フリーランスと一人社長における源泉徴収義務の違い

スポンサーリンク


フリーランスと一人社長は、一人で事業を行うという点では同じです。

フリーランスは個人事業主であり、所得税が課されるのに対して、一人社長では、会社には法人税が課され、会社からもらった給与については、所得税が課されます。

今回は、フリーランスと一人社長で取扱いが異なる点として、源泉徴収義務について書くことにします。

※この記事において、フリーランスとは、一人で事業を行う個人事業主のことを言うこととします。

源泉徴収義務者とは

従業員に対して給与を支払ったり、税理士や司法書士に対して報酬を支払った場合には、所得税及び復興特別所得税(以下、「所得税」といいます)を差し引くことになっています。

差し引いた所得税は、原則として給与や報酬を支払った月の翌月10日までに、納付します。

所得税を差し引いて納付しなければいけない会社や個人を、源泉徴収義務者と言います。

しかし、個人の場合で、人を雇わずに給与を支払うことがない人については、源泉徴収をする必要がないことになっています。

つまり、人を雇わないフリーランスは、源泉徴収義務がないのです。

一人で事業を行うという点では、フリーランスも一人社長も同じなのですが、源泉徴収義務という点では、取り扱いが異なります。

配偶者を専従者にして、専従者給与を支払う場合は、源泉徴収義務者になります。あくまでも、1人だけで事業を行う場合です。

フリーランスでも、ホステス等に支払う報酬に対しては、源泉徴収義務があります。

源泉徴収の対象となる報酬や、源泉徴収税額、納付については、過去記事を参照してください。

報酬の支払いの際は源泉徴収を忘れずに

2016.04.26

源泉所得税を差し引いていない請求書をもらったらどうするか

源泉徴収制度は、報酬を支払う方が、所得税を差し引いて納付する制度です。

弁護士に対する報酬などで、源泉所得税を差し引いて支払う必要があるのに、源泉所得税を差し引いていない請求書をもらうことがあります。

弁護士や、司法書士は、相手が会社であれば、源泉徴収義務があるとわかるのですが、相手が個人の場合は、源泉徴収義務があるかどうかはわかりません。

請求書を出すときに、源泉所得税を差し引いていいのかどうか、わからないのです。

そもそも、源泉徴収義務は、支払う方に義務があります。

請求書で、源泉所得税が差し引いていなかったとしても、違法ではありません。

一般的には、請求書に源泉所得税を差し引いて請求することが多いですが、そうでないところもあるでしょう。

源泉徴収義務者であれば、請求書で源泉所得税を差し引いていなかったとしても、源泉所得税を差し引いて納付することになります。

このときに、いきなり、源泉所得税を差し引いて支払うと、相手がびっくりするかもしれませんので、電話などで源泉所得税を差し引いて支払う旨を伝えたほうがいいでしょう。

出来れば、源泉所得税を差し引いた請求書を、もらいなおした方がいいです。

無理な場合は、元の請求書に、メモ書きなどで源泉所得税を差し引いて支払った記録を残しておきましょう。

請求書は個人名になっているように見えて、実際は、相手が弁護士法人だったり、司法書士法人であったりして、源泉徴収が必要ないこともありますので、やはり確認は必要でしょう。

相手と合意がとれればいいのですが、そのまま支払ってと言われることがあるかもしれません。または、経理の人には決定権がなく、うちはこれでもらっていると言われてしまうかもしれません。

事情を説明して、正しく支払うのがベストですが、それも難しいという場合は、個別判断になるでしょう(あまり、そういうことはないと思いますが)。

フリーランスなのに、源泉所得税を差し引かれた請求書をもらったらどうするか

フリーランスで源泉徴収義務がないのに、源泉所得税を差し引かれた請求書をもらった場合はどうでしょう。

この場合も、相手に連絡をして、自分には源泉徴収義務がない旨を伝えて、源泉所得税を差し引かずに支払うようにしましょう。

請求書をもらいなおせるのであれば、もらいなおしましょう。

弁護士や司法書士によっては、相手が個人の場合は、源泉所得税を差し引いていないという場合があります。

この場合において、個人事業主で源泉徴収義務者の場合は、源泉徴収する必要がありますので、注意しましょう。

まとめ

フリーランスや、一人社長にとって、報酬に対する源泉徴収義務はわかりづらい点も多いと思います。

特に、報酬の場合は、源泉徴収する報酬に該当するかどうかはわかりづらいものもあります。

定期的に出てくる支払いは大丈夫だと思いますが、たまたま発生する支払いの場合は、その都度、源泉徴収する必要があるのかどうか確認するようにしましょう。

また、源泉徴収義務者で間違いやすいのが、納期の特例の対象となる報酬かどうかという点です。

一人社長であれば、源泉所得税の納期の特例の適用を受けている会社が多いと思います。

給与や、税理士に対する報酬などにかかる源泉所得税は、納期の特例の対象になりますが、原稿料や講演料等にたいする報酬にかかる源泉所得税については、納期の特例の対象にはなりません。

原稿料や講演料に対する報酬にかかる源泉所得税は、原則通り、支払った月の翌月10日までに納付する必要がありますので、注意が必要です。

最後に、源泉所得税は、納付が遅れると加算税がかかりますので、納付期限までに忘れずに納付するようにしましょう。

【編集後記】

昨日は、一日寝ていたこともあり、体調は回復しました。

やっぱり、体調が悪いときは、早めに休むのがいいですね。


 

千葉市、四街道市、佐倉市を中心に地域密着を目指している「渡邉ともお税理士事務所」のホームページはこちら

スポンサーリンク

関連記事

ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。