報酬に対する源泉税の税率は5%でいいのでは

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税理士などへの報酬を支払う際は、源泉所得税を10%差し引いて支払うことになっています。

今回の記事では、復興特別所得税は考えないものとします。

税理士への支払いでも、税理士法人への支払いでは源泉徴収をする必要はありませんし、源泉徴収義務のない人が支払う場合も、源泉徴収をする必要はありません。

所得税が還付になり、住民税が納付になるケースは多い

今回は、源泉税を差し引く側ではなく、差し引かれる側の話になります。

自分の売上に対して全て源泉徴収されるとしたら、売上の10%もの所得税を先に納付していることになります。

売上が1,000万円であれば、100万円ですし、売上が2,000万円であれば、200万円です。

これだけではピンとこないかもしれませんが、売上の10%の所得税を支払うというのはとても負担が大きいです。

利益ではなく売上というのがポイントです。

源泉税は、経費は関係なしに売上の10%を差し引きます。

毎年確定申告をしている人であれば、自分が売上に対して何%の所得税を支払っているか確認してみてください。

10%以上支払っている人はごくわずかではないでしょうか。

ということは、確定申告をすると、所得税が還付になる人が多いということです。

所得税が還付になるのはいいとします。

では、住民税はどうでしょうか。

報酬に対して住民税が源泉徴収されることはありません。

ですから、いくら源泉徴収された金額が多いからといって、住民税は還付ではなく納付になるのです。

流れを見ると、毎月所得税が源泉徴収され、翌年1月から3月にかけて還付申告をして、所得税が還付され、その後6月以降に住民税を支払うことになります。

何か面倒だと思いませんか。

天引きされ、戻ってきて、また支払うんです。

わたしの場合、ブログにも書きましたが1月4日に還付申告を終えています。

それなりの額が還付になります。

しかし、還付される金額の半分弱くらいの金額を6月以降に住民税として納付しなくてはいけません。

だったら還付金を住民税に充当してくれればいいのに、とも思ってしまいます。

源泉徴収が、所得税5%、住民税5%だったら

もし、源泉徴収される税率が所得税5%、住民税5%だったらどうでしょうか。

説明をわかりやすくするために、前提条件を以下のように設定します。

・所得税と住民税の課税所得金額は195万円
・源泉徴収された税額は20万円(内訳 所得税10万円、住民税10万円)

課税所得が195万円の場合の所得税は97,500円(税率5%)、住民税は195,000円(税率10%)です。

このケースで、 源泉徴収税額が所得税10%(20万円)のみの場合は、所得税が102,500円の還付になり、住民税は195,000円を支払うことになります。

これに対して、源泉税額が所得税5%、住民税5%の場合は、以下のようになります。

所得税の還付申告で2,500円の還付になり、6月以降に95,000円の住民税を納付すればいいことになります。

前者のケースでは、一旦102,500円が還付されたのちに、195,000円を支払うのに対し、後者では、還付額は2,500円と少額ですが、後で納付する額が95,000円になり、前者よりも100,000円少なくなります。

どちらも、所得税と住民税を合わせて292,500円の負担になるのですが、後者の方が負担を少なく感じるのではないでしょうか。

さきほどのわたしの例で見ても、還付される額の半分弱の住民税ということは、住民税が5%源泉徴収されていれば、住民税も源泉税の範囲内でおさまっていたことになります。

現実的には難しい

なぜこんなことになるかというと、所得税の最低税率が5%なのに対し、住民税の税率は一律10%ということが関係していると思います。

所得があまり高くない人にとっては、所得税よりも住民税の方が税額が多くなります。

それなのに、源泉徴収されるのは所得税だけですだから、所得税は還付になり、納付する住民税が多くなってしまうのです。

では、今後所得税5%、住民税5%の源泉徴収ということになるかというと、そうはならないと思います。

なぜかというと、課税時期も課税団体も違うからです。

所得税は国税ですし、住民税は地方税です。

所得税は2018年の所得があれば、その所得に対して所得税がかかります。

2018年の途中で亡くなっても、2018年分の所得税はかかります。

しかし、住民税は2019年1月1日を賦課期日として、その日に課税関係が発生し、2019年度の住民税を2018年の所得をもとに計算します。

つまり、2018年中には、2019年度の住民税が賦課されるかどうかは決まっていません。

2018年中に亡くなったら、2019年度の住民税は課税されないことになります。

例えば、2018年12月25日まで、つくば市に住んでいて2018年12月26日に四街道市に引っ越しをしたら、2019年度の住民税は四街道市で課税されます。

これを2018年中に源泉徴収しようと思ったら、つくば市が課税することになります。

課税関係がないのにつくば市が課税して、その後四街道市に税金を移すということも考えられますが、そうするのは大変でしょう。

色々な面でコストがかかるのは間違いありません。

現実的には難しいと言わざるをえません。

結論 報酬に対する源泉所得税の税率は5%で良いのでは

源泉徴収を、所得税5%、住民税5%で行うのは現実的ではありません。

そうであるならば、報酬に対する源泉徴収の税率を5%にすればいいのではないでしょうか。

これなら、税率を変えるだけですから、比較的簡単にできます。

そもそも、少し前までは所得税の最低税率は10%で、住民税の最低税率は5%でした。

平成19年から、所得税の最低税率が5%になり、住民税の税率が一律10%になったのです。

このときに、報酬にかかる源泉徴収の税率を5%にしておけば良かったのではないかと思います。

もちろん今から変えて頂いても何の問題もありませんが。

売上に対して10%以上の所得税を支払っている人は多くありません。

5%にすれば、いったん所得税が還付され、その後に多くの住民税を支払うといったケースは減るのではないでしょうか。

報酬に対する源泉所得税の税率は5%にするのが良いと思います。

さらに、本音を言えば、なくしてもいいと思いますけどね。

【編集後記】

一昨日仕事を終えてからレイトショーで映画「マスカレード・ホテル」を観ました。

この原作は4年半ほど前に海外旅行に行った際の帰りの飛行機の中で読んだ記憶があります。

そんなことも思い出しながら、楽しめました。


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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。