所得税の還付申告をする際に気をつけて欲しいこと

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医療費を支払った、ふるさと納税をした、配当控除を受けたい、株式の譲渡損失を繰越したい、株式の譲渡損と配当所得を損益通算したいなど、還付申告をしようと思っている人もいると思います。

しかし、還付申告には注意点もありますので、還付申告をする前に、本当に還付申告をした方がいいのかを確認しましょう。

また、確認をするまでは還付金への期待を少なくしておいた方がいいと思います。

期待をしていて、後になって還付申告をしないということになると損をした気分になります。

国民健康保険料への影響を考える

会社員で社会保険に加入している人は関係ありませんが、国民健康保険に加入している人は注意が必要です。

上場株式の配当所得があって配当控除を受けたい、あるいは、A証券会社の特定口座の譲渡損失と、B証券会社の特定口座の譲渡益を損益通算したいなどの理由で還付申告をすることがあります。

このときに、還付申告をすることによって所得税は戻ってきます。

しかし、翌年の国民健康保険料があがることがあります。

源泉徴収有りの特定口座での上場株式の譲渡益は、源泉徴収をされているので確定申告をする必要がありません。

確定申告をしなければ、この譲渡益の分は、国民健康保険料の計算に入ってきません。

しかし、確定申告をすることによって、上場株式の譲渡益に対しても国民健康保険料がかかってしまうことになります。

また、配当所得については、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができます。

所得税では還付申告を受けて、住民税では申告不要とすることもできます。

住民税で申告不要を選択すれば、配当所得について国民健康保険料がかかることはありません。

所得税と住民税で異なる課税方式を選択する場合は、市町村によって手続きが異なることがありますので、お住まいの市町村に手続きを確認してください。

給与や年金の他に少額の所得がある人が還付申告を受ける場合

給与や公的年金の他に20万円以下の所得があり、確定申告をしていない人が、医療費控除を受けるために還付申告をする場合も注意が必要です。

給与以外に雑所得が15万円あったとします。

この場合、確定申告は不要です(必要なケースもあります)。

この状態で、医療費控除を受けることを考えます。

ここで注意しなくてはいけないのが、医療費控除を受けようと思って確定申告をした場合は、雑所得の15万円も含めて確定申告しなくてはいけないということです。

例えば、医療費控除が10万円の場合、雑所得が15万円増えて、控除が10万円増えるので、差し引きで言うと、5万円分課税所得が増えることになります。

つまり、確定申告をしない方が有利ということです。

さらに、この人が国民健康保険の加入者の場合を考えます。

国民健康保険料の計算に医療費控除は影響を与えませんので、確定申告をすることによって、雑所得15万円に対してまるまる国民健康保険料がかかってしまうことになります。

国民健康保険料のことを考えると、医療費控除の額と、雑所得の額が同じ金額だったとしても、申告をしない方が有利です。

ただし、給与や年金以外の所得が20万円以下で確定申告不要となるのは所得税の話であって、住民税は申告不要にはなりません。

ですから、住民税の申告で医療費控除を受けるということになります。

何らかの所得制限に引っかかってしまう可能性

複数の証券会社の特定口座で取引があり、譲渡益が出ている口座と譲渡損が出ている口座の損益通算をすることにより、還付になることがあります。

この時に気をつけたいのが、何らかの所得制限に引っかかってしまうことです。

所得制限は結構色々なところであります。

思いもよらないところで所得制限に引っかかり不利益を被ることがあります。

ご自身で何らかの無償化の制度の対象になっている人は特に注意が必要です。

少額の還付金を得るために、無償化の制度の対象から外れてしまうことがあるかもしれません。

ひと口に所得制限と言っても、制度によってどの数字を使うかは違います。

自分が対象となる制度の所得制限がどの数字で判断しているのかも確認するようにしましょう。

まとめ

「還付」という言葉には甘い響きがあります。

良くわからないけど、お金をもらうことができると思って、還付申告をしようとする人がいます。

まずは、還付の要件を確認してみましょう。

還付はあくまでもすでに支払っていたものが戻ってくるものです。

給与や年金から差し引かれている税金がなければ、戻ってくる税金もありません。

その次に、申告をすることで増える税金がないかも確認しましょう。

そこまでしたら、次は国民健康保険料のことを考えたり、何らかの所得制限に引っかからないかを考えます。

こうして書いてみると、還付申告をするのも大変だと思う人もいるでしょう。

しかし、還付申告をしたことによって不利益を被ることもあるので、できればしっかりと確認をしてから、還付申告をするようにしましょう。

【編集後記】

今日は四街道市役所での無料申告相談会に参加しました。

簡易な申告とはいえ、その場その場で結論を出さなくてはいけない、しかも数もこなさなくてはいけないので簡単ではありません。

お昼は、市役所近くの遊行庵というおそば屋さんで、とろろざるそばを食べました。美味しかったです。


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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。