よく芸能人などが、お店を経営していたり、ビジネスをしていたりして、年商○億円とか言って、周りの出演者が驚いたりしていますよね。
あるいは、女性芸能人が年商10億円の青年実業家と交際しているとかいう話題で羨ましがられたりしますよね。
この年商○億円って凄いのでしょうか?
年商と年収の違い
新明解国語辞典によると、以下のように書いてあります。
年商:その商店などの、1年間の売上高
年収:1か年の収入
「年商」はわかりやすいですよね。売上高のことです。
この売上高は、会社や個人事業主の売上高をいいます。だから、年商という言葉は、会社や個人事業主に対して使う言葉といえるでしょう。
対して、「年収」は主に給与所得者に対して使うことが多いと思います。給与所得者の年収は、給与の収入金額をいいます。給与の収入金額とは、社会保険料や税金の控除前の金額、いわゆる額面金額のことです。もちろん賞与も含めます。
個人事業主に対して「年収」というと、ややこしくなります。
所得税を計算するうえでは、収入金額とは売上高のことをいいます。だから、個人事業主の場合の「年収」は、売上高となりそうです。
しかし、一般的には個人事業主の場合の「年収」は、所得金額のことをいうことが多いです。特に、クレジットカードの申し込みの際などに記入する年収は、所得金額を書くことが多いみたいです。
「年商」の場合は「年商=売上高」でいいのですが、「年収」と言ったら、給与所得者の場合は給与の収入金額を言い、個人事業主の場合はあいまいで売上高のことをいうこともあれば、所得金額のことをいうこともあり、ややこしいということになります。
年商1億円は凄いのか?
売上高が多ければ多いほど凄いのは確かでしょう。しかし、儲かっているかどうかは別問題です。
売上高3,000万円と売上高1億円を比較してみましょう。会社の場合で、社長の役員報酬を除いた利益で考えます。
売上高が3,000万円でも経費が1,000万円で儲けが2,000万円の場合と、売上高が1億円でも経費が9,000万円で儲けが1,000万円の場合はどうでしょうか。
売上高は少なくても、儲けが2,000万円のほうが凄いですよね。
売上高が100億円以上あるような大企業であれば別ですが、売上高が10億円くらいまでの会社であれば、売上高だけで凄いというよりは、儲けの金額で凄いかどうかの判断をするほうがいいでしょう。
だから、年商だけ聞いても、凄いとは言えないということです。極端なことをいうと、売上高がいくら多くても赤字の可能性もあります。
年収と所得の違い
「年収」と「所得」の違いも確認しておきましょう。年収や所得と言ったら、個人のことを言うことが多いので、ここでは個人について書きます。
さきほど書いたように、個人事業主の場合は、「年収=所得」という意味の場合もあります。
所得とは、売上高から経費を引いた金額です。いわゆる儲けのことですね。
個人事業主の場合は、年収の定義が曖昧なので、どちらかわからないときは確認しないと意味が全く違ってしまいます。個人事業主で売上が多くても、所得は結構低いこともありますので。
給与所得者の場合の所得金額は、給与の収入金額から給与所得控除額という一定額を控除した金額を言います。給与所得控除額は収入金額に応じた金額になるので、収入金額が同じであれば、所得金額も同じになります。
個人事業主の所得金額と、給与所得者の所得金額が同じ場合では、個人事業主のほうが稼いでいると言えるかもしれません。
ただし、金融機関などの信用は給与所得者の方が高いことが多いです。住宅ローンの審査なども給与所得者の方が通りやすいでしょう。
まとめ
「年商」「年収」「所得」と似たような言葉ですが、これらの違いを知っておくと色々な場面で迷わなくて済みます。
テレビなどで年商1億円と聞いても、「所得が分からなければ儲かっているかわからないよな」と考えられます。
逆にサラリーマンの年収が2,000万円と聞けば、凄いなと考えられます。
「年商」と「年収」は定義がしっかりしていますので、しっかり覚えて、「年収」の場合はどの意味で使われているか確認するようにしましょう。