今週号の週刊ダイヤモンドは、「国税は見ている 税務署は知っている」ということで、税理士にとっても、興味深い内容でしたので紹介します。
富裕層が狙われている
「国税の本気」ということで、富裕層が狙われていることが書かれています。
税率の安い外国を使って節税することを防ごうということです。
ここで書かれているようなことは、本当の富裕層のことです。億単位で利益が出るとか、資産を数十億円以上もっているとかそういった人たちのことです。
しかし、中にはそこまで資産を持っていなくても影響することもあります。
例えば、平成26年から国外財産調書制度が始まっています。
国外財産を5,000万円以上持っている人は、その財産を記載した国外財産調書を提出しなければいけません。5,000万円であれば、該当する人もそれなりにいると思います。週刊ダイヤモンドによると、対象は数万人いるのに、実際には8,184件しか提出されていないと書いてあります。
新しい制度なので、まだ問題になっていませんが、偽りの記載をした場合や提出しなかった場合に、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあることは知っておきましょう。該当する人でまだ提出していない人は今からでも提出しておいたほうがいいでしょう。
他にも、国外転出時課税制度や財産債務調書制度など、富裕層向けの制度について触れています。
配偶者控除廃止
多くの人が影響を受ける配偶者控除廃止についても書かれています。
配偶者控除が廃止されて得をする人はかなり限られているかと思います。
新しく夫婦控除という制度が創設されたとしても、世帯年収が800万円から1,000万円以上の世帯は、夫婦控除が受けられないと言われています。ですから、高所得世帯では損をすることになります。
記事の中で、夫婦控除の上限が500万円から600万円になる可能性も書かれています。世帯年収が500万円では高所得とは言えないと思いますから、結構厳しい改正になる可能性があります。
配偶者控除廃止よりも影響があるのが、106万円の壁、130万円の壁です。特に、106万円の壁は大きいです。配偶者控除が受けられなくなっても、社会保険加入を避けるために、106万円以下または130万円以下で働く人が多いと思います。これでは、何のために配偶者控除を廃止するのかわからなくなります。
配偶者控除が廃止になるから、少し働く時間を増やそうする人は多いでしょう。しかし、社会保険に加入することになり、手取りを増やすには相当の労働時間を増やさなければいけないということで、躊躇する人も多いはずです。
女性の働く環境が整って、200万円や300万円程度働くことが容易にならなければ、メリットを受ける人は少ないように思います。
マイナンバー導入による年金未加入問題
記事では大きくは書かれていませんが、大きな問題だと思うのが、年金未加入問題です。
会社の場合はすべての会社が社会保険に加入しなければいけないことになっていますが、未だに社会保険に加入していない会社が相当数あることは大きな問題だと思います。
現実的に社会保険料を支払う余裕のない会社も多く、倒産する会社や個人事業に変更する会社が多く出るのではないかと言われています。何年も前から言われている問題ですが、未だに解決していません。
所得税は、高所得者ほど税率が高いのですが、社会保険は料率は一定で、しかも上限があります。そういう意味では高所得者に優しいとも言えます。逆に、所得の低い人には負担が大きくなっています。
最後に、国税の組織について書かれています。この辺りは、一般の人よりも税理士のほうが興味があるところかもしれません。
読んでいて、うんうんとうなずくことも多く書いてあります。
一般の人よりも、関係者が読んだ方が面白いかもしれませんが、興味があれば、読んでみると面白いと思います。
元国税局の人が書いたこんな本もありますので、紹介しておきます。
「税金亡命 著者 佐藤弘幸」
完全な読み物として読むものかなと思います。
【編集後記】
楽天の期間限定ポイントを消化するために、シャインマスカットを購入してみました。シャインマスカットは2006年に品種登録された新しい品種です。
贈答用だと結構いい値段がします。今回は訳アリの商品を家庭用に購入しました(それでもいい値段しましたが)。
写真をみてもわかるように、訳アリといっても、普通にみたら訳アリということがわからないくらい綺麗でした。
皮が薄く皮ごと食べるのですが、食感、味とも今まで食べていたブドウとは全く違いました。皮ごと食べたほうが食感をよく感じることができます。甘さもすごくあり、とても美味しかったです。先日ブドウ園で買った巨峰やふじみのりとは違った美味しさです。
楽天の期間限定ポイントって、期間が短いから使用するのに困ることがありますよね。