個人事業主または小規模企業の経営者なら小規模企業共済から始めよう
資産形成は、制度上優遇されているものから始めるのがいいでしょう。その中でも最初に考えられるのが小規模企業共済です。
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金をつみたてる制度です。掛金が全額所得控除になるため、節税効果が高いことが大きな特徴です。
所得控除ですから、掛金に税率をかけた金額分の節税になります。所得税の税率は以下の表のとおりですから、課税所得が600万円の人であれば20%の税率になります。住民税の10%と合わせると税率は30%です。
小規模企業共済の掛金の上限額は月額7万円ですから、年間84万円になりますので節税額は840,000×30%=252,000円です。これを20年間続けると、20年間の節税額は5,040,000円にもなります。すごく優遇されていることがわかります。
所得税の速算表
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
2番目に個人型確定拠出年金を検討する
個人型確定拠出年金も小規模企業共済と同じで、掛金が全額所得控除になり節税効果が高いものになります。
掛金の上限は個人事業主と経営者で違い、個人事業主の場合は月額68,000円、経営者の場合は月額23,000円(厚生年金に加入している場合)になります。節税効果は所得税と住民税を合わせた税率が30%の個人事業主で、816,000×30%=244,800円、経営者の場合で276,000×30%=82,800円となります。20年間の節税効果は、個人事業主が4,896,000円、経営者で1,656,000円です。特に個人事業主の場合の節税効果は小規模企業共済と同じくらい大きいです。
個人型確定拠出年金の場合は預金で運用することもできますが、資産形成という視点でみると投資信託で運用するのがいいでしょう。もちろん、低コストのインデックスファンドをおすすめします。個人型確定拠出年金では運用が上手くいった場合の運用益も非課税になります。運用が上手くいかなければ、損失が発生することもありますが。
その次にNISAをやってみる
小規模企業共済と個人型確定拠出年金を上限までつみたててまだつみたてる金額がある場合は、NISAを検討しましょう。
NISAは、投資信託などの運用益や分配金が非課税になる制度です。節税の効果という点で、小規模企業共済や個人型確定拠出年金に劣ります。投資金額の上限が年間120万円です。10%値上がりしたとしても税率が約20%ですから、120,000×20%=24,000円の節税効果にとどまります。それでも長期にわたる資産形成ではそれなりの効果はあると思います。
小規模企業共済と個人型確定拠出年金を上限の掛金にすると年間1,656,000円の掛金になります。これを20年間つみたてると33,120,000円になります。この間の節税効果は税率30%の場合で9,936,000円(個人事業主の場合)です。実質23,184,000円のつみたてで33,120,000円になるのです。これを利用しない手はないと思いませんか。
NISAは2015年までが年100万円、2016年以降が年120万円で最大5年間ですから、限度額いっぱいで購入したとして5,600,000円です。
3つの金額を合わせると38,720,000円になります。これに、個人型確定拠出年金とNISAの運用益が加わります。公的年金と合わせて、老後の資金はこれでかなりの部分まかなえるのではないでしょうか。
小規模企業共済と個人型確定拠出年金は基本的に老後のための資金です。その前に使う予定のお金は別に用意しなくてはいけません。順番としては、そちらのほうを先に準備します。生活資金や子供の教育費、余暇を楽しむためのお金などとは別につみたてることになるのです。
今の生活費をまかなって、更に節税効果の高い制度を利用して資産形成できれば、老後のお金の心配も取り除かれることでしょう。