会社を設立するときに事業年度を決めます。
個人事業の場合は、1月1日から12月31日までが事業年度と決まっています。
会社の場合は、事業年度はいつでもいいことになっています。
一般的には、事業年度開始の日を月の途中の日にはしないことが多いです(設立1期目を除く)。
ですから、ほとんどの場合、期首は1日で期末は月末になります。
具体的には、2月1日から翌年1月31日までとか、5月1日から翌年4月30日までといった事業年度になります。
特に理由がなければ、一度決めた事業年度を変えることはありませんが、事業年度を変えてはいけないということではありません。
今回は、税金関係の都合で事業年度の変更を検討する場合について書きます。
消費税の免税事業者の期間を長くするため
資本金を1,000万円未満で設立すれば、1期目、2期目は消費税が免除になることが多いです。
消費税の免税期間をなるべく多く取るために、設立時に事業年度を決めることがあります。
例えば、4月中の設立の場合、4月1日から3月31日までを事業年度にすることにより、1期目が11か月と何日かになり、2期目は12か月で、消費税の免税期間は合わせて23か月と何日間かになります。
設立の時に消費税のことを考えずに、4月10日の設立で6月決算にしてしまうと、1期目は2か月と21日になり、2期目と合わせても消費税の免税期間は14か月と21日しかないことになります。
設立から6月30日までの間にこのことに気づき、消費税の免税期間を長く受けたいと思ったときは事業年度の変更を検討してもいいでしょう。
また、1期目の最初の6か月間の売上と人件費が共に1,000万円を越えると2期目は消費税を納めなくてはいけなくなります。
設立してしばらくして、売上と人件費が共に1,000万円超えそうだとわかったとします。
このままだと、2期目は消費税を納めなくてはいけなくなります。
そこで、1期目の決算期を変更することで2期目も消費税が免税になる場合があります。
期末近辺に利益が大きく計上される場合
3月決算の会社で1月までの利益が700万円出ていていたとします。
ここまでは例年通りの利益でした。
しかし、1月の時点で、3月に臨時的に1,000万円の利益が計上されることがわかったとします。
この場合、このまま行くと当期の税金が多く計上されます。
しかも、法人税の場合、利益が800万円を越える部分については税率も高くなります。
そこで、決算日を2月末日に変更することを検討します。
決算日を2月末日にすれば、当期の利益は800万円以内におさまり、高い税率の適用を避けることができます。
翌期の3月に1,000万円の利益が計上されますが、残りが11か月ありますから、その間に対策を考えたり、税金支払いのための資金繰りの準備をすることができます。
その他
その他には、繁忙期などを考慮したり、グループ会社の決算期と合わせたり、またはずらしたりといったことが考えられます。
まとめ
事業年度の変更について書きました。
会社にとって事業年度を変更するということはデメリットもあります。
特に、取引先や銀行などの外部の人から見ると、事業年度を頻繁に変更していると、変な目で見られるかもしれません。
税金が多少安くなることはあるかもしれませんが、会社の事業年度というのはやたらと変更するものでもありません。
設立して年数があまりたっていない時に1度くらいの変更はしても大きな影響はないかもしれません。
しかし、税金が出そうになったら事業年度を変更すればいいやと安易に考えるのはやめましょう。
【編集後記】
今年の夏はホントに暑いです。
何もしなくても体力を奪われます。
水分の補給には十分に気をつけないといけないですね。