個人事業主や小規模企業の経営者の老後のためのお金を準備するものとして、iDeCo(個人型確定拠出年金)と小規模企業共済をおすすめしています。
このブログでも何度も書いています。
また、個人事業主で、運用があまり好きではなく、終身年金が良いという人には国民年金基金もおすすめしています。
厚生年金に加入している人は国民年金基金に加入できませんので、国民年金基金は個人事業主の話になります。
これらは、老後のためのお金を準備するだけではなく、節税効果も高いものになります。
今日は、これらの優先順位について書いてみます。
優先順位は人によって違う
優先順位を書くと言っておいて、人によって違うと書いたら、文句を言われそうですが、全員の優先順位が同じということにはなりません。
個人事業主
個人事業主は、小規模企業共済、個人型確定拠出年金、国民年金基金の3つの選択肢があります。
個人型確定拠出年金と国民年金基金は合わせて掛金の上限が決まっています。
個人型確定拠出年金だけで上限の掛金で加入しても良いですし、国民年金基金だけで上限の掛金で加入しても大丈夫です。
両方に半分ずつということもできます。
小規模企業共済と個人型確定拠出年金の大きな違いは、支払った掛金を自分で運用するかどうかです。
個人型確定拠出年金は自分で運用しますが、小規模企業共済は自分では運用しません。
運用が嫌いな人は小規模企業共済を優先させ、積極的に運用したいという人は、個人型確定拠出年金を優先させましょう。
国民年金基金の魅力は、終身年金を選べる点です。
とにかく長生きに備えたい、生きている限りもらえる年金が欲しいという人は加入してもいいでしょう。
まとめると、積極的に運用をしたい人は、個人型確定拠出年金を優先させます。
国民年金基金には加入しなくてもいいです。
個人型確定拠出年金と小規模企業共済は掛金の上限が別枠でありますから、個人型確定拠出年金の掛金を支払って、まだ資金に余裕があるようでしたら、小規模企業共済にも加入するといいでしょう。
ただし、将来一時金をもらう際の税金を少なくできる可能性があるので、少額でも、早くから両方に加入しておいた方が良いです。
個人型確定拠出年金の掛金の上限額は、月額6万8千円です。
積極的に運用をしたいけど、支払える掛金は月額5万円だというのであれば、個人型確定拠出年金のみに5万円支払うのではなく、例えば、個人型確定拠出年金に4万円、小規模企業共済に1万円というように掛金を配分しましょう。
自分で運用をしたくないという人は、小規模企業共済を一番に考えましょう。
小規模企業共済の掛金の上限額は、月額7万円です。
小規模企業共済に7万円支払っても、まだ余裕がある場合は、終身年金の国民年金基金にも加入するといいでしょう。
この場合でも、小規模企業共済に上限の額で加入する必要はありません。
運用はしたくなく、終身年金も欲しいというのであれば、小規模企業共済に3万円、国民年金基金に2万円ということでも大丈夫です。
最近は株価が随分と下落しています。
この程度の下落で不安に陥るようであれば、運用はしない方が良いかもしれません。
逆に、今加入すれば、安く始められると思えるような人は運用に向いているかもしれません。
小規模企業の経営者
小規模企業の経営者で厚生年金に加入している人は、国民年金基金に加入できませんから、小規模企業共済と個人型確定拠出年金の2択になります。
さらに、厚生年金に加入している場合は、個人型確定拠出年金の掛金の上限額は、月額2万3千円になります。
個人事業主の場合と同じで、積極的に運用をしたいかどうかで、優先順位が変わります。
積極的に運用をしたい人は、個人型確定拠出年金を優先させ、運用をしたくない人は、小規模企業共済を優先させましょう。
小規模企業の経営者の場合、個人型確定拠出年金の掛金の上限額が低い(月額23,000円)ですから、積極的に運用をしたい人でも、個人型確定拠出年金の掛金を上限にしたうえで、支払える範囲内で、小規模企業共済にも加入することをおすすめします。
まとめ
小規模企業共済と、個人型確定拠出年金、国民年金基金の優先順位について書いてみました。
個人事業主で、積極的に運用をしたい人は個人型確定拠出年金→小規模企業共済の順で掛金を検討するのがいいでしょう。
個人事業主で、運用したくないという人は、小規模企業共済→国民年金基金の順で掛金を検討しましょう。
もちろん、少しは運用しても良いというのであれば、国民年金基金の代わりに個人型確定拠出年金に加入するのもアリですし、両方に半分ずつ加入しても大丈夫です。
小規模企業の経営者の場合は、積極的に運用をしたい人は、個人型確定拠出年金→小規模企業共済の順で掛金を検討しましょう。
個人型確定拠出年金の掛金の上限額は大きくないので、小規模企業共済にも加入するとよいでしょう。
運用をしたくないという人は、小規模企業共済→個人型確定拠出年金の順で掛金を検討しましょう。
個人型確定拠出年金では、リスクの少ない商品を選ぶという選択肢もあります。
以前は、このブログで次のような記事を書きました。
運用は損をすることもあります。
ですから、税理士としてすすめづらい部分があります。
そういった気持ちもあって、小規模企業共済を優先して書きました。
しかし、自分の気持ちとして正しくないなと思いました。
そういったこともあって、今回このような記事を書いてみました。
積極的に運用をしたい人は、個人型確定拠出年金を優先させましょう。
この他に、つみたてNISAという制度もあります。
積極的に運用をしたいという人については、つみたてNISAを併用することも有力な選択肢になります。
【編集後記】
今日は、役所から添付書類をファックスで送って欲しいと言われ、聞いた番号が電話番号で送信エラーになったり(教えてもらった番号がファックスの番号ではなく電話番号だった)、2日前に届く予定の荷物が届かずに問い合わせたら、荷物が行方不明になっていたりと、流れの悪い1日でした。
まぁ、こんな日もありますね。