65歳を超えても働く人が増えています。
公的年金をもらいつつ、会社員としても働くと確定申告をする必要があり、その場合、還付ではなく納付になる可能性があります。
確定申告=還付ではない
収入が公的年金のみの人や、収入が給与のみの人が医療費控除を受けるために確定申告をすることがあります。
その場合、多くの人が確定申告をすることにより、所得税が還付になります。
しかし、公的年金をもらいつつ、会社員として働いている場合は、還付になるとは限りません。
確定申告で還付になるのは、源泉徴収されていた税額と、本来の正しい税額とを比較して、源泉徴収されていた税額の方が大きい場合です。
ですから、本来の正しい税額が、源泉徴収されていた税額よりも多くなった場合は還付ではなく、納付になります。
なぜ、年金をもらいながら会社員として働くと納付になるのか
次のケースで見ていきます。
・年齢66歳
・公的年金の収入金額216万円
・給与の収入金額240万円
・医療費控除以外の所得控除は基礎控除の38万円のみとする
・医療費控除の金額は10万円
・源泉徴収されている税額は、公的年金から27,564円、給与から57,100円(年末調整済)
この状態で医療費控除10万円を受けるための確定申告をすると次のようになります。
給与所得の金額1,500,000円+雑所得の金額1,125,000円=2,625,000円
所得控除の金額 医療費控除100,000円+基礎控除380,000円=480,000円
課税所得金額 2,625,000-480,000=2,145,000円
所得税額 2,145,000×10%-97,500=117,000円
復興特別所得税額 117,000×2.1%=2,457円
所得税及び復興特別所得税の合計額 117,000+2,457=119,457円
源泉徴収税額 27,564+57,100=84,664円
差引納付税額 119,457-84,664円=34,700円(百円未満切捨)
34,700円の納付になりました。
還付だと思って確定申告をしたのに、納付になるとショックが大きいです。
なぜ、こうなるかというと、源泉徴収税されている税額は、年金の場合は給与がない前提で計算していて、給与の場合は、年金がない前提で計算しているからです。
正しい税額は、その年の全ての所得を合算して計算されます(分離課税と言って他の所得と合算されないものもあります)。
ですから、他の所得がない前提で源泉徴収されている場合で、他の所得があるときは納付になることが多いのです。
ちなみに、先ほどの例で、医療費控除がなかったとしたらどうでしょう。
もちろん、納付になります。
医療費控除がない分、納付額も増えます。
このときに、確定申告をしなくてはいけないことに気づかないと、知らないうちに脱税していたなんてことになってしまいます。
そもそも、年金をもらいつつ、給与をもらうのであれば、確定申告をする必要があるということも覚えておきましょう。
どちらかの金額が一定金額以下の場合は、確定申告をしなくていい場合もあります(所得税のみ)。
まとめ
働けるうちは働きたいという人が増えていると思います。
そうなると、年金をもらいつつ、働いて給与をもらうという人も増えてきます。
こういった人は、基本的に確定申告が必要になるため、多少の税金に関する知識はあった方がいいです。
税金についての知識がないと、確定申告をする必要があることに気づかなかったり、還付になると思って確定申告したのに、納付になるといったことが起こり得ます。
納付になるなら確定申告しなければ良かったと思ってしまうかもしれません。
もちろん、それは脱税になってしまうのでいけないことです。
このことを防ぐには、こういった働き方をすると、確定申告が必要で、確定申告により納付になることがあるということを知ってもらうことが大切だと思います。
もう一つの手としては、どちらかで扶養控除申告書を提出しないことで、源泉徴収税額を高めにとってもらうことが考えられます。
今後はこういった働き方をする人が増えることが予想されるので、国が、最後に還付になるような方法を考えた方がいいのかなと思います。
やはり、最後に納付になるのは嫌ですからね。
【編集後記】
応接スペースに置くためにオリーブを買いました。
応接スペースに置くには小さすぎますが、半年後、一年後あるいは二年後にお客様から、「オリーブ大きくなったね」と言われたら嬉しいなと思います。
「あれっ、オリーブはどうしたの?」と言われないように、大切に育てます。
鉢の植え替えはパートさんにやってもらいました。