税理士や弁護士に報酬を支払う際は、源泉所得税を差し引いて支払わなくてはいけないことがあります。
報酬を支払う際に源泉所得税を差引かなくてはいけない人のことを源泉徴収義務者と言います。
源泉徴収義務者は、差し引いた源泉所得税を支払った月の翌月10日までに国に納付します。
法人であれば、必ず源泉徴収義務者になります。
しかし、個人事業主の場合は全員が源泉徴収義務者になるわけではありません。
基本的に人を雇っていない個人事業主は源泉徴収義務者にはなりません。
配偶者に青色事業専従者給与を支払っている個人事業主は源泉徴収義務者になります。
源泉徴収をする義務は、報酬を支払う方にあります。
しかし、報酬をもらう方が、あらかじめ請求書で源泉所得税を差し引いてくることも珍しくありません。
例えば、税抜き価格10万円の場合、下記のような請求書になります。
報酬 100,000円
源泉所得税 △10,210円
消費税 8,000円
差引支払額 97,790円
源泉徴収義務者がこのような請求書をもらったら、請求書通りに97,790円を支払えば問題ありません。
差し引いた源泉所得税10,210円は、翌月10日までに国に納付します。
しかし、源泉徴収義務者でない個人事業主がこのような請求書をもらった場合は、どうすればいいでしょうか。
請求書を渡す側は、相手が源泉徴収義務者かどうかわからないことがあります。
源泉徴収義務は支払う方にあるので、請求書を発行する側は、わからなければ、源泉所得税を差引かない請求書を発行すればいいのです。
しかし、実際は相手のことを想って源泉所得税を差し引いた請求書を発行することが多いです。
何度も言いますが、源泉徴収義務は支払う方にあります。
ですから、源泉所得税が差引かれた請求書をもらっても、相手に源泉徴収義務がないことを伝え、源泉所得税を差引かずに支払うといいでしょう。
きちんと源泉徴収義務者でないことを伝えて支払えば、嫌がられることもないでしょう。
では、よくわからずに、請求書通りに源泉所得税を差し引いて支払ってしまった場合はどうなるでしょうか。
源泉徴収義務がないのに、その差し引いた源泉所得税を国に納めるわけにもいきません。
気づいた時点で源泉所得税分の金額を相手に支払うしかありません。
相手側が確定申告する前であればいいのですが、確定申告後に気づいた場合は問題です。
正直言うと、この場合はあまりいい方法を思いつきません。
相手に源泉所得税分を支払ったとすると、相手はその分修正申告をしなくてはいけません。
かといって源泉徴収義務もないのに、源泉所得税を国に納付するわけにもいかないでしょう。
中には、法人の場合は源泉所得税を差し引いた請求書を作成し、個人事業主を含めた個人には源泉所得税を差引かずに請求書を作成しているという人もいます。
こういった場合でも、基本的には支払う方が源泉徴収義務者であれば、源泉所得税を差し引いて支払うし、支払う方が源泉徴収義務者でないならば、源泉所得税を差引かずに支払います。
たまに、請求書通りに支払わないと嫌味を言われることもありますが仕方ありません。
嫌な思いをしないためにも、請求書の金額と違う金額を支払う場合は、事前に実際の支払額を伝えてから支払った方が問題が起きなくて済みます。
請求書を発行する側からすれば、相手が源泉徴収義務者かどうかわからない。
請求書をもらう側からすれば、請求書と違う金額を支払うことがあるというのは面倒臭い。
ですから、両者にとってわかりづらかったり、面倒なのが源泉徴収制度です。
しかし、法律で決まっていることですので、お互いが嫌な思いをしないように、注意をして取引をする必要があります。
【編集後記】
娘が産まれて1週間以上たちますが、名前が決まっていません。
そろそろ決めないといけないのですが、なかなか決まりません。
名前を決めるのは難しいです。
現在一人暮らしが続いていますが、アイキャッチ画像のような味噌汁もたまに飲むにはいいですね。