相続税対策でアパートを建てるのも、通常の不動産投資と同じように考える

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昨日(3月26日)の日経新聞の一面に、金融機関の不動産向け融資が過去最高額を記録したという記事が出ていました。

平成27年から相続税の基礎控除が下がったことや、サラリーマン大家さんが増えていることなどが理由だと思います。

平成27年以降、相続税の申告が必要な人は倍近くになったと言われています。

相続税対策でアパートを建てるのも、サラリーマン大家さんになるのも、アパート経営をするという点では同じです。

しっかりと、事業計画を立てないと、後で大変なことになります。

なぜ、相続税対策でアパートを建てるのか

相続税では、現金1億円を持っていれば、1億円として評価されます。

しかし、その1億円で建物を建てると、評価額は一気に6,000万円から7,000万円程度に下がるのです。

これだけで3,000万円から4,000万円も評価額が下がり、相続税を減らすことができます。

建物の評価額は、建築価額の6割から7割くらい、土地の評価額は時価の8割くらいになることが多いです。

例として、時価1億円の土地を持っていたとして、そこに借入をして1億円のアパートを建設したとします。

何もしなければ、評価額は土地が8,000万円程度です。

アパートを建てることによって、土地の評価額が18%ほど下がり、6,560万円になります。(借地権割合60%、入居率100%とします。)

さらに、建物の評価額は7,000万円程度、借入金の評価額は、1億円です。

課税価格は、6,560万円+7,000万円-1億円=3,560万円となります。

何もしなければ、8,000万円だったところが、借入をして建物を建てることにより、3,560万円になり、4,440万円も課税価格が下がるのです。

相続税の税率が20%の人であれば、888万円の節税効果になり、これが、相続税対策としてアパートを建てる理由です。

相続税が下がればいいわけではない

しかし、相続税が下がったと言って喜んでいられるわけではありません。

1億円の借金が残り、返済をしていかなければいけないからです。

通常のアパート経営も同じですが、アパート経営にはリスクが多くあります。

空室リスク、家賃下落リスク、地震や火災、水害、竜巻などの天災のリスク、入居者トラブルのリスク、家賃未収のリスク、管理会社のリスクなどなど。

アパート経営をしていれば、これらのことが起こっても何の不思議もありません。

むしろ、空室や家賃下落、家賃未収などは、起こる可能性のほうが高いとも言えます。

こういったリスクをきちんと考慮したうえで、シミュレーションをして、アパートを建てているのであれば、まだいいほうです。

いいほうというのは、慎重にシミュレーションをしても、その通りに行くとは限らないからです。

しかし、不動産屋さん勧められるままに、よく検討もせずにアパートを建ててしまう人は、本当に危険です。

アパートを経営するこということは、一つの事業を行うようなものです。

何も考えずに事業を始めた人が上手くいかないように、何も考えずにアパートを建てても上手くいくことは少ないはずです。

アパートを建てたら、20年30年とアパート経営が続くことを忘れてはいけません。

さらに、20年後あるいは30年後には、建て替えるのか、売却するのか、あるいは大規模修繕をするのかというような大きな問題も必ず発生します。

アパートを建てて、相続税が安くなって終わりではありません。

アパート建設は、アパート経営という事業の始まりなのです。

サラリーマン大家さんも同じ

最近増えているサラリーマン大家さんも同じです。

給与の他に、不労所得が欲しいと思ってアパート経営を始める人が多いですが、同じく慎重なシミュレーションが必要です。

アパート経営は、上手くやれば儲かることもありますが、楽をして儲けることができるとは思いません。

勉強をして、工夫をする必要があります。

シミュレーションをする際は、表面利回りだけでなく、実質利回りで考えることも忘れないようにしましょう。

表面利回りや実質利回りについては、こちらの記事を参考にしてください。

収益物件を検討するときは実質利回りを考えよう

2016.06.24

まとめ

アパート経営には、一般的に、何もしなくても自動的にお金が入ってくるとか、不労所得とかいうイメージがあるみたいですが、決してそんなことはありません。

まして、この人口減少社会では、近い将来空室が増えることが予想されます。

シミュレーションが甘ければ、近い将来どころか、建設当初から満室にならないことも珍しくないでしょう。

そして、空室が続けば家賃も下げざるを得ません。

よほど立地条件のいいところでなければ、かなり厳しめにシミュレーションをする必要があるでしょう。

日経新聞では、サブプライムローン問題の日本版にもなりかねないと書いてありますが、これを防ぐには、アパート経営をする側の勉強が欠かせないと思います。

相続税対策にしろ、サラリーマン大家さんにしろ、アパート経営をする際は、慎重な判断が必要だということを覚えておきましょう。

【編集後記】

昨日一昨日とテレビ朝日で「そして誰もいなくなった」が二夜連続で放送されました。

先日お亡くなりになった渡瀬恒彦さんの、最後の作品となりました。

お亡くなりになる1か月くらい前まで撮影をしていたようです。

ドラマの役でも、末期の肺がんを患っているという役でした。

最後の渡瀬さんの演技は、凄いもので感動しました。

 

今日の体重 75.8kg(ダイエット開始から△0.7kg) お腹周り 93㎝(ダイエット開始から△3cm)


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。