個人事業主とは違って、会社の場合は社長が住所を変更しただけでも手続きがいっぱいあります。特にひとり社長で自宅を本店としている場合はなおさらです。
本店移転登記、代表者の住所変更登記
最初に、変更の登記をしましょう。ひとり社長が住所を変更した場合は、本店の移転登記と代表者の住所変更登記が必要になります。個人事業では登記はありませんので、会社のみの手続きになります。
社長であれば、会社を設立したときに謄本を見たことがあると思いますが、謄本に何が書いてあるかまではわからない人も多いでしょう。謄本には以下のようなことが記載されています。
商号、本店所在地、公告をする方法、目的、発行可能株式総数、発行済株式の総数、資本金の額、株式の譲渡制限に関する規定、株券を発行する旨の定め、役員に関する事項、取締役会設置会社に関する事項、監査役設置会社に関する事項
よくわからないものもあると思いますが、これらの事項に変更がある場合は、登記が必要になります。本店所在地は上記に書いてありますが、代表者の住所変更はないよ、と思われるかもしれません。役員に関する事項の役員の中でも代表者については、住所も登記事項になるのです。
登記については自分でもやろうと思えばできるものもありますが、間違えても嫌ですし、手間も時間もかかりますので、司法書士に依頼することも検討してみましょう。
税務署、県税事務所、市役所へ届出書を提出する
本店の移転も代表者の住所変更も、税務署、県税事務所、市役所への異動届出書の提出が必要になります。これらの届出書には、謄本を添付する必要があることが多いです。順番的には登記をして、登記が完了して謄本が取れるようになってから、これらの異動届出書を提出することになります。
難しいことではないので自分で異動届出書を提出することも可能です。県や市をまたぐ異動の場合は、異動前と異動後の両方の役所に届出書を提出しなければいけない場合もありますので、事前に管轄の役所に電話をして提出先を確認しましょう。
税理士と顧問契約を結んでいれば、税理士が提出してくれることも多いでしょう。手数料は毎月の顧問料に含むことが多いかと思いますが、別に発生することもあると思いますので、こちらも確認しましょう。
社会保険でも手続きが必要
会社で社会保険に入っていない場合は必要ありませんが、法人であれば法律上は加入しているはずなので、こちらの手続きも必要になります。
自分で手続きをする場合は、管轄の年金事務所に確認してみましょう。こちらも謄本のコピーを添付することになります。
管轄内での異動、管轄外への異動、都道県が変わる異動などそれぞれで手続きが違うこともあるので気をつけましょう。
こちらは社会保険労務士の仕事になりますので、契約している社会保険労務士がいる場合は聞いてみましょう。
ひとり社長で時間がある場合は、自分でやってみるのもいいと思います。
これらの手続きを自分でやる場合で、直接役所に行く場合は会社の代表印を持っていくと間違いがあった場合にも対応できるのでいいと思います。
公的な手続きについて書いてみましたが、これらのほかにも取引先はもちろん、銀行や保険会社、カード会社など多くの手続きが必要になります。会社を経営する以上、こういった事務手続きは必須で発生しますので、忘れずに行うようにしましょう。