わたしが税金その他の支出を減らすための提案をする際は、基本的にはお客様個人の支出だけを減らすことを考えるのではなく、お客様の家計全体の支出を減らすことを考えます。
わたしは、主に小規模企業の経営者や個人事業主の方を相手に仕事をしていますので、今回の記事もそういった方向けに書いています。
他人株主がいたり、他人従業員がいる場合は、話がだいぶ変わってきます。
家族だけの会社、あるいは家族だけで行っている個人事業の場合で、社長あるいは個人事業主(以下、社長と書きます)の所得が高く税率が高いときは、家族に所得を分散することを考えることがよくあります。
この場合の注意点は、家族が実際に仕事をしていることが前提です。
家族は全くその仕事をしていないのに給料を支払うことはできません。
社長の所得税の税率が40%の場合、他の家族に給与を支払うことによって、社長の所得が減り、税金が少なくなります。
家族の所得が増え、税金が発生しますが、社長の税金が減る効果の方が大きいでしょう。
なぜ、こういった提案をするかと言うと、社長個人の支出を減らすことよりも、家計全体の支出が減った方がいいだろうと考えるからです。
例えば、以下のようなケースの場合、どちらの方がいいと思うでしょうか。
ケース1
社長の税金 200万円
配偶者の税金 30万円
家計全体の税金 230万円
ケース2
社長の税金 150万円
配偶者の税金 50万円
家計全体の税金 200万円
この2つのケースでは、ケース2の方がいいと思う人が多いのではないでしょうか。
この場合で、社長が気になることは、社長自身の所得が減るということです。
基本的に税金が安くなるということは、所得が減るということです。
社長がもらうはずだった給与を、配偶者にあげるような形になりますので、その点に納得がいかないこともあるでしょう。
税理士としては、そういった点はしっかりと説明する必要があります。
お客様の中には、もしかしたら、夫婦の仲があまりうまくいってない方もいらっしゃるかもしれません。
そういった場合に、家計全体の支出が減るからと言って、自分がもらうはずの給与を配偶者にあげることを良しとはしないと思います。
また、その逆のパターンもあります。
例えば以下のようなケースです。
社長の給与 1,200万円
配偶者の給与 500万円
上記のケースで、実際は、社長と配偶者の貢献度は全く同じというケースがあります。
配偶者の立場で言うと、会社への貢献度は同じなのに、社長の方が給与を倍以上ももらっているとなるといい気がしないかもしれません。
夫婦の仲がうまくいってなければ、なおさらです。
この場合に社長に、社長の給与を下げて配偶者の給与を上げましょうと言うと、配偶者は当然と思うかもしれませんが、社長としては嫌がるかもしれません。
しかし、実際の会社への貢献度を考え、家計全体のことを考えるとそうした方がいいことになります。
会社の場合、税理士が契約しているのは社長個人ではなく、あくまでも会社です。
ただし、家族だけの会社の場合、社長個人と契約しているのと実質的には変わりません。
その社長個人が望まないことであれば、こちらが良いと思ったことでも提案することは難しくなります。
こういった場合にどこで折り合いをつけるかは難しいのですが、わたしとしては、まずは負担が減る方法を提案します。
提案したうえで、社長の考えを聞き、社長の意思を尊重することになるでしょう。
ただし、多少時間かけてでも説得をした方が、あとあといいだろうと思えば、簡単に引き下がるのではなく、時間をかけて複数回提案することもあります。
そのさじ加減は税理士個人によってかなりの差があると思います。
こういったことは、税理士との相性が大切になってくるので、お客様としては、やはり相性のいい税理士と契約した方がいいと思います。
相性がいいというのは、単に自分の言うことを聞いてくれるだけではありませんので、その点も含めて考えた方がいいでしょう。
あんまりまとまりませんが、基本的には、税理士としてはお客様にとって良いと思うことを提案します。
提案はしますが、もちろん強制することはありません。
きちんと説明したうえで、お客様の意思を尊重します。
ただし、長い目でみれば説得をした方がいいと思うときは、複数回にわけて説得を試みるかもしれません。
そんなところでしょうか。
お客様が求めているものは1人1人違いますから、税理士としてもそのあたりの見極めが大切になってくるのかなと思います。
【編集後記】
生命保険の見直しをしていますが、血圧がギリギリ引っかかって健康体の保険料が適用されません。
少し、血圧を下げる努力をして、再度病院で血圧を図り、基準内におさめてから生命保険に加入しようと思います。
運動、ダイエット、減塩あたりをやる必要があります。
健康体と標準体で保険料がけっこう違うんですよね。