家事関連費について合理的な按分方法を考える 

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所得税には、家事関連費というものがあります。

家事関連費とは、家事上と業務上の両方にかかる費用のことを言います。

例えば、自宅兼店舗の家賃とか、光熱費、電話代などがあります。

これらの費用については、業務上必要であることが明かに区分できる金額のみが必要経費になります。

個人事業主の場合、時間に関わらず、仕事をしていることも多いと思います。

実際には、営業時間を設けていたとしても、時間外に仕事をすることもよくあります。

中には、生活のほとんどが仕事だという人もいるでしょう。

家事関連費の按分について、実態よりも不利に按分していることがないか考えてみます。

自動車関連費用

1.ガソリン代

自宅兼店舗の家賃であれば、床面積で按分するということが一般的でしょう。

では、ガソリン代はどうでしょうか。

走行距離や使用日数で按分している人が多いのではないでしょうか。

もちろん、実態がそれに合っていれば問題はありません。

しかし、実際の自動車の使用割合が、走行距離や使用日数で按分したのでは実態に合わないという人もいるかもしれません。

そういう人が、走行距離や使用日数で按分したのでは、おかしなことになってしまいます。

実際の税務調査では、走行距離や使用日数で按分していれば問題になることはほとんどないと思いますが。

しかし、税務調査で問題にならないからといって、自分にとって不利な方法で処理する理由にはなりません。

自分の実態に合わせて合理的に按分すべきでしょう。

例えば、ガソリン代を按分するとします。

平日は業務用に使用をして休日は家事用に使用します。

業務用では街乗りをしていて、休日は遠出のドライブをします。

この使い方だと、業務使用時は燃費が悪く、家事使用時は燃費が良くなるということが考えられます。

燃費の差は、3割から4割は変わってくることもあるでしょう。

燃費が4割違ったとして、業務用で100km、家事用で50km乗ったときのガソリン使用量を考えます。

単純に走行距離だけで按分すると、業務使用割合は、66.7%です。

しかし、燃費を考慮すると、業務使用割合は73.7%になります。

業務用と家事用の燃費が違うのであれば、燃費まで考慮して按分したほうが合理的と言うことができます。

実際に業務使用時と家事使用時の燃費の差を明らかにすることができるかというと難しいかもしれませんが、その方が合理的であるならば、検討してみる価値はあります。

2.減価償却費、自動車税、自動車保険料など

では、自動車本体の減価償却費や自動車税、自動車保険料はどうでしょうか。

こちらも、一般的には、走行距離や使用日数で按分することが多いのではないでしょうか。

減価償却とは、時の経過等によってその価値が減るので、その分を使用可能期間に渡って分割して必要経費にしてくことです。

自動車の減価償却費と、ガソリン代の按分割合は同じにしなくてはいけないということもないでしょう。

通常は、同じ割合で按分することが多いと思います。

しかし、車の主な使用目的が業務用で以下のような場合はどうでしょうか。

開業前は、車を持っていなくて、開業するにあたり、営業車が必要ということで、営業車を購入したという場合です。

開業後は車があるのですから、休日には業務用以外の目的で使用することもあります。

それでも、あくまでも仕事用に購入した営業車です。

これを休日に少し家事用で使ったからと言って按分しなくてはいけないのでしょうか。

もともと、両方の目的で使おうと思っていたのなら別ですが、仕事用として買っています。

それでも、休日に車があれば、業務用以外にも使うのは普通のことでしょう。

業務用の車があるのに、プライベートだからといってレンタカーを借りる人はほとんどいないと思います。

家事用のものを業務用にも使うとか、最初から両方の目的で使用するために買ったものなら按分するということもわかるのですが、業務用に買ったものについての按分については、疑問を抱きます。

車の価値は、使用量に比例して減少するというよりは、時間の経過とともに減少します。

こう考えると、減価償却の按分についても、走行距離で按分する以上に業務用の割合を高めた方が合理的と思えます。

家事使用分が少ないのであれば、全額必要経費でもいいのではないかとさえ思えます。

しかし、現状では按分しないわけにもいかないので、実態に合わせて按分をすることになるでしょう。

あくまでも実態に合わせて合理的な按分です。

一般的な按分方法が、実態と合っていないのであれば、合理的な按分方法を考えるようにしましょう。

携帯電話やインターネット費用

携帯電話やインターネットも按分をするのに困るものです。

業務に使う目的で契約をした携帯電話やインターネットを前提にして考えます。

携帯電話料金には、基本料金や通話料金、通信料金などがあります。

通話料金や通信料金は定額制のことも多いです。

インターネットに関しては、ほとんどが定額制でしょう。

業務目的で契約した定額制の携帯電話料金やインターネット料金を、按分する必要があるのでしょうか。

業務目的で契約した携帯電話やインターネットを家事用で使おうが使わまいが、定額制である限り料金は変わりません。

使用した量に応じて料金を支払うのであれば、按分という考え方にも納得がいくのですが、使わなくても定額だし、本来業務目的で契約しているのだから、全額必要経費で問題ないように思います。

ただし、開業前から、携帯電話やインターネットを使っていた場合は別です。

そもそも、家事用として使っていたわけですから。

開業してから業務目的で契約した場合とは分けて考えた方がいいかもしれません。

自宅とは別に店舗がある場合の、店舗のインターネット料金は全額必要経費として問題ないでしょうし、携帯電話も業務用と家事用で2台持ちしている場合の業務用は全額必要経費で問題ないでしょう。

そう考えると、携帯電話料金やインターネット料金の場合は、それほど問題になることは多くないかもしれませんが。

まとめ

家事関連費について考えてみました。

家事関連費については、一般的な按分基準があり、その方法で按分している人が多いように思います。

しかし、自分の実態が本当にその基準に合っているかどうかは検討した方がいいでしょう。

実態と合っていないのであれば、自分の実態に合った方法で按分すべきです。

そして、その方法が実態に合っているんだということが説明できるようにしましょう。

今回の記事は、自分自身が開業してみて、家事関連費についての感覚が変わったことにより、書いてみました。

やはり、事業を行っている人の気持ちは、実際に事業を行っている人の方がわかるのかもしれません。

【編集後記】

スポーツ庁が会社員のスニーカーでの通勤を推奨するそうです。

アイキャッチ画像は、わたしが勤務時代、通勤時に履いていたスニーカーです。

時代が追い付いてきたのでしょうか(笑)

スニーカーでの通勤は楽でいいですよ!

ちなみに、わたしは会社に革靴を置いて、勤務中は履き替えていました。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。