個人事業主が節税のために会社を設立すること自体は問題ではないと思う

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芸人の徳井さんの件で、個人事業主が節税のために法人を設立することが、まるで悪いことのように言われることがあります。

この点については、特に問題になることではないと思っています。

1人で事業をしている個人事業主が会社を設立する目的

1人で個人事業をしている人が会社を設立する目的としては、以下のようなことがあります。

・会社として事業を大きくしていきたい
・いずれは人を雇いたい(会社の方が採用の面で有利なため)
・一般的に会社の方が信用がある
・代表取締役(社長)になりたい
・社会保険に加入するため
・節税のため
・会社を経営したい
・会社でないと取引してもらえない
・お金を借りるのに有利(個人事業主でも借入をすることができます)
・すでに消費税を支払っている場合は、2期の間消費税を支払わなくていい
・事業を次の世代に引き継ぎやすい
・事業を高く売るため

パッと思いついただけでこれだけあります。

大抵の人はこんなところではないでしょうか。

もちろん、こられの全部に当てはまるという人はいないと思うので、これらの内の1つあるいは複数が該当するという人がほとんどだと思います。

これらの目的は、どれもおかしなことではないと思います。

今回の徳井さんの件で、会社員は節税できないのに、個人事業主は法人にし税金を少なくするのはおかしいという気持ちもわからないではありません。

しかし、会社にしたら必ず節税になる訳でもありませんし、事務は複雑になり、個人事業主ではかからなかったコストがかかることもあります。

徳井さんは事務をしていなかったわけですが。

節税目的の会社設立が悪いとは言えないのではないでしょうか。

ペーパーカンパニーは言い過ぎでは?

今回の件で、徳井さんの会社をペーパーカンパニーと言っている人がいますが、ペーパーカンパニーは言い過ぎではないでしょうか。

徳井さんが申告をしていなかったから、ペーパーカンパニーと言っているのか、個人事業主と実態が同じなのに会社を設立したので、ペーパーカンパニーと言っているのかはわかりません。

もし、個人事業主と実態は同じなのに、単に節税目的のためだけに作った会社としてペーパーカンパニーと言うのであれば、それはどうかなと思います。

もともと会社があって、そこから新しく会社を作って、その会社はただ単にお金がスルーするだけであれば、ペーパーカンパニーと言えるかもしれません。

また、税率の低い海外に実態のほどんどない会社を作ったのであれば、ペーパーカンパニーと言われても仕方がないかもしれません。

しかし、徳井さんは単に1つ会社を作って、その会社で事業を行っていただけです。

これがペーパーカンパニーと言うのであれば、世の中の1人でやっている会社の多くがペーパーカンパニーということになってしまいます。

社会保険について

徳井さんの件では社会保険についても問題になっています。

さきほど、会社を作る目的で「社会保険に加入するため」というものがありました。

???

疑問に思う方もいると思います。

加入したいのに、加入していなかったのであれば、そんなに非難されることではないのでは?

と単純な疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。

なぜ、社会保険に加入したいから会社を設立するかというと、厚生年金と健康保険に加入するためです。

個人事業主は国民年金に加入していますが、国民年金よりも厚生年金の方が、将来多くの年金をもらうことができます。

また、健康保険には、出産手当金や傷病手当などの制度がありますが、個人事業主が加入している国民健康保険にはそのような制度がありません。

将来の給付や病気で働けなくなったときのためなどの目的で社会保険に加入したいという人がいます。

一方、将来の給付が多い代わりに、支払う保険料も高くなるのが社会保険です。

特に、1人の会社の場合は、自分で個人負担分と会社負担分の両方を負担するようなものです。

1人の会社にとって、社会保険料の負担はとても大きいものになります。

保険料の負担が大きいという点に着目して、社会保険に加入したくないという人も多くいるのが現状です。

会社は社会保険に加入するのが義務となっていますが、現実は小規模の会社では加入していない会社もそれなりにあります。

ひと昔前は、会社の業績が悪いと、年金事務所の方で加入を断るなんてケースもあったと聞きます(社会保険料の徴収率が下がるため)。

今では方向性が変わって全ての会社に社会保険に加入させようということになりました。

こういった事情があるので、今でも小規模企業の中には社会保険に加入していない会社もそれなりの数あるのです。

徳井さんの場合は、単に手続きをしていなかったと思われます。

社会保険料には上限があって、徳井さんほどの稼ぎがあれば、そこまでの負担とは感じないと思うからです。

徳井さんの会社が社会保険に未加入だったと聞いて、「保険はどうしていたのか?」とか、「医者に行くときはどうしていたのか?」という声がありますが、この点については、国民健康保険に加入していたと思います。

年金は国民年金に加入していたと思います(国民年金保険料を支払っていたかどうかはわかりませんが)。

3年分の所得税をまとめて申告したデータが区にも行って、国民年金保険料の通知書が届いていたのではないでしょうか(くどいようですが、保険料を支払っていたかどうかはわかりませんが)。

さすがに保険証がなかったとは思いませんので。

まとめ

徳井さんの問題があり、1人で事業をしている個人事業主が会社を設立することが、悪いことのように言われるのを聞き、それは違うのではないかと思い、記事にしました。

途中からほとんど徳井さんの話になってしまいましたが、今回の件で、ちょっと的外れと思えるような批判が目立つのも事実だと思います。

それが一般の人の認識だとは思いますので、そう思われているかもしれないとは思っておいてもいいのかもしれないですね。

【編集後記】

徳井さんはBSNHKで「球辞苑」というマニアックな野球番組をしています。

私はこの番組のファンなのですが、このことに掛けて、今回の徳井さんの件を「申告敬遠」と言っている人がいて、笑いました。

「申告敬遠」というのは、野球では球を投げずに敬遠することなのですが、確定申告をしていなかった(敬遠していた)ことと掛けたのですね。

解説をしてしまうと面白くないのですが、野球に詳しい人であれば、面白いと感じるのではないでしょうか。

「球辞苑」は面白い番組なので、誰かが代わりにやってくれないかなぁ。

里崎さん、チャンスですよ(笑)


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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。