日本全体の人口が減少していますので、色々な業界が縮小しています。
税理士業界で言えば、小規模企業の数が減少していますし、現在の小規模企業の経営者は高齢化しています。
今後も小規模企業の数は減少していくものと思われます。
業界が縮小しているから、他の業界へ移らなければいけないのか
税理士業を例に取って話を進めます。
数値は架空の数値を使います。
10年前の税理士全体の仕事量が1,000で、100人の税理士が仕事をしていたとします。
1人あたりの仕事量は1,000/100で、10でした。
5年前には税理士全体の仕事量が900になり、5人の税理士が経営が厳しくなるなどして廃業しました。
この時点で、1人あたりの仕事量は900/95で、9.47です。
税理士が5人減り、1人あたりの仕事量も10から9.47へ減少しました。
そして、現在は税理士全体の仕事量が800で、税理士の数は90人になりました。
1人あたりの仕事量は800/90で、8.88です。
この動きを見てどう感じるでしょうか。
業界全体の仕事量が減少していて、今後も減少することが予想されるのだから、他のことをやった方がいいと思う人もいるでしょう。
実際に1人あたりの仕事量も減少し、税理士の数も減少しています。
しかし、この状況だけでは判断はできません。
一定数が残るなら、そのまま生き残るという選択肢もある
もし、税理士全体の仕事量が今後も減り続け、最終的には0になるのであれば、税理士をやめて他のことをやらなくてはいけません。
しかし、税理士全体の仕事量が、例えば、5年後には700になり、10年後には600になるが、15年後に500になったところで下げ止まるのであれば、どうでしょうか。
5 年後に700になったときには税理士の数は85人になり、1人あたりの仕事量は700/85で、8.23です。
10年後には全体の仕事量が600になり、税理士の数は80人で、1人あたりの仕事量は600/80で、7.5です。
この頃には1人あたりの仕事量が損益分岐点に近くなり、税理士をやめる人がいっそう増えることが予想されます。
そして、15年後に全体の仕事量が500になったときには、税理士が60人まで減少しているとします。
その場合の1人あたりの仕事量は、500/60で、8.33です。
5年後と15年後の1人あたりの仕事量はそれほど変わりませんが、10年前の1人あたりの仕事量に比べれば減少しています。
仕事量が下げ止まるといっても増えることはないので、税理士の数はさらに減少していくと予想されます。
20年後には全体の仕事量が500のままで、税理士の数が50人になると、1人あたりの仕事量は10になり、10年前の1人あたりの仕事量と同じということになります。
その後も、全体の仕事量が変わらなければ、税理士の数は減っていくことが予想されますので、1人あたりの仕事量は増えていくことになります。
全体の仕事量が減少していっても、その業界の仕事量が一定数は残るのであれば、その業界で生き残れば、仕事量を確保できる可能性があります。
まとめ
今回は税理士業を例に取り、架空の設定で話をしましたが、他の業界でも同じようなことが言えます。
業界全体の仕事量が減少したとしても、一定のところで減少が止まり、その業界が続くのであれば、その業界の中で生き残れば、仕事量を確保できる可能性があります。
全体の仕事量が減少していくので、新規に参入する人は少なくなり、やめる人が多くなるので、ライバルの数は減っていきます。
こう考えると、業界が縮小傾向にあるからと言って、他のことをやり始めなくてはいけないということでもないということがわかります。
もちろん、業界が残るかどうかもわからないので、絶対にこの方法がいいという訳ではありません。
選択肢の一つとして考えてもいいのかなと思います。
【編集後記】
明日からはいよいよ10連休ですが、娘がまだ小さいため、出かける予定は入れていません。
娘との時間を楽しむつもりです。