平成28年は、住宅ローンの金利がとても低い年でした。
5年~10年くらい前に、今よりも高い金利で住宅ローンを組んでいた人の中には借換えをした人も多かったのではないでしょうか。
年末残高が1,000万円以上、返済期間が10年以上、金利差が1%以上であれば、借換えを検討してみる価値はあると思います。
その際には、借換えにかかる諸費用まで考慮しましょう。
ということで、借換えや繰上返済をした場合の住宅ローン控除の取扱についてみていきます。
借換えをした場合の住宅ローン控除の取扱
原則的には、借換えをした場合の新しい住宅ローンは、住宅ローン控除の対象にはなりません。
しかし、以下の要件をみたすときは、住宅ローン控除の対象となります。
・新しい住宅ローンが、当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明らかであること
・新しい住宅ローンが、10年以上の償還期間であることなど、住宅ローン控除の対象となる要件に当てはまること
注意点は、償還期間でしょうか。
仮に、7年から8年くらいで返済できるとしても、住宅ローン控除を受けるのであれば、返済期間は10年以上にしたほうがいいということです。
ただし、住宅ローン控除の期間は、延びることはありません。
例えば、5年前から住宅ローン控除を受けている場合は、借換えたからといって、借換えから新たに10年間の控除を受けられるわけではありません。
残りの5年間について、住宅ローン控除を受けることができます。
早く返済してしまいたい人であれば、住宅ローン控除の適用が終わったところで繰上返済してしまうという方法もあります。
借換えをした場合の住宅ローンの年末残高
住宅ローン控除では、住宅ローンの年末残高を計算に使います。(取得対価のほうが低ければ、取得対価の額を計算に使います)
借換をした場合の住宅ローンの年末残高は、以下の通りになります。
1.新たな住宅ローンの借入時の金額が、借換え直前の住宅ローンの残高以下である場合は、新たな住宅ローン等の年末残高
2.新たな住宅ローンの借入時の金額が、借換え直前の住宅ローンの残高よりも多い場合は、以下の計算式によります。
借換えによる新たな住宅ローンの年末残高×借換え直前における住宅ローンの残高/新たな住宅ローンの借入時の金額
元の住宅ローンの残高の範囲内で新たな住宅ローンを組めば、新たな住宅ローンの全額が住宅ローン控除の対象になります。
しかし、元の住宅ローンの残高よりも多い金額で新たな住宅ローンを組んだ場合は、按分をする必要があるということです。
繰上返済をした場合の住宅ローン控除
住宅ローンの繰上返済を行った場合は、繰上返済後の借入期間に注意しましょう。
繰上返済をすることによって、当初からの返済期間が10年未満になってしまう場合は、住宅ローン控除の対象ではなくなってしまいます。
もともと、20年ローンだったものを、5年たったところで繰上返済をして残りの返済期間が4年になったとしたら、当初からの返済期間は9年ですから、住宅ローン控除の対象にはなりません。
しかし、上記の場合で、繰上返済をしたあとの残りの返済期間が7年だったとしたら、当初からの返済期間は12年となり、住宅ローン控除の対象になります。
繰上返済後の返済期間ではなく、当初からの返済期間が10年以上ということがポイントです。
住宅ローンの繰上返済のし過ぎは要注意
繰上返済をすれば、総返済額が減少します。
しかし、住宅ローン控除の繰上返済は余裕資金で行うようにしましょう。
ローン残高が多いということは、いい気持がしません。
手元にお金があるならば、早く返してしまいたいという気持ちもわかります。
しかし、住宅ローンを減らすことと同じくらい、場合によっては、それ以上に、手元資金を残すことも重要です。
繰上返済をして、当面の生活資金などに不足が生じないように、十分に注意しましょう。
以前に、以下のような記事も書いています。
住宅ローンの金利が低い人であれば、住宅ローン控除の適用を受けている間は繰上返済をしないというのも、ひとつの手です。
まとめ
昨年あたりは、住宅ローンの金利がものすごく低くなりました。
10年固定で、当初の10年間の金利が0.5%程度のものもありました。
5年以上前に、2%以上の金利で借りていた人であれば、借換えをした人も多いでしょう。
また、今まさに借換えを検討している人も多いかもしれません。
借換えをした場合の住宅ローン控除は、新たな住宅ローンが、住宅ローン控除の要件を満たすことがポイントです。
新たな住宅ローンを、当初の住宅ローンの残高よりも多い金額で組んだ場合は按分が必要になりますので注意しましょう。
繰上返済については、本当の余裕資金で行うようにしましょう。
現在借りている金利が高いというのであれば、繰上返済よりも、借換えを検討したほうがいい場合も多いと思います。
現在借りている金利が十分に低い人であれば、繰上返済のデメリットを確認することも忘れないようにしてください。
必ずしも、総返済額が少ないことが一番良いということではないと思います。
【編集後記】
住宅ローンは、20年から30年の付き合いになるものです。
ベストな選択肢というものがあるのかどうかわかりません。
人それぞれにベストな選択肢も違うでしょう。
状況に応じて、自分にとって一番いいと思われる選択肢を選ぶようにしましょう。
わたし自身、住宅ローンを組んでいますので、住宅ローンについては、思うことがあれば今後も記事にしていきたいと思います。