今では税理士法人も珍しくありませんが、数の上では個人の税理士事務所の方が圧倒的に多いです。
もし、自分が契約している税理士が引退したり、亡くなったりした場合はどうすればいいのでしょうか。
税理士法人であれば、複数の税理士がいますから、仮に税理士法人の代表税理士が亡くなったとしても、通常法人は残りますので問題にはなりません。
税理士法人の中には、税理士法人とは言っても、個人の離れた場所にいる税理士2人が税理士法人を作っている場合があり、実態は個人事務所が2つあるだけというところもあります。
その場合は、個人の税理士事務所とほとんど変わらないと思います。
ですから、今回は個人の税理士事務所に依頼していた場合を前提に考えてみます。
次の税理士を自分で探せばいい
結論を先に言うと、「次の税理士を自分で探せばいい」、以上となります。
契約している税理士が引退、あるいは亡くなったのですから、次の税理士を自分で探せばいい、当たり前のように聞こえます。
それが、この業界の場合、当たり前ではないのです。
なぜなら、引退の場合は、現在の税理士が引き継ぐ税理士を決めている場合があるからです。
何かいいことのように聞こえますが、そうとも言えません。
「税理士は自分ではなかなかいい税理士を探せない」とか、「税理士は紹介してもらった方が安心」と考えている人が多いのです。
これは税理士のみならず、経営者の方でも同じです。
そのように考えていると、税理士側からすると、「次の税理士を紹介しなくてはいけない」と思いますし、経営者側からすると、「次の税理士を紹介してくれないかな」と思う訳です。
しかし、「税理士は自分ではなかなか探せない」とか、「税理士は紹介してもらった方が安心」というのは、今の時代には当てはまりません。
なぜなら、自分で自分に合う税理士を探せるからです。
10年以上前であれば、なかなか自分で税理士を探すのは大変だったかもしれません。
今では、ホームページなどで情報を発信している税理士が多くいます。
ですから、自分で税理士を探すことは難しくなくなっています。
では、現在の税理士が亡くなった場合はどうでしょう。
引退と違って亡くなる場合は、税理士が準備をしていないことがあります。
いくら準備をしていても完全な準備をするのは難しいでしょう。
その場合、税理士に資料やデータを預けている、あるいは依頼中の案件があるといったことが考えられます。
その税理士が人を雇っていれば、資料やデータを返却してもらうことはできるでしょうし、依頼中の案件に関しては、状況を聞くこともできるでしょう。
税理士が1人でやっている場合は、それも難しい場合もあるかもしれません。
1人でやっている税理士であれば、そういった事態も想定して何らかの準備をしている場合もあると思いますが、そうでない場合はちょっと問題かもしれません。
ちょっと話がそれましたが、亡くなった場合でも、自分で次の税理士を探せばいいのは同じことです。
預けている資料やデータは大抵の場合は遺族により、返却してもらえるでしょうし、継続中の案件については、状況を話して次の税理士に依頼すれば、大抵のことは大丈夫ではないかと思います。
いずれにしても、税理士は自分で探せますので、現在の税理士が引退したり、亡くなったりしても、必要以上に焦らなくてもいいのではないかと思っています。
経営者が自立をすれば、税理士事務所のM&Aは減少していく
税理士が引退する場合に、従業員とお客様を引き継いでくれるところに買ってもらうということがあります。
先ほど言ったように、お客様は税理士を自分で探せないから、自分が引退した後の税理士の目途をたてなくてはいけないという気持ちもあるでしょうし、従業員を路頭に迷わす訳にもいかないという気持ちもあるかもしれません。
しかし、税理士事務所のM&Aについては、疑問もあります。
お客様は自分で税理士を選べば良い訳です。
そう考えると、お客様と従業員を他の税理士事務所に引き継いでもらうメリットは、少なくてもお客様側にはあまりないことになります。
中には、次の税理士を探してくれてありがとうと思う経営者の方もいるかもしれませんが、今後はそういった人は減ってくるでしょう。
税理士事務所のM&Aの需要は、今後は減少していくと思っています。
まとめ
わたしは、税理士は自分で探した方がいいと思っていて、過去にも以下のような記事を書いています。
そういう考え方をしているので、現在契約している税理士が引退、あるいは亡くなったとしても、考え方は変わりません。
次の税理士を自分で探せばいいだけだと思っています。
税理士は自分では探せないと思っていると、思考が停止してしまうかもしれませんが、そんなことはありませんので、自分で探すことをおすすめします。
わたしは、引退は随分先のことなのでまだ考えていませんが、突然の事故や病気で亡くなったときのことは考えておかなくてはいけません。
今考えているのは、知り合いの税理士に引き継ぎをお願いしようかと思っています。
引き継ぎと言うのは、知り合いの税理士に顧問契約を引き継いでもらうという訳ではなく、引き継ぎの作業を依頼するということです。
わたしの事務所の中の資料やデータをお客様に返却したり、仕掛中の案件について説明してもらったりします。
お客様は次の税理士を自分で選びます。
このときに、引き継ぎの税理士が良いと思えば、その税理士に依頼することも当然考えられます。
わたしは、その税理士に引き継ぎをやってもらうためのお金を支払います。ただで引き継ぎの作業を依頼する訳にはいきませんから。
家族にその旨を伝えておけば、お金を支払ってくれるでしょう。
現時点では知り合いの税理士にまだ依頼していませんが、そんなことを考えていますので、近々知り合いの税理士に話をしてみるつもりです。
現在パートを募集しているので、データや資料の返却はパートの方にお願いすることになるかもしれませんが、仕掛中の案件についての説明は難しいと思っています。
家族は仕事にかかわっていませんので、家族に依頼するのも難しいです。
いずれにしろ、税理士側と経営者側の双方が、万が一のときのことを想定しておく必要があると思います。
【編集後記】
昨日は、ブログやホームページを見て、税理士変更を検討している方から、問い合わせを頂きました。
自分で税理士を探している方から選んでもらえるように、引き続き工夫していきます。