期目などで、事業年度が5ヶ月しかないような場合は、5/36が減価償却費になります。
その場合は、4期目まで償却が続くことになります(もちろん、4期目の償却は未償却の残額のみ)。
事業年度が1年でない場合は、気をつけましょう。
一括償却資産は少額減価償却資産のせいで地味な存在に
一括償却資産は、平成10年4月1日以降に取得した資産に適用されます。
わたしが、この業界に入った頃は、使い勝手のいい存在だったと思っています。
しかし、平成15年4月1日には、30万円未満の少額減価償却資産については、経費処理ができるようになりました(青色のみ、金額の上限あり)。
通常は、早期に償却出来た方が税金上有利なため、少額減価償却資産として費用処理をすることが多くなりました。
一括償却資産の存在はたったの5年で地味なものとなってしまったのです。
それでも一括償却資産を使う理由
それでも、わたしは一括償却資産を使うことはよくあります。
1つ目の理由は事業開始初年度などで利益が少ない時、又は赤字のときに使います。
1年目は利益が出ないということも多いですから、一括償却資産をよく使います。
2つ目の理由は、償却資産に該当しないという理由です。
工具器具備品などは、償却資産の対象となります。
償却資産の対象となると、固定資産税がかかります。
しかし、一括償却資産は、償却資産の対象にはならないのです。
先ほどの10万円以上30万円未満の資産について、少額減価償却資産として費用処理した場合は、償却資産の対象になります。
償却資産には、免税点があり、150万円未満の場合には課税されません。
ですから、固定資産税がかからないのであれば、少額減価償却資産でもいいのですが、資産の購入が重なったりして、固定資産税がかかってしまうこともあります。
これを避けるために、10万円以上20万円未満の資産については、一括償却資産を使うということもあります。
まとめ
一括償却資産は、名前からして内容がわかりづらいし、少額減価償却資産の陰に隠れて地味な存在です。
しかし、事業開始1年目や固定資産税を少なくしたいという場合には、有効な選択肢になります。
一括償却資産って何?という人は、一度一括償却資産のことを調べてみてもいいと思います。
また、10万円以上30万円未満の資産については費用処理しかしたことないという人も、一度、償却資産の免税点をオーバーしそうになっていないか確認をした方がいいと思います。
気づかないうちに少額減価償却資産で償却資産の免税点を超えているということもあります。
【編集後記】
プロ野球のキャンプインが近づいてきました。
今年の千葉ロッテは一味違うと思っているので、キャンプから楽しみですね。
アイキャッチ画像のmacbookや、事務所で使っているデスクトップパソコンも一括償却資産として処理しています。