人の経験談を聞くことは、とても参考になります。
ただし、全てを信じてしまうのは危険かもしれません。
時代や環境の違いに気をつける
成功者の体験談を聞くときに、最初に気を付けたいのが、時代や環境の違いです。
時代の流れは早いので、10年前に通じたことが、今では通じなくなっていることも多いです。
例えば、税理士事務所で10年前に、ホームページやブログで集客して成功したという話を聞いたとしても、その方法は今では全く通用しないかもしれません。
今では、ホームページがあることは普通のことですし、ブログというツールも時代に合っているかというと、微妙な感じになっていると思います。
ただし、ホームページやブログの効果がないわけではありません。
今でも、ホームページやブログは、使い方次第では有効に機能すると思います。
そういった場合、なぜ、10年前に、その人はホームページやブログで成功できたのかを考えるといいかもしれません。
まだ、それほどホームページやブログに力を入れている税理士事務所が少なかったから、他と差別化できたのであれば、それを今の時代に合わせて、ホームページやブログを時代に合うように変えていければ、今でも通用するやり方になるかもしれません。
人の話を聞いて、ただホームページやブログを始めただけでは、期待するような効果は得られないでしょう。
他にも、かつてDMで集客して成功したという経験談を聞いたとします。
当時は、まだインターネットやメールが普及していなかったのであれば、DMはとても有効な手段だったかもしれません。
そうであるならば、インターネットやメールが発達した時代に、DMに変わりえるものは何かということを考えれば、効果的な手法が見つかるかもしれません。
時代の違いで大きいことには、精神論、根性論といったものがあります。
これは、どの世界でも言えることかもしれませんが、残念ながら、こういった経験談は聞き流した方がいいケースも多くあると思います。
精神論や根性論には、法律に反していることも目につきます。
残業代が出ないのに、残業をすることを美徳とするような考えが主な例です。
こういう法律に反していることを、堂々と成功の経験談として話す人がいまだにいると思いますが、そういった場合は聞き流す、できれば、最初から聞かないようにした方がいいでしょう。
記憶や経験を美化している話には気をつける
人は、自分の記憶や経験を美化してしまうことがよくあると思っています。
ブラック事務所で、理不尽なことをたくさん経験していたが、その後独立して、今は成功している人がいたとします。
その人が、過去を振り返って「勤務時代はブラック事務所だったし、理不尽なこともたくさんあったけど、その経験が今に生きている。若いときには、そういった経験もした方がいいよ。」
と、若い人にアドバイスをしたとします。
これを聞いてどう思うでしょうか。
わたしなら、「あー、この人は、経験や過去の自分を美化してしまっているんだな。」と思います。
そして、わたしがその人の立場だったら、こういうでしょう。
「勤務時代がブラック事務所だったから、独立後は、それを反面教師として、いい事務所にしたいと思って頑張っている。自分、家族、従業員、お客様、全てにとっていい事務所になるように考えてやっている。」と。
過去を振り返って、あの経験があったからこそ今があるという言葉はよく聞きます。
ただし、そういった話を素直に聞いてしまうことは、色々な問題があると思います。
サービス残業、体罰、パワハラ、セクハラ、20年前だったら、当たり前にあったことかもしれませんが、今は時代が違います。
昔は当たり前だった、逆に、その経験が役に立っているというような話あまり聞きたくありません。
むしろ、昔はそうだったから、今は、そういったことをしてはいけないよ、と言ってくれた方が、よほど役に立つのではないかと思います。
まとめ
今回、この記事を書いた理由は、ツイッターで、独立前は経験を積むためと割り切って環境が悪くても我慢した方がいいみたいなつぶやきを見たためです。
言っている人は本心で言っていると思いますが、こういった意見は、やはり、かなり割り引いて聞かなくてはいけないなと思います。
悪い環境で経験を積まなくてはいけない理由は何もないからです。
いい環境で経験を積める場所があるならば、そこを探した方がいいですし、今なら、ネットなどの発達により、そういった場所を見つけることもある程度はできるはずです。
そういった時代であるにも関わらず、今でも、ツイッターを見ると、随分と我慢して働いている人がいるように思います。
何でそんなところで働いているんだろう、と思ってしまいます。
もちろん、人それぞれ色々な事情がありますので、何らかの理由があるのだと思います。
色々な理由があるとしても、人の経験談を聞く際は気をつけた方がいいと思います。
【編集後記】
上の娘は、1歳10か月になり、発する言葉もだいぶ増えてきました。
大人の行動を真似することも多く、わたし自身の行動に気を付けないとなあと思うこともあります。