不動産投資もアパート経営も、事業として考えよう

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今週号の週刊ダイヤモンドの特集は、「不動産投資の甘い罠」です。

このブログでは、以前に次の記事を書いていました。

相続税対策でアパートを建てるのも、通常の不動産投資と同じように考える

2017.03.27

アパート経営は、何もしなくても毎月家賃収入が入ると簡単に考える人もいるようです。

甘いシミュレーションをして、アパート経営を始めるサラリーマン大家さんや、相続税対策でアパート経営を始める人もいるかもしれません。

アパート経営も、基本的には事業ですから、通常の事業と同じように考える必要があります。

事業を立ち上げる人と同じように、シミュレーションを行い、しっかりとした事業計画を立てないと、あとで大変なことになってしまいます。

今週号の週刊ダイヤモンドでは、不動産投資についての色々な問題点について書かれています。

アパート経営を始めようとする人が、少し頭を冷やして冷静に考えるために読んでみるといいと思います。

シミュレーションは現実に即して行う

アパート経営を始めるうえで欠かせないのが、シミュレーションでしょう。

通常は、不動産会社などがシミュレーションを行い、オーナーに説明をすると思います。

不動産会社は当然ですが、アパートを建ててもらいたいので、シミュレーションの数字は甘めに作ることが予想されます。

30年間家賃の減額がなかったり、入居率が30年間高いままというような、現実的には難しそうなシミュレーションを作成することもあるでしょう。

これを見て、「こんなに儲かるんだ!」と簡単に思わないようにしましょう。

30年間も家賃の減額がないとか、30年間入居率が高いままということは、そうそうあることではありません。

立地が相当良ければ、話は別ですが、そうでもないならば、ありえない設定と言ってもいいかもしれません。

また、シミュレーションでは、想定外の費用も織り込むようにしましょう。

今回、週刊ダイヤモンドに、いくつかの会社が作成した収支計画が載っていますが、想定外の費用は見当たりません。

想定外の費用がないどころか、想定内の費用も少ないのではないかと思ってしまいます。

アパート経営には、様々なリスクがあります。

空室リスク、家賃減額リスク、修繕費が発生するリスク、入居者が事故を起こすリスク、入居者同士のトラブルリスク、近所の人とのトラブルなどなど。

これらの問題が起こると、想定外のお金が出ていくこともあるでしょう。

シミュレーションを行う際は、慎重な数字で行って、これらのトラブルが発生したとしても、収支がプラスになるような計画にしましょう。

「赤字なら損益通算で税金が還付される」という言葉に、猛烈な違和感

記事の中で、不動産投資のシミュレーションの一例が載っていました。

このシミュレーションは、ある会社への取材をもとに本誌編集部が作成したと書いてあります。

シミュレーションでは、20年目までの累計の不動産所得がマイナス1,090万円となっています。

「???」

20年目までの累計の所得が、「マイナス?」

こんなの、「やる意味あるの?」って思ってしまいます。

途中からは、所得がプラスに転じて、30年間での所得累計は1,350万円となっています。

この数字を見て、「1,350万円も儲かるのか」と思う人もいるかもしれませんが、わたしは、「1,350万円しか儲からないのか」と思います。

1,350万円を30年で割ると、1年平均で45万円の所得です。

7,740万円も借入をして、30年に渡って返済を続けた結果、1年平均で45万円の儲けです。

割がいいとは言えないですよね。はっきり言ってしまえば、割は悪いです。

本当に何もしなくて、更にリスクもなくて、年に45万円儲かるなら、こんなにいいことはありません。

しかし、大変な思いをして、高いリスクを負ってまで、年に45万円の儲けでは、やってられません。

更に猛烈な違和感を感じたのは、以下の言葉です。

赤字なら損益通算で税金が還付されるなど節税効果も期待できる

この言葉が何を言いたいのかは正確にはわかりません。

恐らく、他にも所得がある、しかも税率の高い人を想定しているとは思います。

しかし、そのことは本文中には一切書いてありません。

税金の還付は人によってそれぞれですし、損失を出して節税効果をうたうのは、投資の効果としては適切ではないでしょう。

キャッシュフローの表も載っていて、そこには税金の還付も考慮されているみたいなのですが、根拠は不明です。

税金が還付されるというと、喜ぶ人が多いかもしれませんが、税金の還付とは、納め過ぎた税金が戻ってくることです。

自分が納めていたものが戻って来ただけで、誰かがお金をくれたわけではありません。

しかも、税率が30%の人であれば、100万円の損をして、払い過ぎた税金が30万円戻ってくることです。

何もしなければ、プラスマイナス0、アパート経営をしたら、70万円の損(△100万円+30万円)、どちらがいいでしょうか。

何もしなくて0の方がいいですよね。

税金が還付されると喜ぶと思って書いているのでしょうが、おかしな話です。

もし、この人の、他の所得が何らかの事情でなくなったとしたら、損益通算はできないことになり、赤字を垂れ流すだけになってしまいます。

そして、ここに載っているキャッシュフローの表では、キャッシュフロー累計が、30年間でプラス2,320万円となっていますが、最初に拠出した自己資金1,000万円が考慮されていないように見えます。

最初に1,000万円の自己資金を支払っているので、30年間のキャッシュフローは、プラス1,320万円が正解ではないでしょうか。

となると、所得もキャッシュフローも、年50万円もいかないということになります。

月4万円程度のお金のために、これだけのリスクを取ることがいいのかどうかを、よく考える必要があるでしょう。

まとめ

ここ数年、アパート経営は人気があります。

しかし、最近は、色々な問題点があることも報道されるようになりました。

今から、アパート経営を始めようとする人は、十分に検討してから、始めた方がいいでしょう。

すでに、アパート経営を始めている人は、もう一度資金計画、収支計画を見直して、改善できることは改善していくようにしましょう。

わたしはが、アパート経営について否定的に思っているように読めるかもしれませんが、アパート経営は嫌いではありません。

むしろ、自分でもやってみたいという気持ちもあります。

しかし、リスクを考えるとなかなか手を出せないという状況です。

しっかりとリサーチをして、アパート経営を行えば、勝てる方法はあると思っています。

そのためには、しっかりとした計画が必要です。

甘い計画でアパート経営を始めてしまって、後悔をする人が出なければいいなと思います。

【編集後記】

先日受けた健康診断の結果が届きました。

ダイエットの効果もあったせいか、全般的にまずまずだったと思うのですが、悪玉コレステロールは、「受診勧奨」でした。

悪玉コレステロールについては、効果が出るまでに、もう少し時間がかかるのでしょうか。

引き続き、健康には気をつけます。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。