会計データを使って、経営分析を行うことは大切です。
しかし、会計データには載って来ない数字以外の部分に大切なものがありますので、その点も考慮した分析を行うようにしましょう。
手間暇、技術は数字にあらわれにくい
飲食店を例に取ります。
A店とB店は同じ食材を使って、料理を提供しています。
仕入原価も同じ、売上げも同じとします。
この場合、A店とB店の原価は同じになります。
会計データのみを見ても、A店とB店の違いは判りません。
しかし、A店では、食材を手間暇かけて高い技術で調理をしてお客様に提供しています。
B店は、食材を手間暇かけずに、特に高い技術も使わずに、簡単に調理をしてお客様に提供しています。
こうなると話は全く変わってきます。
こういった手間暇と技術を反映して経営分析を行わなくては、分析を誤ることになります。
経営のことを考えれば、B店の方が、効率よく経営しているということになります。
しかし、実際にこのようなお店があったとしたら、B店には次第にお客様が行かなくなり、A店にはお客様が多く訪れることになるので、A店の方が優れているということになるでしょう。
ちょっと極端な話になりましたが、会計データには、手間暇や技術はあらわれにくいということは知っておいた方がいいでしょう。
仮にこの状態で、B店は値段を20%下げても、手間暇や技術を考えると、A店よりも効率がいいとします。
そして、20%安いならとB店にお客様があつまり、繁盛するということも考えられます。
こういったことを考えると、飲食店で会計上の原価率だけを気にしていても足りないということになります。
一般的に、飲食店の原価率は、30%~35%と言われています。
この食材をいかに高い技術で手間暇かけて美味しいものに調理できるかが勝負になってくるのかもしれません。
手間暇はかければいいというものでもないところが難しいのですが。
先日ブログで書評を書いた「佰食屋」さんは、原価率が50%と高い代わりに、廃棄を出さないなどの工夫で、経営を成り立たせています。
会計データから得られる原価率を把握したうえで、その先の分析を行うことによって、経営にいかすことができます。
従業員の能力やモチベーション、平均勤続年数なども数字にあわられない
従業員についても、数字にあらわれにくいことが多くあります。
給料の総額は会計データを見ればわかります。
ですから、法定福利費などを含めた人件費の割合などは比較的簡単に把握することができます。
しかし、従業員の能力、モチベーション、平均勤続年数などはなかなか数字では把握できません。
A社とB社の財務諸表を見て人件費が同じだったとしても、A社とB社の従業員で、どちらの能力が高いのか、どちらのモチベーションが高いのか、どちらの平均勤続年数が長いのかまではわかりません。
会社を経営していればわかると思いますが、従業員の能力やモチベーションは、会社にとって、とても大切なものです。
この数字にあらわれない従業員の能力やモチベーションを抜きに経営分析は行えません。
もし、これを無視して、人件費率だけ見てしまうと、従業員がどんどんと離れていくことになるでしょう。
まとめ
会計データを見て経営分析を行うことは大切です。
しかし、会計データにあらわれない部分にも経営に関する重要なことがあります。
100%正しい答えなどないから経営は難しいのだと思いますが、難しいなりにも、分析をしていくことが、経営の改善につながるのではないかと思っています。
【編集後記】
アイキャッチ画像は、千葉市中央区にある「彩蓮」さんの「特製冷し彩蓮盛り」です。
わたしの中では、佐倉市の丹治さんと並んで、彩蓮さんの冷やし中華は外せません。
何と言っても、具材の量と質が半端ないです。今年から値上げされてますが、昨年までが安すぎたと言っていいでしょう。
麺も昨年より少し細くなったように思いますし、ネギやレタス、人参も昨年より細く刻んであるように思います。
単に値上げしたという訳ではなく、進化させていると感じます。
やはり、彩蓮さんの特製冷し彩蓮盛りは夏には外せないですね。