個人事業にするか、会社を設立するかどうかで考えることはよくあります。会社にした方が節税になるとか、社長になりたいとか、大体そういうことを考えているときは前向きになっています。
気持ちが前向きになっていると、よく検討しないで、あるいはよく検討したつもりになって、会社を設立しがちになります。
そこは、いったん立ち止まって冷静に考えてどちらにするか判断するようにしましょう。
ということで、今回はそんなときに読んで頂きたい個人事業主のメリットを書いてみます。
前提条件として、個人事業にするか会社にするかで悩むと思われる、売上3,000万円以下程度、従業員5人未満の事業を想定しています。
手間がかからない
個人事業主のほうが何かと手間がかかりません。これは個人事業主の大きなメリットだと思います。
とくに作業が苦手な人にとっては大きいでしょう。会社の場合は設立するにも登記が必要など、手間がかかります。個人事業であれば、届出書を出すくらいで済みます。
更に、会社の場合は登記事項に変更があれば、その都度登記が必要です。引っ越しをした場合や役員に変更があった場合など、登記が必要になることは意外と多いものです。
経理、決算、申告どれをとっても会社の方が大変です。
個人事業であれば、自分で確定申告することも可能だと思います。会計ソフトを使用すれば、青色申告特別控除65万円の条件を満たすことも可能でしょう。
法人税の申告となると申告書の枚数も多いですし、勘定科目内訳明細書や、法人事業概況説明書など個人事業では必要のないものまで作成しなければいけません。また、個人事業主であれば、税務署に申告すれば終わりですが、会社の場合は、県や市にも申告書を提出しなければいけません。
事業をやめるときも大きく違います。会社の場合は、解散、清算手続きをしなくてはいけません。解散、清算手続きもかなり手間がかかります。特に、金融機関の借入金が残っている場合はやめるにやめられません。
お金がかからない
上記で手間がかかるものについて書きましたが、これらはお金もかかるものがほとんどです。
経理や決算、申告などは手間がかかるので、自分ではできないとなると経理の人を雇ったり、税理士事務所に依頼したりすることになります。当然お金がかかります。経理の人をパートの人でと思っても年100万円以上はかかりますし、税理士事務所への費用も発生します。
経理の人の場合は、信用できる人が採用できるかという問題も発生します。会社のお金の事情が分かってしまいますから、パートの人に任せることが適切かどうかも判断する必要があります。
登記にもお金がかかります。
会社の設立には25万円から30万円程度かかりますし、何か変更があったときの登記も数万円からそれ以上かかります。
税金面でも、個人事業の場合は赤字であれば所得税住民税はかかりませんが、会社の場合は赤字でも最低年7万円の法人住民税がかかります。毎年7万円ですから、決して小さい金額ではありません。
社会保険については、会社の場合はすべての会社に加入の義務があります。個人事業主の場合は、業種にもよりますが、従業員が5人未満であれば任意加入となり、社会保険に入らなくても大丈夫です。
社会保険料の会社負担は、給料の14%程度になります。小規模な事業者にとって、この負担はかなり大きいです。個人事業主で加入してなくていいのであれば、大きなメリットと言っていいでしょう。
まとめ
個人事業主のメリットを見てきました。メリットのほとんどが、手間とお金の問題です。
それに対して会社にするメリットは、会社を成長させることと、節税効果でしょう。
手間とお金がかからないほうがいいというのであれば、個人事業主を選べばいいでしょう。
ポイントは、所得があまり高くないということと、事業を大きくする気はないということでしょうか。
所得があまりなく、事業を大きくする気もないのに、勢いで会社を作ってしまうと、後悔することになりかねません。判断は慎重にするようにしましょう。
手間とお金がかかっても、事業を大きく成長させていきたい、あるいは手間とお金以上の節税効果を得たいというのであれば、会社を設立しましょう。