10年以上前の経験や売上1,000万円を基準に会社設立をすすめられたら、要注意

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会社設立の相談を受ける時によく言われるセリフがあります。

「知り合い社長に、会社にした方が節税になると言われた。」

「売上が1,000万円を超えたら、会社設立した方がいいと言われた。」

個人事業をしている人なら、このようなセリフを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

これらのセリフは合っている部分もあるのですが、これだけで会社設立の有利不利を判断することはできません。

その人の経験に基づいて会社設立を勧められる

知り合いの会社経営者に「会社にした方がいいよ」と言われることはよくあるみたいです。

会社設立の相談でよく聞きます。

知り合いの会社経営者は、決して税金の専門家ではありません。

しかも、その知り合いの会社経営者が会社を設立したのが、10年以上も前のことだとしたら、今とはだいぶ状況が違います。

一番の違いは社会保険だと思っています。

会社の場合、社会保険は強制加入です。

しかし、10年以上も前に設立した会社の場合、社会保険に加入していない可能性があります。

もし、社会保険に加入していない会社経営者に「会社を設立した方がいいよ」と言われたら、その話はそのままスルーした方がいいです。

そのくらい、社会保険に加入するのとしないのとでは違うからです。

会社負担の社会保険料は、自分や従業員の給料の14.5%程度になります。

自分の役員報酬が年500万円で、年300万円の給料の従業員を3人雇うとしたら、社会保険料の会社負担額は、年203万円にもなります。

社会保険に加入していない会社の場合は、この203万円の社会保険料を支払っていないのですから、会社を設立した方が節税になるというようなことは言えないはずです。

もし、知り合いの会社経営者に「会社を設立した方がいいよ」と言われたら、「社会保険に入っていますか?」と聞いてみましょう。

社会保険に入っているという答えが返ってきたら、参考までにもっと詳しく話を聞いてみてもいいかもしれません。

しかし、入っていないという答えが返ってきたら、その話はそこで切り上げた方がいいでしょう。

売上が1,000万円を超えたら会社にした方がいいと言われた

これもよく言われることだと思います。

まず、一番注意しなくてはいけないのが、業種によって経費の内容が異なるということです。

仕入れがほとんど発生しないサービス業と、仕入れが多く発生する卸売業では全く違います。

仕入れが発生しないサービス業の人は、売上1,000万円を一つの目安にするのはいいと思います。

しかし、卸売業や小売業、その他の仕入れが多く発生するような仕事の場合は、売上1,000万円は会社設立の目安にはなりません。

売上1,000万円と言われる理由は2つあります。

1つ目の理由は、消費税です。

売上が1,000万円を越えると、その2年後から消費税を支払わなくてはいけなくなります。

この2年後というのは1つのポイントです。

例えば、個人事業主で2018年に売上が1,000万円を越えると、2020年から消費税を支払うことになります。

そこで、2020年の初めに会社を設立すると、2020年と2021年も消費税を支払わなくてよくなります(資本金の額などによっては消費税を支払わなくてはいけないこともあります)。

この方法だと売上が1,000万円を超えた年を含めて4年近く消費税を支払わなくて済みます。

しかし、よく考えてみるとわかるのですが、個人事業のままで、2020年、2021年と消費税を支払った後の2022年初めに会社を設立したとします。

この場合、2022年と2023年は消費税を支払わなくて済みます。

いつ支払わなくていいのかが違いますが、消費税を支払わなくていい期間は最大で4年ということに変わりはありません。

2つ目の理由が、所得税の税率の問題です。

仕入れが発生しないサービス業などでは、売上が1,000万円くらいあると、税率もそれなりに高くなります。

そうなると、会社を設立した方が節税になるというものです。

しかし、先ほども書いたように、仕入れが多く発生するような仕事の場合、売上が1,000万円程度でも、所得は高くなく税率も低い場合があります。

ですから、売上が1,000万円が基準になるのではなく、あくまでも所得税の税率が基準になります。

その点は覚えておきましょう。

まとめ

個人事業をしていて、売上が1,000万円を超えてくると、どこからともなく「会社にした方がいいよ」という声が聞こえてきます。

そんなときには、この記事に書いてあることを思い出してください。

重要なことの1つ目は、会社を設立したら社会保険に加入すること、社会保険料の負担は大きいことです。

2つ目は、大事なのは売上ではなく所得(税率)だということです。

業種によっては、売上が多くても所得(税率)は少ないということがありますので、要注意です。

よくわからない場合は、1度税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

【編集後記】

週末は水天宮にお参りに行ってきました。

お参りの後に、ドラマや映画の加賀恭一郎シリーズで、阿部寛さんがいつも売り切れで食べられなかった人形町の柳家さんのたい焼きを食べました。

焼きたてで暖かく(熱く)てとても美味しかったです。

ただ、たい焼き一つに30分並ぶのはきついかな。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。