1人社長は社会保険料の負担が大きいということを知っておこう

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法人成りを検討する際に欠かせないのが、社会保険料の検討です。

個人事業主は国民年金に加入し、法人成りをして会社から役員報酬をもらえば、厚生年金に加入することになります。

ただそれだけのことなのですが、支払う保険料と将来もらう年金の額が随分と異なるため、十分な検討をして理解をしておく必要があります。

今回は、今話題になっている年金にスポットをあてるため、健康保険については触れないこととします。

国民年金と厚生年金

個人事業主は国民年金に加入します。

国民年金の保険料は、令和元年6月の時点では月額16,410円です。

国民年金の保険料を20歳から60歳までの40年間支払うと、65歳以降生きている限り、年金を毎年78万円ほどもらえることになります。

数字を見てわかる通り、国民年金だけでは、老後の生活費としては厳しいと思います。

国民年金の保険料を少しでもお得に支払いたいということでしたら、2年前納やクレジットカード払いを検討するといいでしょう。

クレジットカード払いでの2年前納の場合は、2年間で保険料が14,520円割引になります。

加えて、クレジットカードのポイントを1%とすれば、2年で3,700円相当のポイントがつきます。

対して、厚生年金はどうかというと、令和元年6月時点の保険料率は、会社と個人で、9.15%ずつ負担することになっています。

実際には、等級があって、等級ごとに保険料が決まっています。

例えば、役員報酬の月額が40万円の場合の厚生年金保険料は、会社と個人でそれぞれ37,515円ずつ負担します。

国民年金の倍より少し多い金額です。

現在厚生年金をもらっている人の平均が月額14万5千円程度ということですから、国民年金の倍の保険料を支払って、もらえる金額も倍より少し多い程度ということです。

厚生年金の場合は、役員報酬の額によって、将来もらえる年金の額が変わりますので、これより多い人もいれば、少ない人もいるでしょう。

これだけ見ると、自分が支払う保険料と、将来もらえる年金のバランスが取れているようにも思えます。

しかし、話はそう簡単ではありません。

厚生年金保険料の会社負担分を忘れない

すでに気づいている人も多いと思いますが、さきほど厚生年金保険料を会社と個人で負担すると書きました。

個人が負担する保険料と同じ額を、会社も負担することになります。

そう考えると、役員報酬が月額40万円の場合の、実際の厚生年金保険料は75,030円になります。

40万円の役員報酬に対して、75,030円の負担というのは、いかにも大きいように思います。

会社員の場合は、厚生年金の保険料を半分会社が負担してくれるので、会社員にとってはありがたいと思うのですが、1人社長の場合は、会社負担分も個人負担分も、実質自分で稼がなくてはいけないし、自分で負担しなくてはいけないようなものです。

ですから、会社員の2倍の保険料を負担しているような感じになるのです。

国民年金の保険料と比べると、4.5倍にもなります。

ちなみに、国民年金も税金でまかなわれている部分があります。

実際は、会社負担分は経費になりますので、その分法人税が安くなるということはあるのですが。

将来もらう年金を増やしたいと思ったら、役員報酬を増やさなくてはいけません。

厚生年金の等級は62万円が最高ですので、それ以上に役員報酬を上げても、保険料も将来もらえる年金の額も変わりません。

厚生年金の保険料には上限がありますので、役員報酬が月額で62万円を超えてくると、保険料の負担感は弱まります。

負担感は弱まりますが、将来もらえる年金もそれ以上にはなりません。

さらに、今回は触れていない健康保険料については、等級が139万円までありますので、話はさらにややこしくなってしまいます。

ちなみに、役員報酬が月額62万円の厚生年金保険料は会社負担分と個人負担分を合わせると、113,460円にもなります。

将来、国民年金では不安だから厚生年金に加入したいと思う人は多いと思います。

しかし、1人社長の場合は、厚生年金に加入すると、保険料の負担が会社員よりも大きくなります。

会社員の会社負担分の厚生年金保険料も人件費だということをよく言います。

確かにその通りだと思いますが、もし、厚生年金保険料がなかったら、厚生年金保険料分の給料が上がるかというと、必ずしもそうはならないと思っています。

ですから、やはり1人社長の厚生年金保険料の負担は、会社員よりも大きいと言えます。

まとめ

会社を設立する際に、国民年金では将来が不安なので、厚生年金の方がいいと言う人は多いです。

しかし、実際の保険料の説明をすると、皆さん唸ってしまいます。

社員が10人くらいいると、自分の分の会社負担分の保険料の負担の大きさは薄れますが、1人の会社の場合は、もろに1人で負担するという点が強調されてしまいます。

年金をもらうときのことまで考えれば、負担が大きくても厚生年金に加入しておいた方が良いという考え方もあります。

もし、国民年金に加入している人が、厚生年金との差額をまかなおうと思ったら、小規模企業共済や個人型確定拠出年金を利用することになるでしょう。

その分が会社負担分の厚生年金保険料に相当するんだと思えば、負担感は少なくなるかもしれません。

負担なしに、将来の年金を多くもらえることはないので、負担の大きさと将来の給付の額をイメージしながら、保険料を受け入れるようにしましょう。

【編集後記】

プロ野球の交流戦は、毎年パリーグのチームの方が勝率が高いです。

そういった状況で負け越すと、パリーグの他の球団との差が大きく開いてしまいます。

今の千葉ロッテがまさにそういった状態です。

ここからなんとか巻き返して、交流戦の勝ち越しを目指して欲しいです。


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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。