個人事業主の事業用の車の事業専用割合について

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個人事業主の場合、事業に使う車でも簡単に全額経費という訳にはいきません。

その車を事業用以外にも使うことはよくあります。

その場合、事業に使う割合分だけ必要経費にするという処理をします。

今回は、この割合について個人的な考えを書いてみます。

個人的には、特に車の場合、合理的な按分方法というのは存在しないと思っています。

なぜならば、しっかりと按分することが事実上不可能だからです。

一般的な按分方法としては、走行距離や日数(時間)があげられます。

走行距離については、大きな矛盾を感じます。

例えば、年間10,000km走って、その内5,000kmは事業用だったとします。

この場合、車に関係する支出は、50%分が必要経費になります。

一見合理的には見えますよね。

では、年間1,000km走って、その内500kmは事業用だった場合は、どうでしょう。

この場合も、車に関係する支出は、50%分が必要経費になります。

もっと極端なケースで、年間の走行距離が100kmで、事業用が50kmだった場合は、どうでしょう。

このケースでも同じく50%が必要経費になります。

この3つのケースで、車の取得価額がどれも300万円だとします。

減価償却費は、年50万円で、必要経費になるのは、50%分で25万円です。

3つのケースで同じ金額になります。

事業用割合が同じ50%なんだから当たり前と思うでしょうか。

わたしは、そうは思いません。

年間50kmしか事業用に使っていない場合と、年間5,000km事業用に使った場合の必要経費が同じというのはおかしいと思います。

ここに、走行距離で按分する限界があるように思います。

普通に考えたら、年間5,000km事業で使った場合の方が、必要経費が多いのが当たり前だと思います。

例えば、同じく300万円の車を、Aのケースでは、年間走行距離10,000km、うち、事業用5,000km、Bのケースでは、年間走行距離100km、うち事業用90kmの場合を比較してみます。

この場合、単純に走行距離で按分すると、Aのケースの減価償却費は、25万円、Bのケースの減価償却費は、45万円になります。

いよいよおかしいと感じませんか。

Aのケースでは、事業用に5,000km使用しているのに50%しか必要経費にならないのに対し、Bのケースでは、事業用に90kmしか使用していないのに、90%も必要経費になります。

とても合理的な按分方法とは思えません。

わたしは、この問題を解決するために、年間○○km以上事業用に使ったら、○○%必要経費にしても良いというようなルールがあってもいいと思います。

例えば、年間5,000km以上で70%とか、年間10,000km以上で100%経費で良いとかいうように。

もちろん、按分方法は選択制でいいので、こういったルールがあってもいいなと思います。

次に、日数や時間での按分でも難しい部分があります。

例えば、毎日15分車を事業で使う場合、車を使用する日数で按分すると、毎日事業用に使う訳ですから、100%必要経費になります。

しかし、1日に5時間使用するが、使用するのは3日に1回だという場合では、日数で按分すると、必要経費の割合は、33%ということになってしまいます。

そもそも、1日に15分しか使用しない場合で、日数按分をするということ自体が合理的とは言えないでしょう。

では、時間で按分する場合はどうでしょうか。

時間での按分は、そもそも、どこまでの時間を事業用に含めるかという問題があります。

例えば、わたしの場合、車で通勤していて、事務所で仕事をしている間は、事務所の前に車はずっと停まっています。

車に乗っている時間は問題ないとして、事務所に停まっている時間をどう考えるかです。

個人的には、いつ、車で外出する用事が発生するかはわからず、いつでもいける準備をしているということで、事務所の前に停まっている間も事業に使われていると考えます。

これは、外出先でも同じ考えです。

仕事の用事で外出して、例えば、近くのコインパーキングに停めた場合、その停まっている時間も、もちろん、事業用に使っていると言えるでしょう。

では、分子の時間はそう考えるとして、分母の時間はどうでしょうか。

営業時間が月曜から金曜の朝9時から18時(お昼休み1時間)とすると、週40時間です。

この40時間を分母にすればいいのかという問題があります。

わたしは、そうは思いません。

わたしの場合ですが、さきほど通勤に使っていると言いました。

通勤時間は、分母の40時間には含まれていません。

分母に含まれていない時間を分子に含める訳にはいきません。

また、土曜日や日曜日に車で出勤することも珍しくありません。

朝早く仕事で家を出ることもあれば、帰りが遅くなることもあります。

自宅兼事務所で仕事をしているような方の場合、自宅に停まっている時間をどう考えるかという問題も出てきます。

こう考えると、時間で按分する場合の分母は難しいものがあります。

結局は、走行距離でも、日数でも時間でも、完全に合理的な按分は無理だということになります。

ですから、自分がその使用状況(実態)に合わせて按分するのがいいのではないかと思います。

わたしは、営業車の事業用割合は90%としています。

最初にそのくらいかなと判断して、90%にしました。

しかし、4年間たってみて、実際の事業用割合は95%でも良かったかなあと思っています。

そのくらい、事業用に使っているからです。

ただし、単純に走行距離だけで按分したら、90%以下になるのではないかと思っています。

プライベートで、年に1度くらい規制や旅行で長距離(1,000km以上になることもある)の移動をすることがあるためです。

年に一度の長距離走行で按分比率が大きく変わってしまうのは、合理的ではないと思います。

ちなみにその際は、行く前と、帰る前にガソリンを入れるのですが、その2回のガソリン代は経費にはしていません。

そもそも、按分の分母にも分子にも入れていないということです。

そういうことも含めて、走行距離で按分するのは合理的でないと判断しています。

走行距離も含めて総合的に判断をすると95%でも良いのかなという判断です。

最後に、あくまでも使用の実態で判断することが大切です。

ですから、車は一律○○%まで経費に出来るとかいうような実態を無視したような按分方法は、意味がないと思っています。

ネットやツイッターなどでは、たまに○○%まで経費にできるというような安易な書き込みを見かけるのですが、そのような書き込みは信用しない方がいいでしょう。

【編集後記】

1人暮らしが始まって10日ほどが経ちます。

1人暮らしをすると、生活がシンプルになります。

まぁ、仕方ないですね。

シンプルなりに、彩りをつけた暮らしをしたいものです。

アイキャッチ画像は、塩と少々の醤油と胡椒だけで味付けをしたシンプルなチャーハンです。

盛り付けをちょっと工夫するだけで、少しはましな見た目になります。


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ABOUTこの記事をかいた人

1972年生まれ 千葉県生まれ、千葉県育ち。 四街道市在住。 小規模企業の節税に強い、渡邉ともお税理士事務所 代表税理士。 節税をしながら、長期の資産形成をサポート。