粗利益を分析しよう

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粗利益の合計額だけを見ても会社の数字の分析はできません。例えば、飲食店であれば、商品の種類ごとに粗利益を把握しましょう。

商品の種類ごとに粗利益を把握する

ラーメン屋さんを例にみていきます。麺屋四街道というラーメン屋さんのある1か月の商品ごとの売上や粗利益が下記のような数字だったとします。

商   品単価個数売上粗利益率粗利益
ラーメン7001,000700,00070%490,000
つけ麺800700560,00065%364,000
トッピングチャーシュー250500125,00050%62,500
トッピングメンマ10050050,00080%40,000
トッピングのり10050050,00085%42,500
ビール300500150,00050%75,000
日本酒500300150,00075%112,500
合   計1,785,00066%1,186,500

麵屋四街道は、1か月の売上目標が200万円、粗利益の目標が138万円です。これを合計の数字だけで見ると、売上が215,000円足りなく、粗利益で203,500円足りません。では闇雲にとにかく売上を増やせばいいのでしょうか。

ここで、新商品を考えてこだわりの味噌を使った特製北海道味噌ラーメンという商品を売り出したとします。この特製北海道味噌ラーメンは材料にこだわっているので、販売価格は1,000円、粗利益率は50%です。売上だけ見れば、この新商品を月に215杯売れば目標を達成できますが、粗利益は1,294,000円にしかならず、目標を達成できません。

売上だけを見ても、粗利益は改善されないのです。このお店では商品ごとに粗利益率が違うので、そこを分析する必要があります。目標の粗利益率は69%なので、目標を達成するには粗利益率を改善する必要があるのです。今回の新商品は材料にこだわったために粗利益率が低いので、これでは売上を増やしたとしても目標を達成できないことがわかります。

では、上記の表をみて粗利益率を改善するにはどうしたらよいか考えてみましょう。この中で粗利益率が目標の70%超の商品は、メンマ、のり、日本酒です。これらの商品の売上を増やせば粗利益率が改善されることがわかります。

メンマやのり、日本酒の粗利益率は高いですが、単価が低いため全体に与える影響はラーメンやつけ麺ほどではありません。単価の高いラーメンやつけ麺の粗利益率を改善したほうが、全体の粗利益率も改善されることがわかります。例えば、これらの材料を工夫したりすることで、それぞれ2%の粗利益率を改善すると、全体の粗利益率が68%に改善されます。

どうしたら目標が達成できるか考える

商品ごとの粗利益率の改善や、粗利益率の高い商品の売上を増やすことで目標に近づくことができます。

商   品単価個数売上粗利益率粗利益
ラーメン7001,300910,00072%655,200
つけ麺800700560,00067%375,200
トッピングチャーシュー250500125,00050%62,500
トッピングメンマ10060060,00080%48,000
トッピングのり10060060,00085%51,000
ビール300500150,00050%75,000
日本酒500360180,00075%135,000
合   計2,045,00069%1,401,900

上記のように、ラーメンやつけ麺の粗利益率を改善したり、販売個数を増やしたりすることで目標を達成することができます。

商品ごとの粗利益率が分かっていないとどうやって改善したらいいかわからないのです。こうして考えていると、分析や改善は簡単なことのように思えてきます。

実際は、粗利益率は複数の要素によって決まりますし、粗利益率を大まかにしか把握していない社長が多いものです。

粗利益率を把握するのが難しい場合は、個別と全体で考える

商品や製品、現場の種類ごとに粗利益率を把握することができることが一番です。詳しくわからない製品でもおおまかには把握しましょう。

今回はラーメン屋さんを例に出しましたが、建設や工事などの一つの現場の金額が大きい会社ではおおまかにでも現場ごとの粗利益を知る必要があります。金額の大きいものの粗利益が分からなければ、へたをすると一つの現場で大きな金額の赤字が計上されてしまいます。

複数の商品を扱う場合は、お客さんを呼ぶため、あるいは他の商品とセットで買ってもらうためなど、戦略的に粗利益率を低くして販売する商品があるのはありだと思います。この戦略もそもそも商品ごとの粗利益率が分かっていなければできないことです。

一つ一つの粗利益率を把握しているつもりでも、全体でみると粗利益率が思ったよりも悪いケースもあります。社長の頭の中の数字と実際の数字が違っていたり、原価の認識が間違っていることがあるからです。原価になる経費を販売管理費だと思ってしまったために、粗利益率を見誤ることもあるのです。

会社の粗利益の改善のために、まずは商品の種類ごとの粗利益率の把握に努めるようにしましょう。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。