所得税というと、所得が高ければ高いほど税率が高くなると思っている人が多いのではないでしょうか。
7割くらいは正しいですけど、3割くらいは正しくありません。
総合課税されるものは、所得が高いほど税率も高くなる
所得税は、所得の種類を定めていて、所得の種類ごとに所得の金額を計算することになっています。
所得の種類には、給与所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得、退職所得、利子所得、一時所得、雑所得などがあります。
これらの所得のうち、給与所得、事業所得、不動産所得、一時所得、雑所得、譲渡所得の一部などは合算されます。
合算をしたあとに、所得の金額に応じて税率をかけて、税額をもとめます。
この合算をして課税することを総合課税と言い、総合課税されるものは、超過累進税率が採用されています。
ですから、これらの所得がある人は、所得が高いほど税率が高くなります。
所得税の税率は、5%から45%です。
住民税の税率は、一律10%なので、所得税と住民税を合わせた税率は最高で55%にもなるのです。
たくさん給与をもらっている人、商売をしていてたくさん儲かっている人、家賃収入がたくさんある人などは、税率が高いと思っていいです。
金額によって税率が変わらないもの
所得によっては、金額の多い少ないにかかわらず、税率が変わらないものもあります。
先ほど、総合課税という言葉を使いましたが、税率がかわらないものは、総合課税に対して分離課税と言います。
厳密には、総合課税とは、他の所得と合算して課税されるものを言い、分離課税とは、他の所得と合算せずに課税されるものを言います。
分離課税されるものの例としては、利子所得、譲渡所得のうち株式の譲渡にかかる所得、雑所得のうち先物取引にかかる所得、FX取引にかかる所得、配当所得のうち上場株式にかかる配当所得などで申告分離課税を選択したもの、などがあります。
これらの所得は、他の所得と合算されることなく所得の金額を計算します。
そして、金額がいくら多くなっても、税率は一律となっています。
例えば、預金の利子にかかる所得税の税率は、いくらあっても15%ですし、株式の譲渡による所得も、15%と決まっています。
ですから、給与所得や事業所得、不動産所得がなく、多額の預金の利息や、多額の上場株式の配当などだけで、何億円の収入があっても、所得税の税率は15%しかかからないということになります。
預貯金については、現在では利率は相当低いので預金利息だけで、多額の収入というのはあまり考えられません。
上場株式については、配当利回りが2%程度とすると、1億円の配当をもらうには50億円の元本が必要になりますが。
また、退職所得の場合は、分離課税が適用されますが、一律の税率ではなく超過累進税率が採用されます。
分離課税ですから、たとえ、給与所得や不動産所得が多額にあったとしても、退職所得のみで超過累進税率を採用します。
ですから、総合課税される所得の税率が45%でも、退職所得が100万円しかなければ、退職所得にかかる所得税の税率は5%となります。
まとめ
所得税=超過累進税率のイメージを持っている人も多いと思い、記事にしました。
実際には、所得がいくらあっても税率が一律のものもあります。
所得税には応能負担の原則というものがあります。
文字通り能力に応じて負担するということですので、超過累進税率は理にかなっているように思えます。
しかし、上場株式の譲渡益や配当などについては、応能負担とは別の理由により、一律の税率となっています。
お金持ち優遇と思われかねない税率ですが、上場株式の配当や譲渡益の税率を高くしてしまうと、投資熱が冷えてしまい、景気が悪くなることもあるかもしれません。
お金を持っている人にお金を使ってもらうことで景気が良くなるという側面も否定できないでしょう。
今回の記事では、所得税の税率は、所得の種類によって総合課税になり、超過累進税率になるものと、分離課税によって一律の税率が課されるものがありますというお話でした。
【編集後記】
昨夜ジョギングをしていて、「月がきれいだなぁ」と思いました。
ジョギングから帰ってきてから知ったんですけど、昨夜は満月で、しかもスーパームーンだったんですね。
道理で綺麗に見えたわけです。
実は、綺麗だなと思いながらも、真ん丸には見えなくて「満月ではなさそうだな」なんて思ったんですけど(笑)
アイキャッチ画像は、千葉市中央区にある杉田家さんのラーメンです。普段は家系を食べないのですが、杉田家さんのラーメンは、家系特有のにおいもなく美味しかったです。
わたしが今まで食べた家系ラーメンのなかでは一番かも(あまり家系は食べないですけどね)。