フリーランスの自宅兼事務所は、家賃を経費にできるからお得なのではない

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フリーランスで自宅を事務所にすると、賃貸の場合、家賃の一部を経費にできるからお得だと思っている人はいないでしょうか。

そのような気もするのですが、厳密には、そうではありません。

自宅の一部を事業に使用しているから、家賃の一部を経費にしているだけであって、必要な経費をただ経費にしているだけなのです。

自宅の50%を仕事用に使っている場合

例えば、1か月の家賃が10万円で、床面積が50㎡の部屋を借りているとします。

25㎡は、居住用として使用し、25㎡は仕事用として使用します。

この場合、事業として使用しているのが1/2ですから、1ヶ月につき5万円を経費に計上します。

5万円の家賃で床面積が25㎡の事務所を借りて、さらに、5万円の家賃で床面積が25㎡の居住用アパートを借りるのと同じことです。

自宅の一部を仕事用に使っていて、その部分の家賃を経費にしているからお得という訳ではありません。

仕事用に使っているスペースは、仕事用のものを置いたりしますし、居住用としては制限されてしまいます。

もともと、居住用の部分が半分でいいのなら、もっと狭くて家賃の安い物件を借りて住んでいた方がお得だったということも言えます。

もし、仕事用のスペースが少しでいいので、事務所を借りるほどではないというのであれば、家賃のうち、経費にできる部分もわずかということになりますので、それ程お得という感じもしません。

法人の場合は、社宅契約でお得になる

法人の場合で、社長が住む家を社宅として、法人で契約をした場合は別です。

社宅としない場合は、社長は、自分がもらった役員報酬から、自宅の家賃を支払わなくてはいけません。

仮に役員報酬が月額50万円で、自宅の家賃が10万円だとすると、その役員報酬50万円に対して、社会保険料や、所得税、住民税が発生します。

法人は家賃を支払わないので、家賃分の経費は計上できません。

これに対して、社長の自宅を社宅として法人契約をします。

法人契約ですから、法人が家賃の10万円を支払います。

当然この10万円は、法人の経費になります。

そして、社長は家賃の10万円を負担しなくていいのですから、その分役員報酬を下げたとします。

役員報酬は10万円さがって40万円となり、下がった分の社会保険料、所得税、住民税がお得になります。

実際は、社宅の家賃の一部を社長が個人で負担しなくてはいけないので、この通りにはなりませんが、お得はお得です。

社長の役員報酬を下げなかったとしたら、法人にとっては、家賃分の経費が増えることによって、その分法人税が減少してお得ということになります。

まとめ

フリーランスが自宅兼事務所にしている場合は、家賃の一部を経費にできるからお得なのではなく、ただ必要な経費を計上しているということについて書きました。

もし、自宅兼事務所がお得なのだとしたら、それは、仕事に使うスペースが少なく事務所を新たに借りなくていい。

つまり、新たに家賃を支払わなくていいから、経費が少なく済んでお得だということです。

お得ということが変わらないのであれば、どっちでもいいという意見も多いと思います。

細かく言うと、こういう違いがありますよ、ということを言うための記事でした。

これに対して、法人の場合は、居住用の家賃の一部を経費にできるので、明らかにお得です。

フリーランス(個人事業主)の自宅兼事務所と、法人の場合の社宅家賃とは別のお話です、ということも合わせてお話しました。

【編集後記】

まだまだ殺風景な事務所ですが、アイキャッチ画像に写っているようなものが少しずつ増えてきました。

今後も少しずつこういったものを増やしていき、落ち着いた雰囲気の事務所にしていきたいと思っています。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。