源泉所得税を会計ソフトに入力する

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給与や報酬の支払いの際には、源泉所得税を差し引きます。

今回は、源泉所得税に関する仕訳について書くことにします。

源泉所得税の入力の流れ

源泉所得税は、給与や報酬の支払い時に徴収します。

ですから、会計ソフトの入力でも発生時ではなく支払い時に仕訳を入力します。

例として、末締めの翌月10日払い、給与の額面が50万円、社会保険料が7万円、源泉所得税が15,000円、住民税が10,000円の場合でみていきます。

源泉所得税については、半年に一度納付する納期の特定の適用を受けているとします。

6月30日の仕訳は、以下のようになります。

給与   500,000  未払金   500,000

社会保険料、源泉所得税、住民税ともに、支払い時に徴収しますので、発生時の仕訳は上記のようになります。

そして、7月10日の給与支払い時の仕訳は以下の通りです。

未払金500,000普通預金405,000
預り金/社会保険料70,000
預り金/源泉所得税15,000
預り金/住民税10,000

社会保険料、源泉所得税、住民税については、預り金にそれぞれの項目で補助科目を作成しておくと管理がしやすくなります。

給与や源泉所得税の金額が毎月同じだとすると、毎月10日に上記の仕訳が計上されます。

この他に、毎月税理士への顧問報酬が32,400円、源泉所得税が3,063円あるとします。

毎月の仕訳は以下の通りです。

支払報酬32,400普通預金29,337
預り金/報酬3,063

税理士への報酬は、当月分を当月に支払っているとします。

納期の特例の適用を受けているので、12月までは、毎月預り金が貯まっていきます。

12月末の年末調整前の源泉所得税の残高は以下の通りです。

給与にかかる源泉所得税  90,000(15,000×6ヶ月分)
報酬にかかる源泉所得税  18,378(3,063×6か月分)

12月末の試算表で、残高を確認することができます。

この後に年末調整をして、1月5日に年末調整還付金を150,000円還付したとした場合の仕訳は以下の通りです。

預り金/源泉所得税   150,000   普通預金   150,000

この時点では、預り金/源泉所得税の残高は、△60,000円(90,000円-150,000円)になります。

期中であれば、マイナスの残高になっていても、それ程気にしなくてもいいでしょう。

この場合の預り金のマイナスの残高というのは、税務署に対する立替金みたいなものです。

今後納付をすることになる源泉所得税に充当したり、還付を請求したりすることになります。(充当することが多いです。)

年末調整還付金の額150,000円が、7月から12月に預かった源泉所得税の合計額90,000円よりも大きかったので、1月20日に納付する源泉所得税は0円になります。

この時の仕訳を厳密に入力するのであれば、以下のようになります。

未収金41,622預り金/源泉所得税60,000
預り金/報酬18,378

本来であれば、半年分の報酬にかかる源泉所得税18,378円を税務署に納付しなくてはいけないのですが、給与にかかる源泉所得税の立替金があるので、それと相殺します。

残った41,622円が税務署に対する未収金です。

期中は預り金のマイナスで処理をするのであれば、仕訳は以下のようになります。

預り金/報酬   18,378   預り金/源泉所得税   18,378

税務署に対する立替金と、税務署に納付をする税額との相殺仕訳のみ入力します。

この時点で、預り金/報酬の残高は0円になります。

預り金/源泉所得税の残高は、税務署に対する未収金を計上した場合は、0円になり、未収金を計上しない場合は、△41,622円になります。

そして、1月から6月の給与や報酬の支払い時は、通常の仕訳を入力します。

6月末の時点での預り金/報酬の残高は18,378円(3,063円×6か月)となります。

預り金/源泉所得税は、未収金を計上した場合の残高は、90,000円(15,000×6か月)となり、未収金を計上していない場合の残高は、48,378円(90,000-41,622円)となります。

7月10日に納付する税額は、給与にかかる源泉所得税が48,378円、報酬にかかる源泉所得税が18,378円です。

給与にかかる源泉所得税については、税務署に立て替えていた金額41,622円を充当しますので、48,378円(90,000-41,622)になります。

この場合の仕訳は以下の通りです。

未収金を計上していた場合

預り金/源泉所得税90,000普通預金66,756
預り金/報酬18,378未収金41,622

未収金を計上していない場合

預り金/源泉所得税48,378普通預金66,756
預り金/報酬18,378

未収金を計上していても、していなくても納付をする金額は変わりません。

この支払をした時点で、預り金/源泉所得税、預り金/報酬、未収金の残高は全て0円になります。

残高が0にならない場合は、何かが間違っていることが考えられるので、残高が0にならない原因を探しましょう。

まとめ

給与や報酬にかかかる源泉所得税の会計ソフトへの入力について書いてみました。

1年間の流れに沿って書きましたので、基本的なことはお分かりいただけたのではないかと思います。

普段の徴収時の仕訳、年末調整時の仕訳、源泉所得税の納付時の仕訳、それから、残高の確認については、大体こんな感じになっていますので、参考にして頂ければと思います。

年末調整で還付金が多くなる時や、半年に一度の源泉所得税の納付時に納付額が発生しない場合などの入力はわかりづらいです。

すぐにはわからないかもしれませんが、1年2年と入力をしていくうちに、入力ができるようになるでしょう。

そして、その時点での帳簿上の預り金の残高と、理論上の残高を確認することができるようになると、入力の間違いをなくすことができます。

預り金の流れを把握して、入力が終わったら、預り金の残高を確認する癖をつけるようにしましょう。

【編集後記】

24日は、千葉ロッテの井口選手の引退試合です。

24日のチケットは手に入らないので、23日にマリンスタジアムに行く予定です。23日も試合に出てくれればいいのになぁ。


 

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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。